op03:姉妹
今回から、タイトルの内容に突入します。
畑に囲まれた田舎道を1台の荷馬車がゆっくりと進んでいる。そして、荷台の上には、年のころ15、6の少女が2人乗っている。黒髪とダークブラウンの髪をした少女だ。2人とも蒼い修道服を身に付けている。
「リア姉さん起きて。もうすぐ着くわ」
「ルノア〜、あと5分」
「姉さん、5分も寝ていたら通り過ぎるわよ」
黒髪のルノアと呼ばれた少女はそう言うと、ダークブラウンの髪の少女、リアの耳をつかみ引っ張る。
「痛い、痛い。ルノアひどーい。あなたに、せっかくもらえた休暇なのに、孤児院で過ごすと言いだした妹を心配してついてきた姉に対する気遣いはないの?」
「私は姉さんのほうが心配。それに、あの孤児院は私たちが初めて出合った場所だから……」
「まあ、神官になったらいつ帰れるかわからないからね」
そんなことを話しているうちに、馬車は小さな教会についた。
「小父さま、ありがとうございました。少ないですけどこれを」
ルノアは数枚の銀貨を農夫に渡そうとする。
「だめだぁ、神官様からもらえねぇ」
「神官と言ってもまだ見習ですし。これくらいしか出来ないですから、受け取ってください」
ルノアの言葉に農夫は少し困った顔をしたが、いいことを思いついたという顔で笑った。
「だったら、わしらの安全と幸せを祈ってくれねぇか。あんたみたいなべっぴんさんなら、きっと神様も聞き入れてくれるはずだぁ」
頑として受け取らないので、ルノアは銀貨を引っ込め祈りをささげる事にした。
「ガイアよ。心やさしき者にガイアの加護があらんことを。ささやかな幸福が訪れんことを」
馬車の男は、祈りをささげて貰うと手を振って行ってしまった。
「帰ってきたわね、姉さん」
「3年ぶりか。疲れたから早くいこう」
腰にフレイルとハンドアックスを下げ、2メートル近いウォーハンマーを持ったリアを見てルノアは呟いた。
「こんな所にまで、おもりを持ってくるからよ」
第3話投入。
予定では14話まであります。
1話1話は短いですけどね。