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3魔王、日本での日常を満喫す。

魔王の朝は早い。時刻は五時前。こちらに帰ってきてから一週間が経ったが、向こうでの癖で早起きになっていた。身体を起こし、ストレッチで身体を覚醒させる。

そうする事で血が巡り目が醒めるし、身体も柔らかくなるので戦闘があった異世界では必ずやる事にしていた。



この一週間色々なことがあった。

失踪宣告で死亡扱いになっていた戸籍を戻したり、日用品を買い足したり、高校への編入試験を受けたりと、まあ色々だ。



二十七になって高校かぁとも思ったが、容姿は十年前と変わっていないし、今のままじゃ中卒だし、両親にも薦められたので行く事にした。



そして、高校への編入はもう一つ理由がある。妹を救い出すためだ。こっちに帰ってきて、調べてわかったが、五年前に一度クラス丸ごと神隠しにあったという事件があった。



そこで妹は巻き込まれたとみて間違いない。時期的にも辻褄が合っている。

そして、魔王サタンがやられたとなったら、その眷属が黙っているわけがない。手痛い反撃を王国にしているはずだ。

もう一度、王国が転移魔法陣を使ってくるのは間違いない。



それを利用してやれば随分とやる事は少なくなる。

座標指定と術式縮小で一クラス分の魔法陣を俺一人にすればいい。内側から奴らを屠ってやる。



その高校は公立ながら屈指の進学校で勉強は難しいとされているが、魔眼の一種に一度覚えた事を忘れないという記憶の魔眼がある。そのおかげで勉強には苦労しなかった。



教科書をペラペラめくっていくだけなのに簡単に覚えられるので便利だ。楽しくなってつい高等教育まで全ての教科を完璧に覚えきった。


進化の途中で抜け落ちてしまったのか断片的にしかあちらの事は思い出せないが。



入念にストレッチをした後、動きやすい格好に着替えた俺は日課のランニングへ向かう。

十年もの間で色々なものが進化していた。特に驚いたのは携帯電話だ。



俺が居た頃は某リンゴ社からスマートフォンが出てきてタップ操作が主流となっていたが、今時では小型のヘッドフォンマイクの様になっていて、『スマートギア』というらしい。耳から脳波を読み取り、視覚に操作画面を投影して操作できる様になった。




某リンゴ社の最新機種は10まで出ていて俺も母さんにそれを買ってもらったのだが、便利になったものだ。



今もそれをつけているが、走行距離はもちろんの事、消費カロリーや速度、時間、ランニングに適切なコースのナビゲートなどもしてくれる。




向こうでは全速力で体力が切れるまでひたすら走り続けていたが、日本でそれをやると建造物を破壊しかねない。目立たない様に速度は出していないが、時間をかける事でじっくりトレーニングしている。





身体の柔らかさはもちろんの事、体力も戦闘にとっては大事なものだ。戦争など尚更である。バテて敵に刺されるなどの死に様は勘弁願いたいからだ。




一時間ほど、走り続け家に戻る。その途中でスマートギアを操作し風呂を沸かす。電気機器も進化していてスマートギアに登録しておくと遠隔操作する事が出来る。科学も凄いところまできたものだ。




風呂の中では、魔力支配による魔力操作による訓練だ。これも向こうでやっていた。

風呂のお湯に無数の小さい渦を作り、それを纏めて大きくしてみたり、分離させてみたりするわけだが、地味な割に難易度が高い。



魔法の出力調整が肝になるのだが、他にも複雑で風呂の中の時間を有意義に使えるので欠かした事がない。



向こうではお風呂という文化がなく、魔法による浄化や水を浴びるだけで済ます人が多かったが、純日本人の俺は耐えきれるわけもなく、土魔法で湯船を造り、水と火の混合魔法でお湯を張って入っていた。




今では遠隔操作だけでお風呂に入れるので異世界にいた時よりは楽だ。生活魔法は人を殺すための魔法と違って複雑な行程を踏まなければならないので疲れるのだ。


しかし、まだ兄貴の足元にも及ばないのである。十年ぽっちで追いつけたら、チートが過ぎるというものか。




風呂を上がると時刻は七時を回っていて、リビングから朝食のベーコンの焼けるいい匂いがしてきた。


母親に作ってもらった朝食を両親と食べ、今日も一日が始まる。

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