第3話 査定!!
候補生の銀髪お姉さんに呼び出され俺たちは買い取ってもらう装備アイテムの中で手元に置いておきたいモノを厳選している。
「うーん防具はいらないか。使い慣れた服の方がいざという時動きやすいしな。軽いアクセサリーっぽいのは貰っておいてと……。ユリはどうする?」
「私もこれが動きやすいというか染み付いてはいるんですけど……服」
ユリが装備しているアオいアイドル衣装。アオと白を基調としたアイドルらしい人をさわやかな気持ちにさせる最高のアイドル衣装だ。太ももや腕の露出はまあまああるが……アイドルは常に戦わなければいけない。まとめると歌え、戦え、アイドルになれ、な衣装だ。
「あ! そうか俺としたことが! すまん服は後で買おうユリ!」
「はい部長ありがとうございます。でもまだ大丈夫です!!」
「まぁユリ、上に羽織るものだけでもな。俺のスーツはアレだろ?」
「は、はい部長!」
「はい部長! じゃないよ! ちょっと傷付いたがまぁ後で店に寄って探そうぜ」
「フフ、はい部長!」
「ダイバー様方、上着や服であればサイホの店で見繕ってもらうのがいいですね。鮮やかな緑の屋根と看板のお店です。目立つのですぐ分かると思いますよ」
「そうなのかお姉さん助かるよ」
「ありがとうございます! お姉さん」
「ふふ、いえいえ。……ところでダイバー様方、そちらのお衣装は珍しいですね。特に、そのアオイ豪華なお衣装は素晴らしいです。なんでしょうかこれは?」
「あぁこれはアイドル衣装だ! 興味があるのか?」
「あいづる衣装? 興味、はい非常に可愛らしいので」
深い緑色の少し大人な色合いのギルド職員の制服を着ていた銀髪お姉さんには、そのアオいさわやかなアイドル衣装がよほど珍しかったのだろう。
「あいづる、なんかの伝統衣装みたいになっちゃってるが……。可愛いだろ! もっとじっくり見てみるか? ユリ」
部長の作戦を悟ったユリはその場でくるりと華麗にやわらかくスカートをなびかせターンしてみせた。
「おお……なんとーー! これは良い! あいづる衣装良いですね! 非常に可愛らしいです」
アイドルの攻撃を受け、クールな応対をしていた銀髪お姉さんが崩れ始めた。
(ユリ、ヤれ。トドメだ)
(はい部長!!)
ふたりは目で会話しユリは次の行動へ移る。
右手の人差し指と親指で銃のポーズ、バーンと。
アイドルは銀髪お姉さんの心臓を撃ち抜いた。
「うッ、うわあああああ!? ……落ち着けワタシ……ここは何階層!? ちょ、待って!? うッッ、うわあああああああああああ!!!!」
アイドルの乱れ撃ち。なかなかに容姿の良いユリの全力アイドル射撃に耐えられるギルド職員はたぶんいないだろう。
(ハマれ。アイドルという抜け出しようのないダンジョンに、銀髪受付お姉さん)