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9魔王、人を育成す。②

ちょっといつもより長めです。

「ざけんなぁぁぁああああああ!!!」



ダンジョンの中を悟の声が木霊する。



「絶対、輝兄難易度の設定間違えてるよ!!普通の人間が生き残れるはずねぇだろ!!」


「うるさいバカ!何も言わず走れ!!!」



性懲りも無く二人はまたダンジョンを走っていた。

うんうん。わかるぞ。俺も初めて一人で入ったダンジョンでそんな感じだった。入ったってより兄貴や他の幹部の奴らに、物言わせぬ笑顔で投げ込まれたんだけどな。



あの時は物の支給なんてなかったし、一人だった。それと比べたらいくらかマシだろう。魔人だったから最初からアドバンテージはあったけども。




二人をダンジョンに入れてから半月程経った。

二人の成長スピードは異常なほど早く、地下七階まで順調に進んでいた。まあ予定通りだ。



俺が作ったので、自然に発生したものと違い、そこまで各階層広く無いというのもある。まあ、あれだけお膳立てした上に、ダンジョンには宝箱を配置して、二人の成長に応じて適切なものを入れておいた。これくらいはやってくれないとこれから連れて行けないからな。




少し悪ノリがすぎて、悟は前衛特化、薫子は後衛

特化として、魔族と渡り合えるくらいには成長してしまった。

こんなに成長速度が早いのは異常だが、ダンジョン内の魔素を徐々に上げていき、今では二人を入れた時より十倍は濃くしてある。



魔素というのはモンスターや魔族だけでなく、普通に人間にも作用する。

濃い魔素は人間の身体に取り込まれると耐性の無い者は倦怠感が出るのだが、経験による成長をより促す効果がある。



おかげで、悟も薫子も死ぬ事なく、逞しく生きている。何度か痛い目みてマニュアルの安全マージンを守っているおかげでもあるのだが。



ん?地下二階に水場があって、今回は濡れ場を期待していたそこの君。そう、そこの君だ。

こんな序盤にそんな美味しいところ描写するわけが!!・・・・おっと、逃げてた二人に変化が。




これまでの階層は、モンスターを徐々に強くして行っただけだが、七階は強敵となりゆるモンスターを配置した。その分、数は少なくしてある。モノによっては下位モンスターを引き連れたやつもいる。



今二人は、グリムという下位モンスターを息をするように生成する悪魔と対峙、というか逃げてるわけだが、どういうわけか道を間違えたのか、壁に追い詰められてた。



退路なし、前方に減る事の無いモンスターの群れ、まさに絶体絶命だが悟が上手く敵を捌き、薫子が魔法で蹴ちらす。二人も人間離れしてきたわけだが、訓練をしている側としては嬉しい限りだ。



さて、俺もちゃっちゃと準備終わらせますか。


〜〜〜


「薫子キリがねぇ!一旦引くから雑魚を一掃してくれ」



悟は、私にそれだけ言うと私の横まで下がってきた。もう準備は出来てる。




「そんなのわかってるわよ!一々口にして命令すんなーー!!疾れ!!稲妻!!」



私の前に魔法陣が現れ、無数の稲妻が前方のモンスター達に当たる。

ダンジョン内の狭い通路に密集している為、グリムが出したモンスター達は一掃された。



「サンキュー!頼りになるぅ!」


「今よ!悟!!エンチャント!韋駄天!!」


「ほいさ!親玉は任せろ!!魅せるぜ!!オトコの一騎駆け!!」



出したモンスターが一掃され、怯んだグリムを悟がアッサリと光の速さで真っ二つにする。

悟の身体能力は人間離れしていたが、私も人の事言えないか。





輝お兄ちゃんの作ったダンジョンに入って、早半月。その階層に出てくるモンスターを簡単に殲滅出来るようになってから、先に進んでいるがペースが早くなっている気がする。




いつもより成長が早まってる?今度、輝お兄ちゃんに詳しく聞かなきゃ。

実は、悟には話していないが、定期的に輝お兄ちゃんとは念話で話している。



そもそも魔法というのは、概念そのものであり、それを魔力で捻じ曲げる事により現象を起こすものらしい。詠唱もそのイメージを固めるもので頭の中で完結出来ていれば必要無いしね。



輝お兄ちゃんからもらった心得にそう書いてあった。あの憎き魔王サタン直伝らしいが、世紀を幾つも跨いできたその魔法の知識は本物らしい。



つまり、簡単にいうと想像力と魔力が足りていれば、魔法でなんでも出来る。ということで、ここが輝お兄ちゃんと直接的に繋がった異空間なので、特に魔力を消費する事もなく念話出来たわけよ。



声が聞きたい。と強く念じたら出来たからお互いに初めての念話の時は驚いたわ。

驚いた輝お兄ちゃんも少し可愛かったけど。




あぁ、早く終わらせて、輝お兄ちゃんに会いたい。それに、地上に戻ってゆっくりお風呂に入りたいわ。今も魔法のおかげで清潔そのものは維持できているけど、危険の無いところでゆっくりお風呂に入れないのは日本人としては許し難い事項だわ。



