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元婚約者の言葉を嫌がらせだとしか思っていない王子に真実を教えてあげました

お転婆な元平民の男爵令嬢が原因で婚約を解消したシルヴァ公爵令嬢とダグラス王子。

ダグラス王子は次の婚約者が決まらないのはシルヴァのせいだと思い込んで、夜会でシルヴァを糾弾しようとしますが?

…よくあるざまぁ系です。

さらっと読んでください

私、シルヴァ・カルバインは、最近本当に困っていることがある。


それは私の婚約者であるダグラス第三王子にすぐに告げ口する令嬢の行動が異常すぎる事だ。

彼女の名前は、イザベラ・ハービット男爵令嬢。

私とダグラス殿下とイザベラ嬢は同じ王立学園に通っている。


イザベラ嬢の学園の中の行動はいつも異常で、彼女を注意すると泣きながらダグラス殿下に告げ口をする。

その結果、私はダグラス殿下からは嫌味を言われる日々。

どうすれば良いか分からずにダグラス殿下のお母様であるドリアーヌ妃に今日のお茶会で相談する事にした。

王立学園は身分は関係ないとはいえ、社交会の縮図。

公爵令嬢である私の意見を全く聞かない、それどころかダグラス殿下に告げ口をするためイザベラ嬢は学園では浮いた存在だ。




今日はドリアーヌ妃ご自慢の紫陽花園でお茶会をする事になっている。 

紫陽花園には多種多様な紫陽花があり、野薔薇のような品種や星形の品種など他所では見たことのない美しい花が咲き乱れていた。


紫陽花園に向かうと、ドリアーヌ妃と、ダグラス殿下の妹君であるセリーヌ王女様が待っていてくれた。


いつもの通りご挨拶をしてからお茶会が始まった。


「シルヴァ、なんでも最近困った事があると聞いておりますのよ」

話題を振ってくれたのは王妃様からだった。


「えぇ。本当に困っておりますの」

私は悲しい顔をした。


「昨年転校してきた平民出身のイザベラ様なんですが…私の注意をすぐに『イジメだ、嫌がらせだ』と騒ぎ立てますの」

と言うと具体的な物事の説明を求められた。


「例えば、先日騎士団の演習の見学がありました。

その演習場で、あろうことか、イザベラ様はそこに生えている雑草で花冠を作って『可愛いでしょ?』と無邪気に遊んでいるので、むやみやたらに雑草を摘んではいけないと注意しました。そうすると…泣きながら私に意地悪をされたとダグラス殿下に訴えたんです」


セリーヌ王女様と王妃様は固まっています。


「またある時は、イザベラ様は木に登った子猫を追いかけてご自分も木に登ってしまいました。『木に登るとは何事ですか?』と言うと、また私に意地悪をされたとダグラス殿下に訴えて、ダグラス殿下からは『子猫を思いやる気持ちはシルヴァにはないのか?』と小言を言われました。」


ここで紅茶を飲んだ。そして一息ついてから続きを話す事にした。


「つい先日は、校舎の片隅にある池の魚に餌をやっていたので注意するとまた泣きながダグラス殿下に訴えて、ダグラス殿下からは『水辺の生き物を思いやるイザベラは優しいがお前は冷たい』と言われました。

