異空間1
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田中君、6月4日(水)の9:00に研究室に集合するように!
工学部 長田
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長田先生からのメールを見たのは、集合時間の5分前。
俺は急いで、研究室に向かった。
へとへとになりながら、研究室へと向かう。
全身からは脂汗が噴出し、鼓動が速くなる。
間に合わないかもしれない。大事な用件があるのに。
留年という文字が頭をよぎる。
渾身の力で走った。
研究室のドアが開いている。
急いで、研究室に踏み込んだ。
俺は暗闇に飲み込まれた。
気付いたら、下に落ちていた。
ずっと落ちた。落ち続けた。
風を切る音、素肌は凍えた。
風に煽られて体は回転する。
落ちたら、死ぬ。俺は24歳で人生を終えるのか。
死について考えたことはない。
部屋でボーっとしているときは、考えないようにしている。
「ドスッ」
俺は地面に叩きつけられた。
体の横が最初に地面とぶつかり、次いで足が地面とぶつかった。
激痛が走る。1番酷かったのは足だ。
痛みで起き上がることが出来ない。
しばらくの間、蹲る。
痛みが引いていく。
周りを見渡すと、真っ暗だ。
見上げると、1点から光が射し込んでいる。
随分と高い。
多分あそこから、落ちてきたのだろう。
生きているのが不思議なことに驚く。
「ここはどこだろう…」






