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148:対面

 翌日、アーツを連れて【影】の許に向かう。昨日約束した通り、枯れた噴水の広場で彼は待っていた。


「待たせたな、こちらが俺の上司だ。こいつの話に少し付き合ってやってくれ」


 俺は近くの地面に腰を下ろすと、朝のうちに買っておいたレモネードの瓶を開ける。ニクスロット王国では飲むことができなかったから、なんだかんだ久し振りだ。


 強い酸味が、朝の微妙に目覚めきっていない頭をすっきりさせてくれる。二人は少し似ているところもあるし、気は合ったらしい。


 最初の方はよかったのだが、何やら途中から話がややこしくなり始め、最終的には理解できなくなってしまった。


 根幹魔力を星から取り出す手段の話をしているのはわかるが、どうにも訳が分からない。ただ単純に魔力を吸い取るのとは違うようだ。


 人から魔力を奪う場合、専用の魔法陣や仕掛けの中に対象を入れればその魔力を自動的に引きずり出すことができる。


 高名な魔術師の館だと、その術式が館全体に仕掛けられており侵入した瞬間から魔力を吸われ続けるなんてこともあるらしい。俺には関係ないが。


 星の魔力を奪うには、星と同等の何かにその魔力を移し替えなければならない。要は同じ規模の器を用意してからではないとどうにもならないということらしい。


 しかし、そんなものを人間に用意できるのだろうか。もちろん、用意されているからこそこの現象が起こっているわけだが。


 二人の話しぶりを聞いていると、どうも理論的には不可能な話ではないらしく、出来ないこともないらしい。


「しかしまあ、そんな労力をかけてる暇があったらそれを他の方向に使いたいものだけどね」


「ええ、同感です」


 まあ、べらぼうに難しく面倒だということはわかった。ようやく少し二人の会話に口をはさめそうな隙ができた。


「なあ、結局協力するのか? しないのか?」


 そう。話が盛り上がってしまっていてそこについての結論を一言も聞くことができなかった。どうなったのだろうか。


「それはもちろん、するとも」


 まあ、だろうな。これだけ話していて『でも協力はしません』なんていう男じゃない、アーツは。自分たちと反りが合わず目的を知られたとなればその場で殺すタイプだ。


 まあとにかく、強力な仲間ができて良かった。このとてつもなく巨大で広大な国でどうしようかと思っていた矢先の、まさに渡りに船。会うことができて良かった。


 これからの方針について話し始めたので、俺は安心して宿に戻る。今日は地図やらなにやらを一通り買ってある程度の地理を把握する。土地勘のなさは命取りになりかねない。


 裏道を知っているだけで、どんなに助かるか。それを知らない相手ならば裏道に逃げ、知っている相手ならば裏道に行ったと見せかけて縦方向に移動する。これだけでかなり生存率は上昇する。


 店の人から地図に載っていない道などの情報も仕入れ、ある程度量が揃ったら少しだけ安心できる。相手が逃げる隙さえ与えてくれれば、生き延びる確率が上がるのだから。


 街に出ようと宿に戻ると、ちょうどリリィも買い物に行くところだったようで一緒に行くことになった。せっかくだし何か買ってやろう。


 俺は一度部屋に戻り装備をかなり軽くしてから財布を持ち、それから部屋を出るのだった。


「レイ、はやく行こ」

次回、149:帝都中央通り お楽しみに!

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