#3 幼年期
〜3年後〜
「アルー?アルバート、何処にいるのー?」
_______________”アルバート”
これがこの世界で名付けられた俺の名前。
両親の姓が”ガルシア”であるため、フルネームではアルバート・ガルシアとなる。
名前からも分かる通り、やはりここは日本ではないらしい。
かと言って、フランスやドイツという訳でもないのだが、それはまた。
俺がここに転生してから、三年がたった。
はじめは戸惑いもあったが、今では慣れたものだ。
当初、異国語のように感じたこの世界の言語だったが、どうやら発音も単語も日本語とまったく同じらしい。何かに書き表す時だけは、不思議な文様のような文字を用いる。
では何故聞き取れなかったのだろうか。単に、このアルバートの身体が幼かったため、頭に入ってこなかったのか。知識や記憶はあるのに、変な感じだ。
……が、それも年を重ねるにつれて問題ではなくなってきていた。
言葉について、意味や文法などもわかっていたため、この身体で話せるようになったのは、1歳の誕生日を迎えるよりも遥かに早い時期だった。
両親は多いに喜んだものだ。やれ天才だ、神童だってね。
俺は、親馬鹿が過ぎるだろうと苦笑いするしかなかった。結局は成長が早い、ということで片付いたが。
なまじ早い時期で喋れるようになったものだから、今度は子供らしく振る舞うのに苦労した。
体は小さくとも、中身は立派な29歳社畜。
僕、なんて一人称……使ったのは何年ぶりだろうか……。
紆余曲折を経て、敬語キャラで行くことにした。これならば、違和感はないだろう。多分。
ベランダで外を見ていた俺は答えようと振り向いた。この土地は、「村」という単語が良く似合う感じの、田舎風景であった。
「母さん、僕はここですよ。」
「ああ、ここに居たのね。庭を見ていたの?」
この女性は、この世界での俺の母親にあたる”サーシャ・ガルシア”だ。
赤髪碧眼の、胸部が「とても」豊かな女性(※俺基準)だ。
落ち着いたグリーンのドレスがよく似合っている。この人に似たのか、俺の髪も赤毛だった。
父親は”イヴァン・ガルシア”といって、銀髪に緑の瞳のイケメン(※俺基準)だ。
そして、俺が転生して一番驚いたのが、この両親の職業だった。
「父さんの教室の様子を見ていました。」
ガルシアの両親は、二人とも魔術師だったのだ。
俗に言う「魔法」を操る…アレだ。
そうなると、やはり俺はファンタジーな世界に転生したのだと実感する。まあ、受け入れるしかあるまい。
つまりこの世界は、剣と魔法の世界なのだ。
「ローラもグレンも、頑張り屋さんね。」
父、イヴァンの教室には、現在二人が習いに来ている。俺より四つ年上の少年、”グレン”と、二つ年上の少女、”ローレンス”だ。
二人とも、午前は毎日我が家に来ては、必死に魔術の勉強に勤しんでいる。
喋ったことは殆ど無い。というより、何故か俺は二人に嫌われているようなのだ。
嫌われるようなことをした覚えは無いのだが……。
「母さん、僕はまだ魔術の勉強をしてはいけないのですか。」
「うーん……アルにはまだ早いのよ。アルはまだ小さいんだから、もう少し大人になってからね。」
「ぐぬぬ……。」
俺は納得していなかった。たしかに「アルバートは」生まれてから3年しか経っていない。それも、明日が丁度3歳の誕生日だ。
俺が3歳だった頃は、ろくな言葉を喋っていなかった気がする。所謂肛門期というやつで、具体的には「う〇こ」とか「ち〇こ」とか言ってた筈だ。
糞ほどしょうもない時期が俺にもあったものだ。
おっと、口調に気をつけなければ(確信犯)。
「さあ、そろそろお昼ご飯の準備をしましょうか。」
「はい、母さん……。」
俺はサーシャの言う大人とやらになったら、死ぬ程勉強しようと誓ったのであった。
気力の……限界……ぐふ・・・( ゜∀゜)・∵.∵.