問題はなんでもダグラス殿下に言って、ダグラス殿下が私の指摘を理解してくれない事なのです」


王妃様は、

「それはいけませんわ。

なぜイザベラ嬢が注意されたかイザベラ嬢もダグラスもわかっていないのね…。」


王妃様は大きなため息をつくと


「わかりました。この件はダグラス自身が気づかないといけない事です。 

シルヴァ、本当にごめんなさい。

なぜシルヴァが注意をしているかダグラスがわからないのなら、大変残念だけどダグラスはいずれ王族から廃嫡される運命しか残っておりませんわ。

そんなダグラスに付き合ってシルヴァまで大変な思いをする必要はありません。

私から国王陛下に婚約解消を進言しておきましょう」


とドリアーヌ王妃は悲しそうに微笑みながら、


「シルヴァ嬢、貴女を娘と呼べる日を楽しみにしていましたがそれは叶わなくなりました。

でも、貴女が今日まで妃教育を弱音も吐かずに頑張ったのはよく知っています。

シルヴァ嬢の努力に見合った嫁ぎ先を私の方でも探しておきます」


セリーヌ王女は悲しそうに


「シルヴァお姉様をもう、お姉様と呼べなくなるなんて私、絶対に嫌です!」

と泣いてくれた。


「セリーヌとシルヴァ嬢はこれまで本当の姉妹のように仲良くしてきました。

それはこれからも変わらずに仲良くすればいいのですよ?」


そうして定例になっていたお茶会がなくなり、今後は他のご令嬢と同じくらいの頻度のお茶会になると説明を受けて帰路についた。





このお茶会から一週間後、私とダグラス殿下の婚約は白紙撤回された。

ダグラス殿下は大喜びで、婚約を白紙にするための書類にサインをして出て行った。


部屋の外で侍従に

「シルヴァ嬢の濃い紫の目は毒薬のようで縁起が悪いし、その色が抜けたような薄い白髪も気持ち悪かったんだよね」

と言っているのが丸聞こえで、立ち会った王妃様の顔色が消えてしまった。


「シルヴァ嬢。本当に何を謝罪していいのかもうわからなくなりました。

このアメジストのような目の色は魔力が濃い証拠だし、プラチナ色の髪は光に当てると本当にキラキラと輝くのに…。

ダグラスは何も見ていないようです。」

と王妃様は謝罪してくれました。



あんなにおバカな方だったかな?



私はイザベラ嬢を注意するのをやめて、イザベラ嬢に何かあればダグラス殿下が庇うのだろうと思って放置した。

ダグラス殿下は私との婚約が白紙になり、公然とイザベラ嬢を側に置くようになった。

彼女は相変わらず、どんな所に行っても花を見つけると摘み取っては、花冠にしてみたり、胸のポケットに刺してみたり、小さな生き物を見ると餌をあげていた。




私との婚約がなくなって、1ヶ月経っても、ダグラス殿下は婚約者不在のままだった。



ダグラス殿下は、自分の容姿に絶対的な自信を持っていて、婚約者のいない身だから、沢山のご令嬢が言い寄ってくると思っていたようだ。

たしかに、ダグラス殿下は夕焼けのような真っ赤な髪にサファイアのような綺麗な目。垂れ目の優しい目元でスッと通った鼻筋。そして鍛えられた体には程よく筋肉がつき、見た目は芸術品のようだった。


夜会に行くと婚約者のいない人気の令息をご令嬢達は虎視眈々とチャンスを狙っては人だかりをつくっている。

自分もそうなると思っていたダグラス殿下だが、全くチヤホヤされる気配はなく、夜会に出てもご令嬢達はダグラス殿下を遠巻きに見ているだけだった。




そこから更に1ヶ月が過ぎた。



社交界シーズンも終盤に差し掛かり、今日は私も王家主催の夜会に参加することになっている。


婚約者が居なくなったのは私も同じ。

初めのうちは誰も話しかけては来なかったけど、1ヶ月も経つと、どの夜会でも殿方からのダンスの申し込みが絶えなくなっていて、2ヶ月経った現在では沢山の釣書が届いていて、両親は困っているようだった。



