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第11話「解放せよ、破壊の力 」

「ん?雨だ」


城の庭の掃除をしていた紅葉の腕にポツンと1粒の雨が当たり、ポツポツと雨が降り始める。


―― ハクイさん大丈夫かなぁ…、この世界って傘みたいな雨を防ぐものあるのか?ずぶ濡れになっていないといいけど… ――


どんどんと雨が強くなってきていたが、庭の掃除はあとちょっとで完了するところであったため紅葉はずぶ濡れになりながらも掃除を続けた。

そんな紅葉が掃除をしている中、城の門が開き、誰かが城の中へと入ってくる。


「モミジさん…」


城の中へ入ってきた誰かが後ろから紅葉に話しかける。


―― ん?ハクイさんの声だ ――


「ハクイさんおかえ…」


紅葉が振り返り後ろを見るとそこにいたのは紅葉の思った通りハクイだった。しかし、ハクイは雨でずぶ濡れになっていて…そして血まみれだった。


「ハクイさん!?」


ハクイが膝から崩れ落ちそうになったが、紅葉が慌ててハクイを支える。


「ど、どうしたの!?いやそんなことよりまずはシャイロさんのもとに…」

(※シャイロさんとはカラパティシコ王国でこっちの世界でいう医者のような仕事をしている人である)


―― あれ?でもハクイさん確かに血まみれではあるけど、目立った外傷は無いというか、無傷にも見える… ――


「大丈夫です…、怪我は自分で治癒魔法で直しました…」


―― こんな血まみれになる怪我を負って、そんな状態で自力で自分の怪我を治したのか? ――


「確かに外傷は無いように見えるけど…骨折とかは?体調になんか違和感感じたりとか…」


「本当に大丈夫です!私は大丈夫なんです!!」


「わ、わかった…」


ハクイに初めて怒鳴り声に似た声を浴びせられ、紅葉は完全に恐縮してしまった。


「私は大丈夫なんです…でも…ナイナグルさんとその畑にいた人たちが…ディープシーに…」


「ディープシー!?」


血だらけになったハクイを見たことにより、紅葉の頭の中に『畑で何があったのか?』ということに対して最悪の予想が浮かんでしまう…。

紅葉はどんどんと強くなってゆく雨の中、一目散にナイナグルの畑のある森に向かって走り出した。


地面に膝をつきながら下を向き、静かに涙を流し続けるハクイ…。

ハクイは地面を見ながら、『どうして私の魔法は自分自身しか守ることができないのだろう…もう消えてくれないかな…楽になりたい…こんなの魔法じゃなくて…呪いだ…』と心の中で思った。

そんなハクイを横目に、雨の音はどんどんと強くなってゆく…。




数分後、紅葉は森の入口まであとほんの少しというところまで走ってきていた。しかしそのとき、雨が地面や建物に当たる音ばかり聞こえていた紅葉の耳の中に、2人ほどの悲鳴がうっすらと飛び込む。

紅葉はさらに走るスピードを速める。

紅葉が森の入口前にたどり着くと、そこには森の外へと出てきたメガマウス、そして…女性の大人1人とまだ小学生ほどの女の子1人が地面に血だらけになって倒れていた…。その小学生ほどの女の子は紅葉が遊園地で出会った子供たちの中の1人だった…。あのときは残酷な光景の一部として見えてしまったその女の子の笑顔が紅葉の頭の中に浮かび、唖然とした表情をした紅葉の目から1粒の涙が零れる…。


「オマエ…」


「あァ?」


「オマエ…なにしてんだよぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!!」


紅葉は即座にサタンモードになり、鬼の形相で涙を流しながら光速なスピードでメガマウスにデーモンサイズで攻撃をする。しかし、デーモンサイズをメガマウスの体にぶち当てた瞬間、今まで破損することなんて一度もなかった鎌の刃が思い切り砕け散った。


