表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

op09:対峙

 ターシャスの森の入口についたのは、指定時間の20分前だ。緊張をほぐそうと持ってきた水筒に口をつける。

「速かったな、カイン王子」

 月明かりの下、縛られたミシェイルを連れた女暗殺者が現れる。

「だめ! 逃げて!」

 女が叫ぶミシェイルのみぞおちを鞘で突く。ミシェイルが地面に崩れ落ちる。

「その娘に、乱暴はするな」

「余計なことを言わなければ乱暴はしないさ。それより自分の身を案じたほうがいいと思うけど」

 言い終わる前に女が間合いを詰め、剣を振るう。剣を抜く間のないカインは、剣の鞘でどうにか受け止めるが、細身のカインとは体格差が有り過ぎた。後ろに弾き飛ばされ仰向けに倒れる。

 カインの目の前に剣の切っ先が突きつけられた。

「本当に来るとは思わなかったよ。たかが孤児の女の子を救う為に出て来るなんて。王族としては失格だろうけど、嫌いじゃないよ、あんたみたいな子」

「自分を殺そうとしている人に言われても嬉しくないね」

 なるべく平静な顔をして減らず口をたたく。

「それじゃ、死になさい!」

 ガッキン、女の構えた剣が弾かれように跳ね上がる。

「プロ目指すなら獲物を前に舌なめずりしてはいけないわよ。こうして邪魔されるからね」

 ウォーハンマーを構えたリアの姿が浮かびあがる。

「く、魔法を使える人間がいるのか」

「ええ、ガイア様に愛された娘がね。カイン。ミシェイルを頼んだよ」

 カインがミシェイルに向かい走る。それを追おうとした女の前にリアが立ちはだかる。

「あなたの相手は私。逃がさないから」




「ミシェイル大丈夫?」

 苦しげにうめくミシェイルを抱き起こし縄をダガーで切る。

「すまない。君を巻き込んでしまった。許してくれ」

「あ、危ない…… 逃げて」

 ミシェイルの呟きと共にパシッと軽い音がして、折れた矢がカインの足元に落ちる。

「隠れていて正解だったわね。カイン、向こうにある岩の陰にミシェイルを連れて行きなさい」

 カインがミシェイルを抱えて岩陰に隠れるのを確認してから、森の奥に隠れている暗殺者に向き直りショートソードを左右の手に持つ。

「ガイア教の神官戦士を相手にするなら、魔法のことも頭に入れることね。飛び道具はきかないわよ」

 黒装束に身を包んだ男が現れた。

「まだ、いるかもしれないぞ。可愛い神官さん」

 男が馬鹿にした声で言う。

「あいにく様。岩の周りには結界を張っているから、私を倒さないと2人には手出し出来ないわよ」

「く、ならば死ね!」

 男が剣を振り上げた。


カイン王子がんばるの図(笑


さて、このままラストまで連続更新していきます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