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序章

人は「魔法少女」というと何を思い浮かべるだろう。

大抵の人間は魔法を使う女の子を思い浮かべることが多いかもしれない。

だが男でもなれると聞いたら、

人はなりたいと思うだろうか。


ーーーーーー


「あーあ、今日も学校か…」

府城ヶ峰学園(ふじょうがみねがくえん)にこの春入学した生田奏(いくたかなで)は、

入学して2ヶ月で学校がめんどくさくなっていた。


ピーンポーン


「ほら!早く行かないと遅刻だよっ!」

そんな奏を毎日迎えに来る幼馴染みの木野舞美(きのまみ)

舞美は1年にして、特別枠で生徒会に所属している。

「はいはい、行きますよ」

「えらいえらい」

「いってきまーす」


ガチャ


「毎日迎えに来なくてもいいのに」

「迎え行かないと奏、学校来ないでしょ!?」

「バカ言え、ちゃんと行くぞー?」

「そう言ってこの前来なかったじゃない!」

「あれは風邪ひいたんだ~…」

「仮病でしょ!?」

「…はい……」

そんな雑談をしていると舞美がある話題をふってきた

「奏は育成魔法少女って知ってる?」

「何かのアイテム使うと魔法少女になれるやつだろ?知らない方がおかしいと思うぞ」

育成魔法少女は魔法少女を育成して他のプレイヤーの育てた魔法少女と戦うというシンプルなゲームアプリだ

「ねえねえ、一緒にやらない?」

「やらねえよ」

「ちぇー、優しい優しい奏ならやってくれると思ったんだけどなー」

「優しい俺はやりませーん」

「ぶー」

やらないと言ったものの興味がないわけでなかった

「じゃあな、俺の教室こっちだから」

「うん、ばいばーい」


「おほ、奏!来たかー!!」

こいつは中学からの親友の橋場遼(はしばりょう)

「抱きつくな気持ち悪い!」

「奏、俺育成魔法少女始めたんだけどさー、このメリーちゃんが可愛くて可愛くて」

育成魔法少女は育てる魔法少女を自分で好きなように創れるらしい。

組み合わせのパターンは1億パターンほどあるらしい。

魔法少女になれることしか知らない奏からしたら遼の話を聞いて興味がわく一方だった。

「あんま可愛くねえな」

「奏、お前にはわからないだろう、なんせメリーちゃんは俺だけのものなのだから!」

「お前、いつからそんなキモくなったんだ?」

「お?メリーちゃんに俺を取られそうだから嫉妬してるのか?ん?」

「ちょっとトイレ」

「奏ー!ちょっと話聞いてー!」


遼の絡みから解放され屋上で寝っ転がってスマートフォンで育成魔法少女をインストールしようか迷っていると

「授業始まるよ?」

誰だ?この女の子?うちの制服じゃ…ない?

見た目は金髪碧眼で歳は俺と同じぐらいか?

「お、おう…」

女の子は俺のスマートフォンに目を向け

「育成魔法少女…やるの?」

「いや…やろうか迷っているだけで」

「そう…やらないほうがいいわよ」

そう言うと女の子は歩いて行ってしまった

「ちょっと待てよ!」

そう言ったが女の子は止まらず校舎の中へ行ってしまった

「なんだったんだ?今の?」


その日は朝からいろいろありすぎて授業なんかに集中出来なかった。


放課後になり舞美と一緒に帰っていると

「ねえねえ、私育成魔法少女始めたよっ」

「お、おう…そうか…」

「どうしたの?」

「い、いや…なんでもない」

「そう、でね!これがめっちゃ面白いの!」

「そうか…よかったな」

俺は朝の女の子のことが頭から離れず育成魔法少女のことをずっと考えていた。

あの子は誰なのか。

なぜ俺のとこには来て、舞美のとこには止めに行かなかったのか。

たまたま俺が育成魔法少女をやろうとしてたのを見たからなのか。

なぜやるなと言ったのか。

今日一日で一週間分の体力を使った気がした。

「ねえ!ねえねえ!」

「おわっ!な、なんだ舞美?」

「全く、奏が全然話聞いてくれないから」

「悪かった、考え事してて」

「ふーん、まあいいや、もうすぐ家だし」

「もうそんなに進んだのか」


俺の家庭はちょっと特殊だ。

父親はいなく、母親は部屋から出てこない。

弟は部屋からは出てくるが引きこもりだ。

家の中は常に無音で誰もいないと感じるほどだ。

そんな家に帰り、自分の部屋に行くが、俺にはいつもやることがない。

たまに宿題をやったりするが宿題なんて滅多に出ない。

ベッドに寝っ転がりスマートフォンをいじる。

これが俺の日課になってる。

こんな家何度も出て行きたいと思った。

だが、現実にするのは難しい。


いつものようにスマートフォンをいじっていると、やはり育成魔法少女のとこに指がいってしまう。

あの女の子はやるなと言ったが、舞美も遼もやっているし大丈夫なのか?

俺は舞美と遼に育成魔法少女に異常はないか?とメールをした。

二人共メールの返信はすぐにきた。

舞美は「異常?そんなのないよ?」

遼は「お前!俺のメリーちゃんに異常があるというのか!?いいか!?メリーちゃんはな……

めんどくさいのでそこで読むのをやめた。

二人共異常ないのか。

なら、やっても大丈夫か。

まだあの女の子の言葉が気になっていたが、俺は育成魔法少女をインストールした。


この時はまだ、あんなことに巻き込まれるなんて、思いもしなかっただろう。

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