21.裏方
「新京極で外国人が乱闘?」
電話を受け取った代子は、すぐに対処を決めた。
========== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
島代子・・・有限会社芸者ネットワーク代表。元芸者。元プログラマー。小雪の先輩らしいが、小雪以外には、本名は知られていない。芸者の時の芸名は『小豆』。また、本部の住所も極秘である。後輩達には堅く口止めしてあるのだ。
飽くまでも、私的組織だが、警察にはチエを通じて協力している。可能なのは、情報提供だけである。
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
烏丸まりこ・・・芸者ネットワークの事務員。
貴志塔子・・・代子がプログラマー時代、組んでいた相棒。ネットワークシステムは、2人の合作だ。
西川稲子・・・代子と塔子の、プログラマー修行時代の仲間。
小雪(嵐山小雪)・・・舞妓を経て、芸者をしている。神代チエの小学校同級生であり、代子の芸者後輩。
刑部政男・・・京都地検特別刑事部の警部補。
遊佐圭祐・・・チエの幼なじみ。大学同級生。CATV『きょうとのテレビ』の広報課課長。
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※京都には、京都伝統伎芸振興財団(通称『おおきに財団』)と京都花街組合連合会という組織が円山公園の近くにある。両者は、芸者さん舞妓さんの『芸術振興』の為にある。オフィシャルサイトも存在する。
現在、京都花街組合連合会に加盟している花街として、祇園甲部、宮川町、先斗町、上七軒、祇園東の5つの花街があり、総称して五花街と呼んでいる。 鴨川の東側、四条通の南側から五条通までの花街。
※この物語に登場する『芸者ネットワーク』とは、架空の組織であり、外国人観光客急増に伴って犯罪が増加、自衛の為に立ち上げた、情報組織である。
リーダーは、『代表』と呼ばれる、芸者経験のある、元プログラマーの通称島代子である。本部の場所は、小雪しか知らないが、『中継所』と呼ばれる拠点が数十カ所あり、商店や寺社と常に情報交換している。
※このエピソードは、「暴れん坊小町54」の「裏」のお話です。
併せてお読み頂けると幸いです。
午後1時。芸者ネットワーク本部。
「新京極で外国人が乱闘?」
電話を受け取った代子は、すぐに対処を決めた。
塔子が持って来たスマホに映っているのは、後輩の小雪だ。
スマホの相手、即ち、情報元は新京極商店街のクレープ屋「どうどすかクレープ」の店員だ。以前、タウン誌の情報として、塔子が取材してきた相手だ。
芸者ネットワークは、表向きは、「地域振興のタウン誌発行」の会社だ。
たまに、「本当に」取材に行く。取材に行った先で、極めて安価の広告料を貰い、「情報提供」を約束して貰うのだ。「タダ」でないのがミソだ。ちゃんと、代子は青色申告をしている。
税務署から調査に来たことがある。
「身障者の小遣い稼ぎが脱税ですか?外人さんは無税と違いましたっけ?」
税務署員は、書類等を一瞥し、鼻白んで帰って行った。
代子達は、カ〇ピスで乾杯した。
小雪は、仲間の芸者と共に、拉致されている。
オマケに、ヤクザらしき連中もいる。
チエが駆けつけるだろうが、苦戦するだろう。
稲子と塔子は、飛び出して行った。
代子は、東栄に電話をかけ、「百枚漬け」の会社に電話をかけ、東山署にも電話をかけた。そして、CATV『きょうとのテレビ』社員である、チエの幼なじみにも連絡した。
更に、京都地検にも電話を入れた。
代子は時間を忘れて電話をしていた。烏丸がコーヒーをいれた。
「ほんまのタウン誌の会社みたいですね。」
「烏丸。ホンマのタウン誌の会社でっせ。」「そうでした。」烏丸は舌を出して、自分の場所に戻った。
夕方、今度は方々から報告の電話があった。
現場の様子は、夕方のニュースで流れるそうである。ニュースを観た視聴者は、「映画」だと勘違いするだろう。
CATVからの電話を切ると、京都地検の刑部から電話が入った。
「社長さんは、反社にも詳しかったのですね。恐れ入りました。」
「百枚漬け」は、本物ではなく、本来廃棄処分か家畜の餌等に流れる、『大根の残骸』だった。撮影用と同じなので、東栄の役者さんは、「時代劇」同様の立ち回りを見せた。
最後に、東山署から、チエが『完落ち』させたと電話があり、同じ頃、小雪からメールが届いた。「これやから、ねえさん、好きどす。」と。
塔子と稲子が帰ってきた。
「湯豆腐、食べに行こ。予約しといたから。」
皆は、満面の笑顔を見せた。
―完―
CATVからの電話を切ると、京都地検の刑部から電話が入った。
「社長さんは、反社にも詳しかったのですね。恐れ入りました。」




