真昼の月
剥がれた壁 ぼろぼろの机 歌うことをやめたピアノ
想い出を詰め込んだ 埃まみれのサッカーボール
見上げた空に 影を送った
公園の桜が芽を開ける
変わってく色と 変わらない匂い
「このまま」を願った 真昼の月
何もかもが新しかった 出会いを出会いと思わず
目の前にあるイマだけを 両手いっぱいに抱きしめて
「振り返って気づくなんてよく聞いた話だ」 なんて
君の横顔に耳打ちする いるはずもないのに
口惜しくて流した涙も 淋しくて零した名前も
何もかもを仕舞い込んで 貼りつけた笑顔
少しずつ大人になっていく 誰もが気づかないうちに
少しずつ子どもをやめていく 曖昧な線をこえて
子どもじゃいられないから、と 大人を願ったはずなのに
どうして欲しくなるのは 子どもの頃の夢ばかり
おさがりが恥ずかしかった わがままで困らせた
そこにあるのは愛だって わかっていたはずなのに
「ありがとう」も「ごめんなさい」も 投げ捨てて傷つけたのに
今になってあふれる涙が あたたかいのはなぜ?
すがたあるものも かたちないものも
数え切れないほど 失くしてきたけど
子どもの頃はありふれたものしかなかったはずなのに
どうして欲しくなるのは もう掴めないものばかり
何もかもが新しかった 出会いを出会いとは言わず
目の前にあるイマだけを 両手いっぱいに抱きしめて
「振り返って気づくなんてありふれた話だ」 なんて
僕の横顔に耳打ちした 君の名前を呼ぶ
ありがとうございました