今日の夜会は幼馴染のゲオルグ・パディントン侯爵令息がエスコートしてくれて会場に入った。

彼はフリーの優良物件だから、ご令嬢の人だかりの中心はゲオルグなんて事よくある。

ゲオルグは銀髪にエメラルドのような目、人懐っこい笑顔で高身長、しかも侯爵家の嫡男だ。


今日も今日とてご令嬢の目が怖い…。



迎賓館の入り口は、人でごった返していて人混みを縫うように歩いた。


と、ホールに着くと突然、



「シルヴァ・カルバイン!」



ホールにいる沢山の貴族は大声で誰かが何か叫んだ事で、シーンと静まり返った。



「シルヴァ・カルバイン!」


今度は静まり返ったホールに私の名前が響き渡った。

声の主は、ダグラス殿下だ。


皆そっちを見る。


会場にいる沢山の目がダグラス第三王子の方を見た。

ダグラス王子はイザベラ・ハービット男爵令嬢と腕を組んで一段高い壇上に立っていた。


必然的にイザベラ嬢にも視線が集まる。

はちみつ色の艶やかな金髪を綺麗に結い上げ、淡いピンクのドレス姿のイザベラ嬢は、皆の視線をどう捉えているのか皆に微笑みかけていた。


…このパターンは悪目立ちパターンなのに…。


「シルヴァ・カルバイン!

私に未練があるからと言って、イザベラ・ハービット男爵令嬢との婚約を邪魔するのはやめてくれ!

こんなに思いやり溢れるイザベラが妃として相応しくないから婚約を認めないなどと国王陛下から言われるのは、貴様が邪魔をしているからとしか考えられない!」


大丈夫だろうか。ダグラス王子。

私とダグラス王子はかなり離れた距離にいて、会場では私よりも壇上に近い位置に沢山の貴族が思い思いに談笑していたのに。

チラチラと見ると、そうやって談笑していた人の中には王弟殿下や他にも沢山の王家が足蹴にできない重要人物が混ざっているように感じた。


それなのに、気遣いもお断りもなく突然大声で話し出すという行動に皆、呆れた顔をしていた。


「シルヴァ!聞いているのか?返事くらいしろ!」

と、私を見てまだ叫んでいる。


「ご歓談中の皆様のお話を止めて申し訳ございません。わたくしはここにおります。

お話があるのでしたら、ここでは皆様の邪魔になりますので別室で伺います。」


と私が言うと


「嫌。別室ではなくここで話をする。

ここにいる皆が話の証人となってくれるからな。

だから私の質問に答えよ!」


私が困った顔をしていると、壇上近くにいた王弟殿下が助け舟を出してくれた。


「ダグラス。カルバイン嬢の言う通り別室にて話しなさい」


と王弟殿下が言うと


「叔父上、別室では私とイザベラ嬢の言っている事の正当性を誰にも理解してもらえませんので、叔父上の気遣いはありがたいのですがこのまま続けさせてもらいます」


嫌。王弟殿下はこのおかしな行動のダグラス殿下を黙らせないと、王家の恥を晒す事になるから別室を勧めたのであって、決してダグラス殿下を思いやっての行動ではないと思うよ?


王弟殿下はため息をつくともう一度別室に移動する様に促したがダグラス殿下が拒否をした。


すると王弟殿下と談笑をしていた髭の紳士が

「よろしいではありませんか?ああ言っているのですからきっと根拠や理由があるのでしょう。

私共はそれを聞いてあげるための立場ではないですか?」

と笑顔で王弟殿下に言った。


王弟殿下は

「本当に申し訳ありません。お心遣い感謝いたします」

と髭の紳士に返事をしていたが、とうのダグラス殿下はこの状況を作り出しておきながら会場にいる招待客達には何も言わずに私に話しかけ出した。



「イザベラ嬢は、花を愛でたり生き物を大切にする妃に相応しい人柄だ。

今まで何度もそのような状況を見てきた。

イザベラは学園の池にいる魚に餌をやったり、木から降りれなくなった猫を助けたり。

それから、野山に咲く花を摘んでは花束にして飾ったり。

その行動に文句ばかり言っていたシルヴァは本当に思いやりのない女だ。

私に未練があるから、私とイザベラ嬢の婚約の邪魔ばかりしているのであろう?」


そんなダグラス殿下の言葉を皆、じっと聞いていた。


「ダグラス殿下。

申し訳ありませんが、やはり私はハービット様の行動について苦言を申し上げます。

まず、学園の池は、川に通じている事をご存知ですか?

