箸をケツに挟んで割ってくるタイプの幽霊に取り憑かれたので、餓死した。
ある日の夕暮れのことだ。僕は曲がり角を曲がっていた。曲がり角を曲がり終えた時、僕は偶然にも箸をケツに挟んで割ってくるタイプの幽霊と出くわしてしまった。
「お前に取り憑いてやる!」
「うわーやめろよー!うわー!やめろー!」
その日からというものの、幽霊は僕がご飯を食べようとする度に箸をケツに挟んで割ってきた。おかげで僕はご飯が食べられず、日に日に痩せ細る始末だ。
これでは死んでしまうので、僕は手でご飯を食べることにした。だがしかし幽霊は僕の手をケツに挟んで割った。折れたのでなく、割ったのだ。僕の手は腕から分離し、部屋の隅に吹っ飛んでいった。
幽霊はなんでも割った。スプーン、フォーク、パスタ、ホウキ、椅子の足、家の柱、電柱。全てケツに挟んで割った。すっかりライフラインを切断された僕は惨めにも助けを呼ぶこともできず、死んでいったのだ。
そして僕は幽霊になった。もし街で誰かのお箸や電柱をケツに挟んで割っている幽霊を見たら僕だと思ってほしい。そして思いだして欲しい、世界のどこかでは今でも幽霊に箸をケツで割られて苦しんでいる人がいることを。