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736:成果報告

「想像以上だけど想定外だね。久々に皆には活躍してもらうとしようかな。いかがです、女王陛下?」


「あたしもそれでいいと思う。捜査協力の申し出を明日のうちにしておいて」


 キャスの執務室に揃ったのは旧特務分室のメンバー全員。おそらく俺が帰るまでの間に特殊部隊の方からアーツへ連絡があったのだろう。俺の報告は特殊部隊からの報告との確認のような形になったらしい。


 こうして特務分室全員が集合しているのは、アーツがこの事態を、彼の信条を超えるだけの大きなものであると認識しているからだろう。皆を陽の当たる世界においてやりたいという配慮を超えるだけの、彼らの力が必要な事態だと考えているということだ。


 俺も決してその脅威を甘く見ていたわけではないがアーツがここまで警戒しているとなると、俺の警戒心も跳ね上がる。よくよく考えてみれば、ユニが犯人だと信じることはできてもその脅威については控えめに見積もっていたかもしれない。


「相手はこの世界をもう一個構成できるだけの魔力を持っている。単純なエネルギーとして使っても国ひとつは容易に滅ぼせる量だ」


「ファルス皇国の【奉神の御剣】がちっちゃくなったみたいな感じっすか?」


 アーツが頷く。そういえばファルス皇国の国宝に近い聖遺物、【奉神の御剣】は大量の魔力を圧縮、固定し、神代の技術で加工まで施した名剣だ。あれも俺の力で術を解くと魔力の大爆発を起こして危険という話だったか。


 もし世界を平和にしたいというユニの願いが本物だとしたら、国を滅ぼすなんて目的に使うとは考えにくいが、追い詰めれば攻撃に使うことも考えられる。警戒するに越したことはないだろう。


「レイ、その人本当に犯人なの?」


「確実じゃない。が、状況的にほぼクロだと思う。もちろん嵌められてる可能性もあるけど、どちらにせよ本人に確認しなくちゃ始まらない」


 アーツがどこか嬉しそうに笑っている。俺の判断が適切だったから笑っているのだろうか。そうだといいのだけれど。間違っていることがあればその場で指摘が入るだろうし、きっと正しいと、そう信じておこう。


「犯人だと確定してないから、殺せないのが怖いですね……。魔力をたくさん使えるんだと拘束も難しいですし」


「そのためにも、顔の割れていない君たちに行ってほしいんだ。ケリをつけるのはどんな魔力も食らい尽くす人間でいいけどね」


 なるほど、ユニに顔の割れていないメンバーを利用して警戒心を高めさせずに居場所を探り、見つけたら俺が刺すということか。確かにいい作戦な気がするが、俺はなかなか離れることが難しい別の仕事がある。そう簡単にこの国を離れるわけにもいかない。


 そこについて指摘してみたが、アーツはほとんど気にしていないようだった。まさか代理でも立てて行ってこいと言われるのかと思ったが、そういうことでもないらしい。それならばいいが……。


「学生も、常に学校に通い続けているわけではないからね。多分彼の居場所がわかるころには……」


 ハイネが顔を上げて、手を叩く。何か思いつたのだろうか。


「あ、夏休み!」


 なるほど、長期休暇か。休みの間も生徒たちは活動することができるが、その中でも学校全体が2週間ほど閉鎖される時期があると聞いた。そこが本来俺たちの休暇でもあるのだが、この状況で休みだなんだと言ってはいられないか。


「そう、レイくんには期末考査終了後に行ってもらいたい。もちろん、特殊部隊が彼を事前に捕まえていなければの話だけどね」

次回、11:《王帝騒乱月間》 737:期末考査 お楽しみに!

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