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アリスの秘密(続々)

 母が高熱で苦しんでいるとは知らず、アリスは爽やかな朝を迎えていた。


「うーん。今日もいい天気!」


 あの日、アリスを庇ってクレアが怪我をしてしまった日。アリスの脳内には前世の記憶が一気に蘇ったのだった。



=================================================



 え、ちょっと待って。私、なんでこんなところにいるの?!


 クレアを抱き上げて去って行くオストロー公爵の背中を見つめながら、アリスは脳内に押し寄せるアリスではない自分の記憶に圧倒されていた。


「お嬢様、私達もお部屋に戻りましょう」


「うん……」


 カイシャに促され、言われるままに自室に戻る。


「お嬢様、お疲れのようですね。少しお休みになっては?」


 黙り込んだアリスをカイシャが気遣ってくれる。


「……うん、少しだけ横になるわ。お医者様が帰ったら起こしてくれる?」


 素直に頷くアリスを手早く着替えさせると、カイシャはアリスをベッドに入れて、部屋を出た。





「私はオストロー公爵令嬢のアリス……って、『ドキラブ学園 あなたは誰のハートに火をつける?』の悪役令嬢じゃない!」


「え?嘘でしょ?何これ?もしかして今流行りの異世界転生ってことー?!」


 確か最後の記憶は…研究室で…うっかり有毒ガスを吸って……そのまま……


「えええー!研究中に誤って有毒ガスを吸っちゃうなんて、私、何年リケジョやってたのよ!」


「お嬢様?大丈夫ですか?」


「あ、大丈夫、大丈夫、ちょっと変な夢を見ちゃっただけ」


 アリスの大声に扉の前のメイド兼護衛が心配そうに声をかける。




「ふー、いけない、いけない、落ち着かなきゃ」


「とにかく私は異世界転生……乙女ゲームの世界に転生しちゃったってことね。まあ、あれだけ乙女ゲーばっかりしてたもんね。きっと乙女ゲーの神様が残念な死に方をした私を可哀想に思ってくれたのね!」


「それに、この『ドキ学』のヒロインといえば、あの、クラリスじゃない!」


「ありとあらゆる乙女ゲームをクリアしてきたけど、No.1ヒロインは断トツでクラリスだわ!あんなに可愛い見た目でかよわそうに見えるのに、芯がしっかりしてて、家族思いで優しくて!可愛いって言葉は彼女のために存在してると言っても過言ではないわね!!」


「あ、でも、そんな可憐なヒロインをいじめ倒すのが、悪役令嬢の私なのよね。できるかなあ、私に、そんな大役」 


「ん?ちょっと待って。この、お母様が私を庇って怪我をするのって……」


 悪役令嬢アリスが爆誕する過去フラグじゃなかったっけー?!

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