プロローグ~終わりの始まり~
痛い。
身体中が痛い。
なんで?
暑いし寒い。
体の感覚がおかしい。
××はもう死んだはず。
なのになんで?
なんで痛みを感じる?
「おぉ、これが完全体か!!」
「これを一から調教して我々の奴隷にしてしまえば竜なんぞ敵ではないわ!」
誰かの声がする。
薄く目を開ければ自分の横で男たちが話をしていた。
さっきとは違う優しい猫なで声で男が話しかけてくる。
「調子はどうだい?半竜」
半竜?
聞き覚えのない単語に疑問しかわかない。
必死に考えようとしても頭に霧がかかったように思考が回らない。
起き上がろうとしたら手元でガチャリと音がして、初めて自分の体が固定されていることに気付いた。
「おっと、動いちゃいけないよ」
男は胡散臭い笑顔でそう言った。
「君はこの世界の母、創成竜 フルスターリの意思を継いでるんだ」
「そうだ。弱き者を守り、小さき者を愛すのだ」
「それがお前の役目だ、半竜よ」
半竜。
その言葉をもう一度聞いたとき、血液が逆流するような感覚に陥った。
頭の中に膨大な量の情報が入ってくる。
言葉では言い表せないような、遥か昔の記憶。
この世界の終焉。
何も知らないはずなのに、それだけはわかった。
頭が割れそうなくらい痛い。
「ぐぁあ゛ああぁっ!!」
前の自分では考えなれないような声が出た。
バキバキと音がして手を固定していた手錠が壊れた。
反射的に見た自分の手は、
___白銀の鱗に覆われていた。