第83話 うた!!
ユリと部長の異世界生活27日目の夜。ふたりはギルド長とダイバーアリーナ127の計画の細部を話し合い煮詰めていくためダイバーギルド117へと訪れていた。
ダイバーギルド117の中に入るや否や、ある者がふたりの目に留まった。
深緑色の帽子を深くかぶった長い金髪が椅子に腰掛け、鳴らしていた。
『ヴィイン ヴィ ヴィ ヴィ ヴィ ヴィーー♫』
「「吟遊詩人!!」」
小声でふたりは声をそろえおどろいた。
かなしいものがたりのメロディーではじまった。
ときはながれる うみのように
とりのこされた わたしをのこし
うみはこおり わたしはまつ
あだのはなは
まだかれない
詩人は詩い終えた。
「なんかすごく……悲しい」
「そうおもってくれるのかい? ありがとうお嬢さん」
「すみませんそれは」
部長が詩人に尋ねる。
「これかい? これはギターデビル。私の相棒だよ」
『ヴィインーー♫』
白い天使の片翼のようなデザイン、デビルとは程遠い見た目のそのギターだが。
「ギターデビル……。あの、俺は部長って言います。ダイバーやってます」
「すごい……私はユリです。アイド……おなじくダイバーです!」
(ユリ、スカウトだ。絶対に逃すな!!)
(はい部長!! 電撃詩人ギタリストゲットします!!)
もはや他人に一切悟られないレベルでの目と目での会話を繰り広げるふたり。
「なるほど……ブチョウとユリか。わかったチカラを貸そう」
「「え!?」」
「私の旅にもまだ光があるということだ」
『ヴィイン ヴィ ヴィ ヴィ ヴィ ヴィーー♫』




