死からの・・・
前書いていた小説は忘れてください。
はじめましての方ハジメマシテ。
双羅は孤児だった。
最初から、というわけでなく、父を亡くした母が双羅を捨てたのだ。
当時、双羅は三歳。
捨てられたことも分からず、ただ寒くて泣いていた。
そこに通りかかったのが今の父、大朗である。
大朗は、今では珍しい「鍛冶屋」だった。十代以上続いている。
機械のように多くは作れないが、質がいいので高く買われていた。
大朗は双羅を拾ったことをきっかけに、孤児院をはじめた。
色々な試験が大変だったらしいが、なんとか乗り越えた。
双羅という名をもらったのも現在の父である。
双羅は、基本なんでも出来た。
特にできたのは、裁縫だった。学校では「男なのに!」と馬鹿にされたが、
双羅はそんなこときにしなかった。
孤児院という環境もあり、小さい子などの世話などもよくした。
鍛冶屋の仕事に興味をもち、父を手伝うこともあった。
中学の試験勉強は子供たちの世話とかさなり苦労したが、乗りきった。
そして高校に行き、大学への受験を受ける前日の話。
―家に強盗が入った。
(まずい・・・)
双羅は、考えていた。
(子供を人質に・・・やばい・・)
しかも目の前に居るのは、昨日報道されていた殺人犯。
「子供を・・・放せ。」
そう言ったのは父の大朗。
「うるせえ!黙ってないと、こいつが痛い目合うぞ?」
「兄ちゃん・・・父ちゃん・・」
―子供が泣いてる。はやく、なんとかしないと。
そう思っていると、石が投げられて、殺人犯の手から子供がはなれた。
石を投げたのは、14になったばかりの男の子。
チャンス!と思って走り出し、子供のところまで走っていった。
「チッ、こうなったら、最後まで足掻いてやらぁ!」
そう殺人犯が言ってナイフを振り上げるのと、俺が子供の所についたのと、
警察がなだれ込んできたのが同時。
「・・・ぇ?」
腹を刺され、頬をかすり、急所(水月)を刺された。
そして、殺人犯が警察に取り押さえられた。
もう、痛みなどでの意識は消えかかっている。
―力を振り絞って、目を開けると、そこに見えるのは、家族。
父、子供、そして殺人犯につかまっていた子が見える。
俺は、あの子を守ったんだな、と。
満足しながら、意識は消えていった。
―とある場所―
「まずい、です。もうすぐ『候補者』が、死んでしまいます。」
見た目12歳ぐらいの女の子が言う。
「そう、か。なら、せめても魂だけでもこちらに」
近くに居た人がいう。
それから、その部屋は光を放ち続けた。
―双羅視点―
「・・ぅあ?・・」
目を開けると、不思議な場所にいた。
白でもない、黒でもない、灰色と言われてもちがう。
赤といえば赤。
青といえば青。
黄色といえば・・・
体は重くも軽くもない。鼓動が感じられない。
なんとも不思議な空間だ。
「まったく・・・なんでこんなとこに人間が・・・」
いきなり上から声がしてきた。
顔を上げると、そこには20代そこそこにみえるの男がいた。
髪は白く、目つきが若干悪い。黒いなにかを羽織っている。手に鎌をもっていた。
その男の特徴で異様なものが、目玉だ。
縦に長く、片目は黒、片目は白、となっていた。
「貴方は・・・誰、ですか?」
つい、問いかけてしまった。
「ん?ああ、俺は死神といったほうがわかりやすいか。」
「へ?」
「お前らの世界でいうと、『タトナス』だな。」
・・・どうやら俺は、死んでしまったらしい。
いやしかし、さっき「どうしてこんなところに」といってたな。
魂?の回収の失敗か?
「・・・ここは、なんなんですか?」
すると「死神」は、
「ここは世界の狭間の精霊版、といったところか。または、世界が生まれる前の空間か。
本来お前はここにこないはずなんだが・・・」
「本来?」
「本来は、『その世界』の死後の世界へ行く。日本、だったか。
たとえると天国地獄だ。
そこで裁判を受けて、天国地獄、または転生する。」
「転生・・・」
そうやってループするのが正しいのか。
「で、お前は転生の枠からはずれてしまったから、ここにきた。」
「え・・」
ちょっとまて、俺は死んだが、もともとの世界に転生できないのか?
「たぶん、他の世界からの召喚だろうな。しかし死んだ直後に召喚だから、
魂だけこっち側にきたんだろう。」
「召喚は失敗したんですか?」
「いや、魂の回収と召喚が重なったからこんな半端なところに
きたんだよ。転生の枠は、召喚した世界になる。どうする?」
「いや、どうする?っていわれても」
突然すぎる。
正直、かえりたい。だが、死んでしまったから、召喚されたから、
戻れないのだろう。なら・・・
「・・新しい世界で生きるよ。」
「あっそ。なら送ってやろう」
そう言うと、俺の体は光に包まれた。
「あっそうだ!死神、名前は?」
すると死神はにかっとわらって、
「我、世界を管理する者。名はメル―だ!」
「最後らへんが聞こえなかったぞ!」
「はははははっ、わざとだ!さらば!」
包んでいる光がいっそう強くなった。
死神の名はメ―バ―です。
全部の名を出す予定はありません。