第3話 気になるステータス
「そうだ、俺って何か使える魔法とかスキルがあるのかな?」
元いた世界ではラノベやアニメの召喚者には何かしらのチートスキルなんかが付いてたんだけど。
姿かたちに変化はないし、服も普段着のままだ。
『主人殿は大魔王様が召喚されたので、きっと高い魔力や強力なスキルが備わっていると思いますぞ。吾輩には主人殿のステータスを見られませんが、心に念じればご自身で見れるはずです』
なるほどそうなんだ、どれどれ…。
LV 1
名前 風間 旭
年齢 19
種族 人間(召喚者)
HP 50 / MP 0
固有スキル 強運 アイテムボックス
大魔王の加護+ギフト♾️
レ、レベル1⁈めっちゃ弱そう!
MP0って魔法使えないってこと?
HP50ってのも多くはなさそうだよな。
強運とアイテムボックスは良さそうだけど、戦闘には縁がなさそうだな。
…にしてもこれは?
「大魔王の加護ってなんだろ…プラスギフトってのも謎だし」
そう声に出した途端『大魔王の加護にギフトですと⁈』と黒蜘蛛が声をあげて、はわゎゎ…と大口を開けてしまっている。
「そんなにすごいの?」
『もっ、もちろんです!世界中の魔族の憧れです!吾輩もこの加護を持ってる方を見たのは主人殿が初めてですぞ!』
黒蜘蛛が言うには、加護とは状態異常やスタミナ減少防げ、魔力強化や身体能力向上など、とにかくあらゆる能力を底上げしてくれるありがたいものなのだそうだ。
ましてや大魔王様の加護ともなれば未知なる恩恵があること間違いなしだとめちゃくちゃ羨ましがられた。
おまけっぽいと思ったギフトは特別なスキルの事で、俺はレベルアップの度に付与されるらしく、どんなスキルかはその時にしか分からないという。
ギフトの後ろの♾️マークの事は騒がれそうなので俺は黙っておく事にした。
『異世界より召喚された主人殿ならば、鑑定スキルをお待ちでしょうから、我のステータスもご覧になれるのでは?』
「見てもいいの?」
勝手に覗くのは気が引けたので、念のため聞いてみると是非見てくださいと言ってくれた。
えーっと、黒蜘蛛のステータスは…
LV 81
名前 なし
年齢 132
種族 アラクネ(毒蜘蛛族)
HP 2200 / MP 360
固有スキル 回復魔法 毒攻撃 糸網感知 切断糸
おぉ〜!すごいじゃん。
アラクネって毒蜘蛛族のことなんだ。
俺よりずっと年上だし魔法やスキルも豊富だ。
「すごいね。これだけ強かったら戦闘は俺の出る幕ないね」
俺のこのステータスじゃどのみち無理だけどさ。
『そんな事はございませんぞ、主人殿』
黒蜘蛛が言うには…俺の従魔である彼が魔物を倒した場合、俺にも経験値が振り分けられるのだそうだ。
その上レベルアップすればスキルや魔力も増えていくというのだ。
それって武器も魔法も持っていない俺にはかなり助かるかもだ。
それに生き物を殺すって現代人の俺には結構ハードル高いしね。
当分お世話になりそう。
『そんな訳で主人殿、吾輩に名前をつけてくださいませ』
黒蜘蛛がそう言うと俺が目覚めた時みたいに頭を下げて俺の前に座った。
うぅっ…なんだか成り行きで従魔の名付けまでする事になってしまってる。
「名前か。そうだなぁ…」
黒蜘蛛を見てすぐに思いついたのは…。
「緑の目が宝石みたいで印象的なんだよね〜…そうだ!翡翠なんてどうかな?」
ちょっとシンプルすぎたと思ったけど、黒蜘蛛は顔をあげて目を輝かせちゃってる気がする。
『宝石の名前から名付けていただけるなんて感激です!』
翡翠は手足全部を振りながら喜んでくれている。
『ただ今これより吾輩は翡翠と名乗り、主人殿にいただいたこの名に恥じぬよう、誠心誠意お仕えする事を誓いますぞ』
感激のあまり声が震わせながら翡翠がそう言い終わると、突然俺と翡翠の体がパァッと光った。
「おわっ?なんだ⁈」
光る自分に驚いていると、『主人殿、ステータスをご覧ください』と翡翠が言った。
言われた通りステータスを見ると、従魔が追加されていた。
「ほわ〜すごいなぁ。翡翠、これからよろしくな、頼りにしてるよ」
『吾輩こそ、主人殿!』
「あっ、そうだ。その主人殿って照れ臭いからこれからは旭って呼んでくれないかな、俺の名前なんだ」
翡翠は主人を呼び捨てには出来ないとか言ってたけど、翡翠の方が年上だし俺が嫌だからって事で『主人殿』は禁止させた。
結局のところ翡翠は俺のことを『アサヒ様』と呼ぶことに落ち着いたのだった。