あたまのなか17
それはとても吐き気を催すようなものだった。
今も胸の辺りがチクチクと痛み、呼吸で気を紛らわせている。
最後の言葉は覚えている?
深い霧の中、踏み締めた草や小枝の折れる音。野生動物の息遣いや遠吠えを覚えている。
最後の言葉は、彼女はなんて言っていただろう?
それを聞いたのだろうか?
喪失感は覚えている。
目が覚める。
今日は何曜日?
何月何日?
現実感が乏しい視線が右往左往してもなにも認識ができない。
コンコン
ドアがノックされ白衣の女性がはいってくる。
現実?
夢?
見覚えのある姿だった、
頭がとても痛い・・・・・・・・。
目が覚める。
とても気分がいい。
寝るときに窓を閉め忘れたのか、カーテンを揺らし心地の良い風が室内に流れ込む。
何か夢を見ていたのだろうか?
時々、疲れているときは現実か夢か解らない時があって、機能はひさしぶりに運動をしたからぞの影響だったかもしれない。
コンコン
ドアがゆっくりと開き母親が顔をのぞかせる。
「母さん、勝手に開けないでくれって言っただろ。子供じゃないんだからさ」
「何度も呼んだのに起きないからでしょ。文句言う暇があったらさっさと起きなさい!」
「わかったから、さっさと閉めてくれ!」
母親がドアを閉めて去るとベッドから起きて大きく背伸びをして、ぼさぼさの髪を手櫛で整え部屋を出た。