美少女がこんな事になっているのは、世界の損害そのものだけど、これも輝お兄ちゃんについていく為と言い聞かせてる。



むしろ、これくらいやらないと隣に並べないわ。魔法を覚えてから、このダンジョン自体がものすごく凄いものとわかった。



ダンジョンそのものが魔力で形成されていて、それを維持する異空間の魔力も考えた限りだと、輝お兄ちゃんか魔王サタンにしか出来ないんじゃないかしら。



まあ、他の人なんて知らないからわからないけど、人間がいくら努力しようがこの領域には届かないって素人目から見ても明らかなんだからしょうがないわ。



それくらい凄いものを簡単に作って半月も維持できてる輝お兄ちゃんは一言で言えば化け物よ。

けど、私にとっては、あの時と変わらない優しくてかっこいい理想の男性そのもの。



どれだけの絶望を味わってきたのかは、私にはわからないけど、あの校舎裏から戻ってきた輝お兄ちゃんは別人のようで少し怖かった。近くに帰ってきたのにまだ遠くにいるようで。

あんな顔にさせた王国は万死に値するわ。今すぐにでも滅ぼしてやりたいくらい。





滅ぼすにしても、力を付けなきゃならない。だから、私たちもこんな事しているわけなんだけどね。




ゲームや小説みたいにスキルやステータスの概念がないからか、よくある鑑定スキルみたいなものがなくて、どれだけ強くなったか数値として見れなくて不便だなー。

って思って、魔法で代用しようとしたらこれが出来てしまってこれまたビックリした。



悟の趣味の一環でたまに暇つぶしに読んでたからイメージするのは簡単だった。数値にするには比較するため数値が必要だったので、一般の大人の男性をオール10に設定してみた。

今の私たちのステータスはこんな感じ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:東條薫子(トウジョウカオルコ)

性別:女

種族:人間



体力:520

筋力:150

防御力:200

知力:2540

精神力:1200

敏捷:350


特殊能力:

魔王の加護【輝】

魔法の深淵


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


魔法の深淵ってのは、多分だけど、魔王サタン直伝の魔法理論を叩き込んだから開花した能力。

ありがたいけど、あいつのおかげっていうのがなぁ。



魔王の加護は、悟にも付いてるけど、輝お兄ちゃんが気を利かせてくれたみたいで、成長促進の他に色々と恩恵があって詳しい事はわかんない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:高原悟(タカハラサトル)

性別:男

種族:人間



体力:1680

筋力:1400

防御力:1800

知力:100

精神力:680

敏捷:1700


特殊能力:

魔王の加護【輝】

守護神(ガーディアン)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


守護神は、防御面の能力を底上げして、敵の注意を向ける事ができる能力で、これのおかげである程度安全に私が魔法を展開できる。




うん。充分に私たちも化け物に成ってしまったみたい。

因みに、一階にいたゴブリンはこんな感じ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:ゴブリン

性別:オス

種族:魔物



体力:50

筋力:30

防御力:10

知力:5

精神力:5

敏捷:50


特殊能力:

なし


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



魔法を使う人によって、元の数値も違うからあれなんだけど、大体こんな感じよ。



成人男性の一五倍の筋力なんて、普通に考えて女子高生としてはあり得ないわ!

と言っても筋肉マッチョになったりしてないし、身体の線が太くなってないのは不思議なんだけど。



まあ、輝お兄ちゃんには責任を取って、娶ってもらわなきゃ割に合わないわ!




そんな事を思いながら、問い詰めた時の輝お兄ちゃんの妄想に耽っていると、ダンジョンが大きく揺れた。どうやら休憩してる暇もなさそうね。

グリムを倒して満足そうに剣の手入れをしている悟に呼びかける。


「悟!行くわよ」


「さっき強敵を倒したばかりだというのに、姫様も逞しくなったもんで」


「茶化してないで準備。遅れを取ったら殺すわよ」



まだ半月しか経っていなかったが、二人は四六時中襲ってくるモンスターを倒しながら成長していた。連戦などお手の物だ。


「わかってるよ、そんなこと。それより、いい加減、広範囲魔法を合図もなく後ろから浴びせんのやめてくんね?毎回避けるの大変なんだよあれ」


「まあ、当てる気でやってるからね。中々、当たってくんないけど」


「・・・さいですか。んま、じゃ行くかー」

あんまり出す気は無かったんですが、ステータス表示した方が話がスムーズかなー?と思い、書いてみました。どうでしょうか?



まだ、薫子視点でしか出す予定はないですが、便利ですね。チート性能が一目瞭然。

まあ、このチート性能には作中でも言いましたがダンジョンの特色と魔王の加護【笑】が関係してます。詳しい事はまだ言えないですが。




戦闘描写って難しいですよね。次の回は初の本格戦闘です。主人公でないのがあれですが、既にあれはチートなんて甘っちょろいものになってしまったので、しばらくは悟、薫子の戦闘だけです。



そのお兄ちゃんは裏で色々とやってます。サボってるわけじゃないので許してください。

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