「なにっ!?」


鎌が壊れたことに動揺した紅葉をメガマウスが象の足のようにぶっとい腕に比例した大きさのゴツイ拳で思い切り殴り飛ばす。

そのメガマウスの強大な威力のグーパンにより紅葉は思い切り吹き飛び、そのまま森の入口から200mほど先にあったカラパティシコ王国の入口の門の壁にぶち当たって地面に落ち、地面に落ちた紅葉の上に紅葉がぶつかった衝撃で壊れた門の壁の一部が瓦礫となって紅葉の上に落ち、メガマウス目線から紅葉の姿が見えなくなる。


「オレの名前はメガマウス、出会ったヤツは全員コロス」


メガマウスが紅葉が死んだかどうかを確かめるために紅葉が埋もれた瓦礫の山の方へとノソノソと歩いてゆく。


しかし歩いてきたメガマウスが瓦礫の山まであと10mの距離まで近づいた瞬間、瓦礫の山の瓦礫が四方八方に一気に吹き飛ぶと同時に紅葉が大ジャンプをして現れる。手にはとんでもない量の魔力が溜め込まれた鎌を持っていた。紅葉はメガマウスが自分の埋もれた瓦礫の山の方まで歩いてくるまでの時間で自分のマナを使って壊れた鎌を再生し、その鎌にメガマウスが歩いてくるまでの時間で魔力を溜め込めるだけ溜め込み続けていたのだ。

大ジャンプをした紅葉は空中からメガマウスの脳天に向かってデーモンストライクインパクトをぶち当てた。デーモンストライクインパクトがメガマウスにぶち当たった瞬間、大爆発が起こり、その爆発の煙でメガマウスの姿が見えなくなる。

紅葉は地面に着地した。


―― 今自分の出せるほぼ最大火力を致命傷を与えられる期待値が高い脳天にぶち当てた、アイツの体は鎌がぶっ壊れるほどに頑丈らしいがこれなら… ――


しかし…、煙の中から徐々に見えてきたメガマウスの姿は、完全な無傷だった。


―― まじかよ… ――


今自分の出せるほぼ最大火力の攻撃を脳天にぶち当てたにもかかわらずメガマウスが完全な無傷であったことに絶望を感じてしまったことにより、それまで怒りの感情により忘れ去っていたメガマウスに受けた強大な威力のグーパンによるダメージ、メガマウスのグーパンにより吹っ飛んでその勢いで門の壁にぶち当たったことによるダメージ、瓦礫が自分の上に降ってきたことによるダメージが一気に押し寄せ紅葉は口から大量の血を吹き出し地面に倒れ込んだ。

そんな弱った状態でなんとか立とうとした紅葉に再びメガマウスが強大な威力のグーパンをぶち込み、今度は紅葉はナイナグルの畑のある森の方向へと700m以上吹っ飛ばされた。

メガマウスに吹っ飛ばされものすごいスピードで飛んでゆく紅葉の体はまるで大砲の玉のように森の木々を何本もへし折ってゆき、それによりだんだんと減速していった紅葉は森の開けたどこかへとしばらく地面を転がりながら仰向けの状態で着地した。


―― クソ…どうしたらいいんだ…アイツを絶対人のたくさんいる街のほうに行かせては… ――


今まで受けた大量のダメージにより紅葉の意識が朦朧としてゆく…。

しかし、意識が朦朧とした紅葉がうつ伏せの状態で右を向いた視線の先には血を大量に流し倒れる人の姿があった。紅葉が着地した場所はナイナグルの畑だったのだ。

紅葉がうつ伏せの状態で周りを見渡す。紅葉の瞳にボロボロに破壊された家、荒らされた畑、そして何人もの血を大量に流し倒れる人の姿が映る…。

絶望を感じてしまっていた紅葉の心に、とてつもない大きさの怒りの感情、もはや殺意とも呼べる感情が宿る。


―― 破壊してやる…、あの野郎を…原型が無くなるほどに…完全に破壊してやる!! ――


紅葉が鬼の形相でゆっくりと立ち上がると同時に

紅葉の体から謎の小さい青い煙の塊が出現し、紅葉の前に浮かび止まる。その煙の中には4本の腕が生え、悟りを開いたような表情をした顔のマークのようなものが薄っすらと見える。

紅葉がその煙に荒々しく触れた瞬間、紅葉の体はその煙に一瞬にして包みこまれた…。



〜第11話「解放せよ、破壊の力 」[完]〜

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