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8魔王、人を育成す。①

悟視点でのダンジョン攻略となります!

薫子じゃなくてすいません!!

あれからトントン拍子に話は進んでいき、この俺、高原悟は今迷宮の中で、幼馴染と一緒に彷徨っています。もう、時間の感覚はあまり無い。昼なのか夜なのかわからないダンジョンの中は俺の体力と気力を削ぐのに充分だった。



おい今、「あぁ、バカる視点なのね・・・」とか思った奴出てこい!ぶっ飛ばしてやる!



普通の日本の高校生がいきなりダンジョンって生きていけるはずがない!!食料は!?寝床は!?もんすたーは!?と思っている方も多いと思う。

その疑問にお答えしよう。



時を遡る事、数日前俺らが輝兄と再会して、全てを打ち明けられた後に戻る。


「それじゃ、今からダンジョン作るから少し待ってて。」


「唐突過ぎる!友達や家族、学校はどうするの?」


「それはこうなると見越して。魔法でもう三人分人形を作って、学校で授業を受けているぞ。問題ない」


「「問題あるわ!!ぼけ!!」」


思わず、薫子とハモってしまったが、驚きである。

輝兄に着いて行く覚悟はあるつもりだが、いくらなんでも唐突だ。心の準備が、、そう、そうだとりあえず、素数でも数えて、1,2,3,5,7,11って1は素数じゃねえし!!


「じ、じゃあ準備はどうするの?このまま行っても死ぬだけじゃない?輝お兄ちゃん」


さすが薫子、頼りになる。


「あぁ、もちろん考えてあるぞ。」



そう言って、輝兄が何もないところに手をかざすと、穴ができて、そこからポーチを二つ出して俺らに渡した。


「それは魔法ポーチと言って、簡単に言うとゲームのアイテムボックスみたいなものだ。どんな物を入れても重くならないし、かさばらない。制限も改造してなくしてある。その中に必要な物は入れておいたから無くさぬように」


本当に中に物が入っている。

感覚で入っているものは把握できた。食料に寝袋、出てくるモンスターの資料に戦い方の基礎が載ってる本、ダンジョンの心得。更には、武器や防具まで入っている

のだからびっくりだ。魔法って便利。


「輝兄!質問なんだけども、も、もしかして、俺らも魔法使えたりするのか!?」


「あぁ、元々こちらにいる人も一定の魔力は持っている。ダンジョン内は魔素が濃い。それを上手く感じ取れるようになれたら才能があるって事だろうな。普通にこちらにも魔素があるにはあるが、慣れ過ぎてしまって感じ取るのは難しいだろう。だからその訓練としてでもある」


「おー!!すげー!!魔法とか使えたらマジ感動モノだわ」


「悟、浮かれるのもいいけど、これは訓練だからね。私たちの試練でもある。これくらいが出来ないのならば付いてくるなって話なんでしょ?輝お兄ちゃん?」


「相変わらず察しがいいな、薫子は。まあ、そういう事だ。この試練で大体の素質がわかる。俺自身もやらされた事があるしな。まあ俺とお前らじゃ、状況が違う。やらないという選択肢もある。」


「もー!しつこいなー!やるったらやるの!!」


「すまん。まあそれほど危険ということでもあるんだ。ましてや、王国の軍隊とたった三人で挑まなければならない。その事を理解してくれ」



ごくり。

わかってはいたが、言葉にされると重く圧しかかってくるな。割と、勢いでここまで来てしまったが、とんでもないジャイアントキリングだ。燃えるじゃんか。






と、思ってた若い自分がいました。



今は、思いふけっていたらトラップを踏んでしまい、そこら中からモンスターが湧き出て、追いかけられています。輝兄めぇーーー!!!