そのせいで、大型の水性魔物が迷い込む事があるので先生方が度々見回りをしたり駆除したりしています。

そうは言っても貴重な小型の水性魔物が住んでいるのも事実なので、池での授業は必ず行います。

そんな池に勝手に向かって生き物に餌をあげるのはいけない事です。

学園の規則にも書いてあります。

そして餌をあげるハービット嬢が危険に晒されています。

これを注意しないのは、ハービット様が危険な目にあってもよいという事になりますが?

ダグラス殿下のお考えを聞かせてください」


「ならば、なぜそう言わないのだ?意地悪く言うから誤解を招く」

とダグラス殿下は苦言を言い続けるので


「規則にも書いてある通り、『餌をやってはいけません』で、なぜ通じないと思いますか?規則は何のためにあるとお思いですか?」

と聞き返すと


「それを確認しながら言えばいいではないか。

他にも傷ついた猫を助けるために木に登ったイザベラに嫌味を言ったではないか!

猫に何かあったらと心配したイザベラの優しさがわからないのか?」

と睨むように言った。


「では、ダグラス殿下は学園内の植物にお詳しいですか?」

と私は聞き返した。


「今は猫の話だ!」

と怒るので


「学園の一部の区画にはフェロモンを放って虫を誘き寄せる木や、人間の方向感覚をおかしくする木が植えてあるのはご存知ですか?

他にも危険な木が沢山ありますが、それらの植物の花や木の皮には、ポーションや薬になくてはならない成分がある事も事実です。

その木を見分けられますか?」


「見分ける必要なんてなかろう?教師に聞けばいいのだから」


「では、ハービット様は、猫が登った木に危険がないことは確認しましたか?」

と言うと、殿下は黙ってしまった。


「それから、私たちの学園の制服は、魔法の授業中に大事故に巻き込まれないために付与魔法付き特殊加工をした高価なものであることはご存知のはずです。

入学の時に『制服を大切にしなさい』と言うお言葉と共に説明を受けますから。

その制服を着て、危険かもしれない木に登りますか?

常識的に考えると、先生や庭を管理する管理小屋に行くと思います」

と私が言うと


「その間に猫が落ちてもしものことがあったらと心配になったのです!」

イザベラ嬢は涙を浮かべてダグラス殿下を見て言った。

ダグラス殿下は困ったような顔でイザベラ嬢を見ながら微笑んだ。



「そして、騎士団の演習場など危険な魔法を使った場所に生える草花には、稀に変異して毒持ちの草花が生まれることはこの国の常識。

もしも草花を摘むときは浄化魔法をかけてもらうか摘まずに眺めていなさいと生まれた時から家族に教えられて育ったはずです。

ハービット様が草花を摘むとき、浄化魔法をかけてはいらっしゃいませんでした。

ですから、危険回避のために注意を促すのは当たり前でございます」


私はダグラス殿下から視線を外して周りを見た。


「今お話した事は、この場にいらっしゃる方で学園に通った方は多いはずですからたくさんの方がご存知のはずです。

草花を摘むときの話などは、この世界の常識ですから」

とまだダグラス殿下に視線を戻して私は微笑んだ。


「学園の敷地内に危ないお花があるなんて、誰も教えてくださらなかったし、管理されている敷地内には庭師がいるから安全だとずっと思っていました。

そんな危険ならそう言ってくだされば」

と庇護欲をそそるような顔で涙を堪えているイザベラ嬢。


とそこに



「ダグラス!」

と殿下を呼んで、歩いて来た人物がいた。


ダグラス殿下に向かって歩いてきたのはミハエル第一王子。

傍には婚約者である、同盟国のクリスティアーナ王女がいて、仲睦まじそうにしていた。


「ホールが静かだから見に来てみれば!

