表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/139

Sクラスは地雷原?!

「お、おはようございます!」


 お腹の底から声を出して、覚悟を決めて教室に足を踏み入れる。


 と。あちらこちらからキラキラした空気を纏った「おはよう」が返ってくる。


 (な、なに、このキラキラは……!眩しい……!)



「おはよう。私はエラリー。今日からクラスメイトとしてよろしく頼む」


 中でも一番キラキラを撒き散らしている茶髪のイケメンが右手を差し出してきたので、慌ててその手を握り、挨拶をする。


「私はクラリス・メルカードと申します!よろしくお願いいたします!」


 握手しながら深々と頭を下げるクラリスに目の前のイケメンは堪らず吹き出した。


「プフッ、随分と腰の低い特待生だな」


 ……あ!そうだった!ここは前世でいえば欧米風の価値観の世界だった!握手しながらお辞儀なんて、日本人しかしないわ!


「恐れ入ります……」


 つい、前世の癖で最敬礼を披露してしまったクラリスは更に「ザ・日本人」な言葉を呟きながら、手を離して自分の席につこうとした。


 が。なぜか、目の前のイケメンが手を握ったまま離してくれない。


「あ、あの、エラリー様……?」


 困惑したクラリスがエラリーと名乗るイケメンに目を向けると、その濃いブラウンの瞳が興味深げにクラリスの手を見つめていた。


「女性にしては、少し手が荒れ過ぎなんじゃないか」


 その言葉にクラリスの顔にさーっと朱が登る。

 毎日のように店の手伝いをし、家の中でも率先して家事を担当しているクラリスの手は年中荒れていた。ハンドクリームなどは贅沢品で、クラリスのような平民が簡単に手に入れられるものではない。


「お目汚し失礼いたしました!」


「……あっ」


 クラリスは怒りに任せて、エラリーの手の中から自分の手を取り戻すと、プンプンしたまま席についた。


 (何よ。水仕事なんてしたこともない貴族のおぼっちゃまが。悪かったわね、汚い手で!こちとら日々の生活にいっぱいいっぱいなんだから!)


 怒りでいっぱいのクラリスは、クラス中の視線を集めていることに気づかないままだった。






 一時限目が終わり、10分間の休み時間になると、早速クラリスのもとにはクラスメイトが集まってきた。


「イメルダと申します。クラリス様、よろしくお願いしますね」


「僕はジャンだよ。よろしくね」


「俺はダンリーだ」


「私はサラ。あなた、進学試験で三位だったクラリスさんでしょ?ぜひお友達になりたいと思っていたの!」


 クラリスにもう一度声をかけようと、クラスメイトの輪の外からエラリーが隙を伺っているが、クラスメイト一人一人の顔と名前を覚えるのにいっぱいいっぱいのクラリスはそれに気づかない。


「……くっ」


「ふふ、珍しいね、エラリーがそんなに女の子のことを気にするなんて」


「ウィル……!」


 そんなエラリーに廊下から声をかけたのは、またしてもキラキラまぶしいイケメンだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