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571:ブリーチング

「戦う前にそんなに食べて大丈夫か?」


「うん。力でないから」


 俺はそんなに食べたら途中で体調が悪くなりそうだ。だが食事が活力の源になっているのも事実。食べてそれをきちんと力に変えられるなら羨ましくもある。


 考えているのかいないのかはわからないが、意外と消化の良いものを食べているし、実際リリィなりの準備運動のようなものなのかもしれない。


 ギルド壊滅の混乱に乗じただけあって、拠点はギルドが使っていたものを転用しているらしい。ギルドを潰しても状況が単純に好転するわけではないと分かってはいたが、まさかここまで露骨とは。


 王都をより良くするために頑張ったモルガンが報われない。だが、ギルドと一つ違いを挙げるとすればそれは住民との距離だろう。今から掃討する組織はあくまでただの武力組織。住民に無理を押し付けているわけではない。


 それならばさっさと俺たちが潰してしまえばいい話だ。事が起こる前に潰せばこの王都に住む人々に危害が加わることはない。


「到着っす。幸いまだ小規模な組織、全員が幹部級で見張りにあたれるような人員はないっす。頑強で突破力の高いレイさんを先頭に、鞄を構えてリリィさんが、その後ろにハイネさんが続いて、それから僕はバックアップに回るっす!」


 俺もその判断には同意だ。さすがは隊長、顔つきもどこか精悍でアルタイルに似てきた気もする。やはり顔そのものはあまり似ていないが。


「どうせ警報がついてる。私が飛ばす」


 リリィが玄関の扉に触れ、魔力を込める。人数が少ないのなら、警報魔術は確実に設置しているだろう。そうなれば確かに勢い重視で突撃するのもいいだろう。入り方は特にカイルに指示されていないし、止める様子もない。好きにしろということだろう。


「分かった。ちゃんとついてこいよ」


 リリィとハイネが頷く。それならよし。俺も安心して突っ込める。


「じゃ、いくよ」


 一瞬、リリィの手許が光る。そしてその次の瞬間、想像の数倍静かに粉砕されて飛んでいく。今だ。


 カイルがざっと建物の中を見てくれたが、まだ奥の広間で全員起きているらしい。スピードが大事だ。


 部屋の奥で警戒を報せる音が鳴り響く。その警戒が形になる前に、決める。滑り込むように扉を叩き壊して広間に突入する。


「だ、誰だこいつらッ!?」


「正体なんてどうでもいい、殺れ!」


 部屋の隅に並べてある魔導具を取りにいこうと背を向けた構成員の背中を撃ち、滑り込みの勢いのまま立ち上がって手近な二人を斬り伏せる。


 カイル、つまりその上のアーツからの指示はここの制圧だけではない。そこに残された違法魔導具や資料を回収してくること。あまり血を撒き散らすような戦いはできない。俺の仕事はここまでだ。


「じゃ、後はよろしく」


 俺の仕事は先頭での弾避けと、それから敵の注目を一手に引き受けること。そうすれば俺に気を取られた敵を、後続はいとも簡単に狩り尽くせる。


「お任せを」


 リリィの鞄に身体の半分ほどを隠して部屋に入ってきたハイネは、そのまま全員の心臓を握りつぶす。仮面で禁呪を制御する感覚を身に付けたからか、仮面がない状態でも出力が上がっている。


 今までは同時に数人の心臓を潰すのはなかなか大変そうだったが、今はこの部屋の敵全員を一撃で仕留めている。ハイネ曰くいろいろとできること、できないことがあるらしいが、十分に強い。こういう場面では無類の制圧力を誇るだろう。


「制圧完了しました。討ち漏らしなどあればお願いします」


『ばっちり全滅っす! 僕もこれから向かうので、先に回収を始めておいてほしいっす!』

次回、572:作戦の思惑 お楽しみに!

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