ダグラス、同盟国や貿易国など沢山の来賓が見ている前で、何をしているのだ?

()()()()()()()

一度、()()()を治さないといけないね」

と微笑むと、


「ダグラスを医務室へ」

とミハエル第一王子は低い声で衛兵に指示を出した。



ダグラス殿下に何も言う機会を与えずに、あっと言う間にダグラス殿下は連れられて行った。


そこにイザベラ・ハービット嬢だけが取り残されたが、

「貴女も病のようだ。静養したほうがいい」

とミハエル第一王子は、妖艶に微笑み、その言葉が合図だったようにあっという間にイザベラ嬢は出口に案内され馬車に乗せられ男爵家に送り届けられた。



「皆様には、大変申し訳ない事をいたしました。本日は、キーデン地方のスパークリングワインや、オーデン公国の赤ワインなど、普段なかなか市場に出回らないワインをご用意しております。

ゆっくりお楽しみください」

とミハエル王子は皆に挨拶をした。


なんとなく皆、また談笑をしながらワインへと向かった。



私は小さい声で幼馴染のゲオルグに

「第一王子、この場を収めるために王室秘蔵の高級ワインを大量に出したわ。

これは痛い出費だと思うわ。」

と言うとゲオルグが、


「ミハエルとは友人なんだ。後で労っておくよ。

せっかくだから王家秘蔵のワインをいただこう!

早い者勝ちだ!」

と悪戯っ子のような笑顔を浮かべて、マナーギリギリのスピードでお目当てのワインの元に向かうゲオルグの姿を見て思わず笑みが溢れた。


「何にせよ、笑ったもん勝ちだよ。

だからシルヴァは笑ってなよ」


と言うゲオルグにときめいてしまったのは、きっとビンテージワインのせいだと思うことにした。



気を遣ってくれた王弟殿下と髭のおじ様は相変わらず談笑を再開していた。


そんな2人の側をたまたま通りかかると

「カルバイン公爵令嬢!いいところに来た。

おや?今日のエスコートはパディントン侯爵令息か!

君にも声をかけようと思っていたんだ!

この方は、今回同盟を結ぶニールセン国の視察団の団長であるヨイドマイト公爵だ。

今回、同盟を結ぶ記念として交換留学を予定しているんだが、優秀な2人に我が国の代表として是非、ニールセン国に行って欲しい!」



と言われて、私とゲオルグは交換留学に行くことになった。



留学に行く前。

ダグラス殿下は重い心の病で、長期療養に入ると発表された。

ダグラス殿下の公務は今後、小さな末っ子のケイト王女が引き継ぐ事になった。


セリーヌ王女から

「ダグラス兄様のあの場での行動は取り返しがつかない物でした。

もしも廃嫡したら、反社会勢力に担ぎ上げられてこの国が荒れてしまうのではないかとミハエル兄様は恐れたのです。

だから可哀想だけど一生幽閉です。」

と教えてくれた。


イザベラ・ハービット男爵令嬢はあれから学校を辞めてしまい、男爵家は引っ越したそうだ。

噂によると、イザベラ嬢のあの行動で、男爵家を支援していた複数の貴族からの支援が打ち切りになったらしい。

だから、貴族籍を返還してどこかに行ってしまったらしい。


「そんな終わった事よりもこれから留学してどうするか考えよう!」

とニールセン国に向かう船の中で、ゲオルグは楽しそうに地図を広げて、行きたい場所に印をつけていた。

「シルヴァも行きたい所はある?

やっぱり、世界一有名なコメディアンの劇場には行きたい!」

と笑いかけてくるゲオルグを見て、

「えー?それなら世界一美しい月見草畑って地図にあるここは?」

なんて話しているのが今は1番楽しい。




これから数年後に私とゲオルグが結婚する事や、セリーヌ王女が私を追いかけて来て、ニールセン国の第一王子と恋に落ちる事を、この時の私はまだ知らない。















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