「これだからバカるは!!!なんで明らさまに盛り上がってるとこ踏むのよ!!!バカじゃないの!?」


「すまんて!!俺も若かったなーって思い返してたんだよ!!ごめんなさい!!」


「これだからバカは!!!」


そう何度もバカって言われるとカチンと来るな。まあなんも言い返せませんけど。




なんとか俺らは煙幕とにおい消しを使ってモンスターの群れを巻くことが出来た。今は下層に渡る階段で休憩中だ。一体一体は、とても弱くて、支給された剣でなんとかなるが、あれだけいると流石に無理だ。ゴブリンや一つ目のコウモリ、スライムくらいしかいないが、あれだけいると気持ちが悪い。



俺も薫子も最初は拙い感じであったが、何度も繰り返すと次第に倒すのに慣れてきていた。なので、少し油断していたのかもしれない。



輝兄からの支給品は気が利いていて、武器の振り方や練習方法まで細かく書いた本もそうだし。ダンジョンの心得やモンスターの特徴を書いた本は何度も俺らの命を救った。



このダンジョンは異空間に作られていて、地下十階からなる洞窟になっていた。最下層にはダンジョンマスターとお宝、帰還用の魔法陣があるらしい。



出てくるモンスターも下層に行くほど強くなるのだが、二人で相談して、しばらく慣れるまで最初の階で訓練していた。疲れたら安全な場所に移動し、一人ずつ仮眠をとり、出発、を繰り返していたわけだが、今回の事でだいぶ消耗してしまった。



「もー!!疲れた!!お風呂入りたい!!バカるじゃなくて、輝お兄ちゃんと一緒がよかった!!」


なんとまあ清々しいまでの本音である。ここまで来ると怒りさえ湧いてこない。


「ダンジョンの階段まではモンスターが入ってこれないってわかったんだし。これからは此処を拠点にして下に行っても良いんじゃないか?」


「そうね、ダンジョンの心得には、地下二階には水辺もあるって書いてあるし。ちょうど良いわ」









〜〜〜

どうやら、悟と薫子は上手くやってるみたいだ。三体くらいなら同時に相手してもコンビネーションで上手くやっている。


ダンジョンを作った俺は消費した魔力を取り戻すために瞑想しつつ、ダンジョンを覗いていた。



薫子は魔眼で調べた結果でわかっていたが、魔法の素養が高く、ダンジョンに入って間もなく、火や水の生成に成功している。それからすぐ攻撃魔法を習得して、それを活かして後衛をしていた。



逆に悟は、魔法の素養は高くないが、元の運動神経がいいのか身軽でフットワークの良さを活かして敵を翻弄し、ヘイトを集め、後衛が狙いやすいように動けていた。



正直驚いたが、この二人が育てば、かなりいい線に行くと思う。



そんな将来性を感じさせる二人の能力は上がりっぱなしだ。レベルという概念はないが、強敵を相手にすると人は強くなる。そこは魔人や人間も変わらない。魔人は初期値が高いってだけだ。



しかし、能力だけで戦いは決まらない。現に、俺は能力値的には兄貴に勝っているが一度も戦いで勝ったことがない。



つまり、能力は高ければ高い程いいが、それよりもモノを言うのが経験だ。早いところ、二人には、その経験を積んで欲しいわけである。

ダンジョンと戦争では勝手が違うのだが、戦闘そのものの経験が有るのと無いのでは雲泥の差だ。



かなり、キツイ事をさせている自覚はある。しかし、これくらい乗り越えてくれなければ、王国と戦うなど夢のまた夢である。頑張ってもらいたいものだ。



魔力がある程度戻ってきたので、俺は次の段階に移るか。



異世界では散らばった魔人達が各地でゲリラ戦を行っているはずだ。半数になった勇者達ではとても手が足りないので、王国はもう一度、愚かにも異世界転移召喚をしてくるはず。



兄貴のように精密に組み立てられるはずがないので付け入る隙は幾らでもある。



その魔法そのものをジャックして、俺らを転移させる事が出来れば、その懐に飛び込む事ができる。そうなればこっちのものだ。

アトラス王国よ。首でも洗って待っていやがれ。

魔王っぽい

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