op04:孤児院の王子様
孤児院の院長は快く2人を招き入れてくれた。もう50を過ぎているはずだが、まだ40代前半で通りそうだ。この孤児院の院長になるまでは、神の奇跡、神聖魔法を使えないにもかかわらず教皇庁で司祭長まで勤めた女性だ。
「2人ともよくきたわね、噂は聞いているわ。あのいたずらっ子だった2人が教皇庁から勧誘がきていると聞いたわよ」
院長は嬉しそうに笑う。
「あのー、実はその話、断わろうかと思っているのです」
ルノアが言いにくそうに言うが、院長はただ微笑んだ。
「やっぱりね。貴女達は教皇庁で大人しくしているガラじゃないもの。で、どうするつもり?」
「ルノアは従軍神官の資格を取ったのですよ。私は宣教師になって大陸中、旅をしようかと思っています」
院長が驚いた顔をする。
「まあ、2人とも離れ離れになるのね。大丈夫なの? ルノア」
院長の脳裏には、リアの後をついて回る幼いルノアの姿が焼きついていたのだろう。
「大丈夫ですよ院長先生。いつまでも子供じゃありません」
ルノアが頬を膨らませた。
「フフ、そうね」
院長とリアがルノアを見て笑う。
「ところで、どのぐらい居られるの?」
「はい。1ヶ月ほど」
ドアがノックされ1人の少女がティーポットとカップの乗ったワゴンを押して入ってきた。年のころは14歳くらいで、金髪の髪を短めのおさげにしている。アメジストのような紫の瞳が印象的だ。
「ミシェイル。ミシェイルよね。私よルノアよ」
ルノアが少女に抱きついた。
「ルノア姉さん…… それじゃあ、お客様って?」
「うん。リアも一緒よ。元気そうで良かった。あなたを置いていく形になったから心配していたのよ」
「大丈夫よ。ルノア姉さん。今は院長先生のお手伝いをしているの」
「隙あり!」
突然、11、2歳ぐらいの男の子がミシェイルのスカートをめくった。
「きゃっ」
と悲鳴をあげて床にしゃがみこむミッシェイル。
「やりー、白だ!」
しかし、少年の喜びも長くは続かなかった。いつの間にか背後にまわったリアが、少年の首根っこを捕まえて持ち上げる。
「なんなの? こいつ」
「はなせよ。この馬鹿力」
院長がこめかみを、押さえて言った。
「またあなたなの? カイン。その子はこの国のリューム国の第1王子なの」
「「うそ!」」
ルノアとリアがハモった。そして顔を見合わせて言った。
「冗談にしても、悪質だけど……」
「本当なら、この国、長くないと思う……」
どちらともなく、ため息をついた。
第4話投入。
本文中の『従軍神官』の役職に関する説明は本編で行います。本編では重要な役職(そりゃ、第1章のメインヒロインの地位ですし)なので。
外伝では、役職名だけの登場ですね。
ちなみにサブタイトルの『op』とは『オーパス』読み、音楽用語です。意味は『作品番号』となります。
たとえば、『op1』と表記されたときは『作品番号1』という意味です。




