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17.偽者は本物に及ばない。

「はい。え?ああ、あの社長と替りますので、お待ちください。」

 ========== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 島代子しまたいこ・・・有限会社芸者ネットワーク代表。元芸者。元プログラマー。小雪の先輩らしいが、小雪以外には、本名は知られていない。芸者の時の芸名は『小豆』。また、本部の住所も極秘である。後輩達には堅く口止めしてあるのだ。

 飽くまでも、私的組織だが、警察にはチエを通じて協力している。可能なのは、情報提供だけである。

 戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。

 烏丸まりこ・・・芸者ネットワークの事務員。

 貴志塔子・・・代子がプログラマー時代、組んでいた相棒。ネットワークシステムは、2人の合作だ。

 西川稲子・・・代子と塔子の、プログラマー修行時代の仲間。

 茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。

 神代警視正・・・チエの父。東山署署長。

 大前田警視正・・・京都府警本部長。


 刑部政男・・・京都地検特別刑事部の警部補。


 =====================================


 ※京都には、京都伝統伎芸振興財団(通称『おおきに財団』)と京都花街組合連合会という組織が円山公園の近くにある。両者は、芸者さん舞妓さんの『芸術振興』の為にある。オフィシャルサイトも存在する。

 現在、京都花街組合連合会に加盟している花街として、祇園甲部、宮川町、先斗町、上七軒、祇園東の5つの花街があり、総称して五花街と呼んでいる。 鴨川の東側、四条通の南側から五条通までの花街。

 ※この物語に登場する『芸者ネットワーク』とは、架空の組織であり、外国人観光客急増に伴って犯罪が増加、自衛の為に立ち上げた、情報組織である。

 リーダーは、『代表』と呼ばれる、芸者経験のある、元プログラマーの通称島代子しまたいこである。本部の場所は、小雪しか知らないが、『中継所』と呼ばれる拠点が数十カ所あり、商店や寺社と常に情報交換している。


 午後1時。芸者ネットワーク本部。

「はい。え?ああ、あの社長と替りますので、お待ちください。」

 烏丸が困惑しているようだから、電話を手元の受話器に転送させ、代子は電話に出た。

「お電話替わりました。」

「オタクは、芸者さんを斡旋している組織ですよね。」

「いいえ、推薦しています。京都の見所を芸者さんやお店の方々から頂いた情報で。例えば、清水寺ですと・・・。」

「そうじゃない。オタクは、芸者さんを斡旋している組織ですよね。」

「どなたさんどすか?芸者さん達のお座敷は、『お馴染みさん』の紹介で成り立っています。常識ですよ、学生さん。ウチはタウン誌とブログを趣味で・・・もしもし聞いてます?」

 電話はプツンと切れた。

 以前、名前が一人歩きして、売〇婦斡旋組織、つまり、風俗の一種だと思って『宅配』を言ってきた例がある。

 そこで、カムフラージュを兼ねて、稲子と塔子が適当なコラムで埋めたタウン誌を発行、ブログも開設した。

 本物の、舞妓や芸妓の情報もあるが、稲子や塔子の『感想』を記事にすることもある。

 それでも、欧米の、いい加減な映画の影響か、売〇婦と勘違いしている輩が多い。

 特に、先日の事件のように、外国のガイドブックに『妄想記事』が載ってしまうと、外国人犯罪者を誘発してしまう。

 代子達が目指しているのは、正に外国人犯罪者が「蔓延」しないようにするため、警察に情報を提供し、防犯して貰うことにある。

 代子が敢えて、『学生さん』と言ったのは、声が若い日本人であることから、大学に進学したばかりの『おのぼりさん』だと判断あいたからだ。

 東山署とのホットラインはそのままに、会社の代表電話を別の番号に切り替える予定だが、ゴールデンウィークが過ぎてからでないと、工事が出来ない。

 工事と言っても、外の電話線自体の交換えもないらしいが、詳しいことは分からない。

 そこへ、来客が現れた。

「どうも。京都地検特別刑事部の刑部ぎょうぶと言います。社長さんは?」と、言いながら、代子の側に刑部は来た。

「お体がお悪いんですか?失礼ながら。」「ええ。もう一生歩けまへん。京都地検特別刑事部言うたら、大阪地検や東京地検みたいなお仕事ですか?」

「当たらずとも遠からず、ということにしましょうか。実はね、社長さん。反社の『杣道京都組』が、ヤクの売買に関する組織で『芸者ネットワーク』の名前を挙げたんです。調べてみると、こちらの経営実態がよく分からない。青色申告は出されていますが、赤字が多いので、ひょっとしたら、なんて思いましてね。」

「はい。趣味でやっております。給料は、そこにいる事務員の分しかありません。」

「え?社員さんはお一人?」「いえ、今取材にでております。この通り、私が動けないので。何なら医者の診断書を提出しましょうか?反社とのお付き合いはありませんが、警察とのお付き合いはあります。大きな誤解があるようですし、少し電話かけさせて貰っていいですか?」「どうぞ。」

「大前田さんをお願いします。はい、島とお伝えください。」

 刑部の顔色が変わった。

「はい。はい。はい・・・はい、はい。はい・・・はい、了解しました。」

 電話を切った、代子は向き直った。

 15分後、チエが現れた。茂原と数人の警察官を連れて。

 刑部は、代子にナイフを突きつけた。

 刑部は、代子の後ろ側に回ったので、気づかなかった。

 稲子と塔子が、刑部にタックルした。

 刑部がバランスを崩した。代子は咄嗟にナイフを持って、前に屈み込んだ。

 チエは、『真空飛び膝蹴り』を刑部に見舞った。

 茂原は、「今のは警視の『キックの鬼』の技やが、これから、『取り調べの鬼』の技も見られるで。」と、チエと代子にウインクして刑部に手錠をかけた。

 午後3時。

 代子は、東山署とのホットラインであるIP電話を切った。

「チエちゃん、張り切ってたって小雪ちゃんが言ってた筈やわ。取り調べ室の前に、ラジカセ置いて、音楽流しているらしい。」

 代子の報告に3人は吹き出した。

「良かった、ソフトクリーム食べる前で。」と塔子は言った。

「今度のコラムは、『口いっぱいのソフトクリーム』でいこう。」と稲子は言った。

 代子の机の下には、『賊に襲われた場合』の処置が施してあった。

 緊急事態に2人は、急いで帰って来て、裏口から入ったのだ。

 代子は、府警の大前田本部長に『暗号』で緊急事態を報せ、チエが部下を連れてやって来て逮捕劇になった。

 京都に、京都地検特別刑事部は存在するが、刑部は身分証を示さず、代子の質問をはぐらかした。それで、誰かの依頼で襲撃に来た、と直感した代子は手を打った。

 少し前の『学生』は『受け子』だろう。着信履歴にスマホの番号は残っていた。

 神代警視正の話では、夏の参議院選挙で、灘府知事の政党と対立する党の『裏の組織』が、芸者ネットワークのスポンサーの一人である議員を立候補させない為の工作要員だろう、ということだ。『杣道京都組』は実在しない。似た名前の組織は神戸にはあるが、京都支部はない。

 代子は、後ろを向いて、メールを打ち出した。宛先は『たーさん』だった。

 ―完―


代子は、府警の大前田本部長に『暗号』で緊急事態を報せ、チエが部下を連れてやって来て逮捕劇になった。

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