第62話 グレープあんこ饅頭!!
「部長おそいなぁ。しんだのかな?」
「ユリさんなんてことを」
「あははだってアイドルより長風呂なんて笑っちゃいますよ部長」
「たしかに。ふふっ」
竹を並べた床や壁でできた緑の癒しの匂いのする温泉屋のロビーで部長の上がりを待っているカジュアルな格好に着替えたふたり。
無地のエメラルド色の半袖に、深い青色のさらっとしたボトムス。ユリとサティおそろいのよそおいのようだ。
「それにしても部長さんはお強いですね。ピアニックドラゴンを倒してしまうとは」
「あぁほんとにあの人の強さはよくわからないですから……」
「よくわからない?」
「えっと急に戦い出したりわざわざ戦ったりえっと何言ってんだろ……基本なんでか戦ってますね!」
「戦う……あいづるのためですか?」
「え!? まぁ……え、一応そうなのかな……?」
ドタドタと足音が響く、青グレープ色の暖簾をくぐり抜けそいつがなかなかに慌てた顔をしてやって来た。
「ユリ! グレープあんこ饅頭はやめておけ!!」
「あ、部長! え? グレープ、な、なに?」
「グレープあんこ饅頭。通称紫の悪夢ですね。その悪夢的な旨さで手が止まらずのぼせてしんだ人もいるようです」
「「し、しんだ!?」」
「はい。お年寄りのお婆さんで寿命だった説もありますが」
「いやいや、あの量はシンプルに殺しに来てる!! お婆さんはグレープあんこ饅頭にやられたに違いない!」




