第七話 ~悪運~
苦しい...!...息が....助け...も..う..ダ....
「ハア...ハア...!」
「...」
「ハア...。何だデジャブか。」
どこかで一度この体験をしたような気が。
まあ気のせいにしておこう。
先ほどの真っ暗な空間で意識を失ってしまったようだ。
目が覚めると...。
「ここは...。森?」
どうやら第2ラウンドとやらは森が舞台らしい。
森と言っても雑多で陰鬱で不安を増長させるようなものではなかった。
俺の困惑の気持ちとは裏腹に、時折心地よい風が吹き抜け木々の音を奏でる。
空を見上げると雲一つない空と太陽が暖かな日差しを俺に届ける。
まるでゲームということを忘れるくらいに穏やかだ。
さて、とりあえずさっきのアナウンスのことを思い返...
「キー!」
なんだよ。俺が考え事してるときに割り込んでくるなんてカエデみたいな...
え?
待てよ。何だ今の鳴き声は。
全神経を研ぎ澄ませ辺りを見渡す。
「気のせいか?」
「キーー!!」
鳴き声と同時に背中に鈍い衝撃が走る。
「うわっ!」
突然の衝撃に前にのけ反りつつも受け身を取る俺。
ナイス俺!カッコいい!
って言ってる場合じゃなくて...
背中に衝撃を与えた正体を確認すべく警戒しながら振り向くと...
「ウサギ...?」
体調50センチほどのウサギがピョンピョン跳ねている。
いや、ウサギか?うーん。ウサギだな?
でもウサギって2足歩行で跳ねるか?それにその真っ赤な目が怖いんですけど。
これはモンスターってやつか?
全然攻撃してこないけど敵なのか?
とりあえず...逃げよう。
睨み合いの状態になっているところから少しずつ後ずさりで距離を取ってみるが...。
なぜ取った距離の分近づくてくるんだよ...。
ふとウサギの目付きが一瞬変わった気がした。
獲物を捕らえたような...。
獲物...?
「俺の事か!?」
つい大声を出してしまったのを合図にこちらに走り出し飛び掛かって来る。
「うわあ!」
ドスッ
「キー...」
反射的にしゃがんだ俺の頭上から鈍い物音と鳴き声が聞こえた。
どうやら俺の真後ろに木が立っていてそこに突撃したようだ。
「ラッキーすぎるだろ...。」
地面に落ちたウサギの身体は光始め瞬く間に消えていった。
「おぉ...。ゲームっぽい。」
微妙な感動を覚えながら思った。
知らないことが多すぎる。
このゲームの事を調べなきゃな。
まずはこの森の事からだ。