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初めが肝心!

 真っ白なままのノートを見つめているうちに、昨夜はいつの間にか眠ってしまったようだった。


「あいたた……机で寝たから身体が痛い……」


 身体の節々が痛むが、学園に行かないという選択肢はない。身支度を整えて一階に降りようとして、ふと思いついて三つ編みのお下げ髪にする。


「うん。これならキラキラ金髪が少しは目立たないでしょ!」


 結局昨夜はこれといった名案が浮かぶわけでもなく、クラリスはひとまず学園生活をつつがなく終えることを最優先することに決めた。


「家族も応援してくれてるし、学園を辞めるという選択肢はないわ」


 もともと学ぶことが好きだし、高等部を修了すれば就職した時の賃金も上がる。クラリスに迷いはなかった。



===============================================



 乗合馬車を乗り継いで学園に到着し、馬車から降りるとすぐに声をかけられる。


「おはようございます。クラリスさん」


「オスト…ア、アリス様!おはようございます!」


 なんと馬車を降りたところにアリスが美しい笑顔を浮かべて立っていた。


「まあ、今日は三つ編みにされてるんですね。その髪型もお似合いですわ」


「あ、ありがとうございます!アリス様は今日もお美しいです……!」


 お下げ髪を褒められて、頬が赤く染まる。そのまま下を向いたまま目だけ少し上を向いてアリスへ褒め言葉を返す。


「う、うわ……い……!はか……ょく!」


 と、なぜか、アリスが口を抑えて横を向いた。何か呟いたようだが、口を抑えていることもあり、クラリスには聞き取れなかった。


「ク、クラリスさんのクラスはSクラスですわよね?それでしたら、私のクラスと同じ階ですから、教室まで一緒に参りましょう」


「は、はい!光栄です!」


 ポーっとしたままクラリスが頷くと、アリスはにっこりと微笑んで歩き出した。





 王立学園は初等部・中等部までは成績関係なくクラス分けがされているが、高等部からはそうではなかった。


 年齢別に学年が分かれているのは中等部までと変わらないが、同学年の中でも成績によって、S、A、B、C、Dと分けられているのだ。Sクラスは学年でも上位10名までの生徒しか入れず、まさに少数精鋭だ。他のクラスも成績順で分けられており、年に二度の全学テストの成績によってクラス替えがされる。そのため、どのクラスにいるかで、成績が丸わかりになってしまうという、シビアな世界だった。


 そして、AからDのクラスは学年別に階数が分かれているが、Sクラスだけは全学年同じ階に各学年の教室が並んでいる。その階にあるのは、Sクラスの生徒のための研究室と生徒会室、職員室だけで、本当に限られた人間しか足を踏み入れることのできない場所となっていた。




「さあ、ここがS階よ。クラリスさんと私の教室は隣同士だから、いつでも遊びにいらしてね」


「は、はい!ありがとうございます!」


「ふふふ。それじゃあ、お互い頑張りましょうね」



 手を振って自分の教室へ入っていくアリスの背を見送ると、クラリスは深呼吸して自分の教室に目を向けた。


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