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僕等  作者:
3/3

最終話:別れ

最終話ですネ。

『幼い日の思い出』の方がかなり長めだったんで、こっちは短くしようと思って、余計な話をつけず、シンプルをめざして頑張ってました(笑)でわ本編へどーぞ☆

羽稀は長い夢を見ていた。それは羽稀がもっと幼い頃の夢だった。



「みなづき めいです!仲良くしてくださいっ」

茗はどこか遠くから引越して来た転入生だった。その幼稚園の羽稀と同じひよこ組に茗はやってきた。茗はサラサラで短めの髪をおろしてて、色白で小柄でとても可愛い子だった。でも、茗はすごく泣き虫で、いつもといっていいほど大きな瞳は涙でうるうると濡れていた。おまけに茗はもともと人見知りが激しいらしく、ひよこ組にずっと馴染めないでいて、友達もあまり出来ていなかったらしくて、それを理由に茗はもっと泣き虫になっていた。

「めいちゃんここでな何してるの?」

羽稀は遊び場の端っこに一人で泣いている茗に話し掛けた。

「……!」

羽稀が話し掛けると茗はすごく驚いて、なんだかこっちが悪い事をしたようにさえ感じさせるぐらいだった。

「めいちゃん一緒に向こうであそぼうよ」

羽稀が茗を遊びに誘っても、茗はただただ首を横に振るだけだった。

「んじゃ、ここで一緒にあそんでいい?」

「え…でも、めいなんかと一緒にいてもつまんないよ…」

「そんなことないよっ!まっててね、おもちゃもってくるから」

茗は遠慮がちにコクンと頷いた。

(…めいなんかといてもつまらないのに…)

すぐに羽稀は腕いっぱいのおもちゃを抱えて戻って来た。

「めいちゃんお人形スキ?」

茗はほんの少し頷く。

「えっとねー…ハイッ!これめいちゃんにあげるー」

羽稀は大量に持ってきたおもちゃの中から、小くて可愛いお人形を出して茗に渡した。

「かわいー…、でもいいよ…っ」

「えー!いいよ。あげる」

「でも…」

「ぼくお人形さんつかわないもん。だからあげるっ」

羽稀はにこーっと笑いながら茗の手に人形を置いた。

「…ありがとうっ」

それから羽稀は、いつも茗のところにいって、半ば強引におもちゃを持っていって一緒に遊んだ。茗から羽稀に話し掛ける事はなく羽稀が一方的に話していたけど、それでも茗は前よりは積極的に遊ぶようになった。そして笑いはしないけど、前ほど泣かなくなった。

「めいちゃん一緒におべんと食べよっ」

「うん!」

茗はだんだんと人にも慣れてきて、羽稀以外の友達も沢山出来ていた。それでも茗は羽稀とずっと一緒に居た。


茗が転入してから一ヶ月も経たない時、茗は泣きながら羽稀のもとに訪れた。

「めいちゃんどうしたの??」

「ひ…っく…、めいね、またお引越ししちゃうんだって・・!」

「えー!だってめいちゃんこの間お引越ししたばっかりだよっ」

「おとうさんのお仕事のつごうでね、またお引越しするんだって…っ!」

「…やっと仲良くなったのにね」

「めい、お引越ししたくないよ〜…っ。うきくんとあそべなくなっちゃうのいやだよーっ」

「ぼくもやだよっ!だってぼくめいちゃんのことスキだもんっ」

「めいも、うきくんスキだよぉ…」

「じゃあゆびきりげんまんしよっ」

「ゆびきりぃ〜…?」

「うんっ、そうだよ!けっこんのやくそくだよ!」

「なんで??」

「けっこんしたらぼくたちはふーふだからずっと一緒にいられるんだよっ」

「そっかっ。じゃあゆびきりねっ」


― ゆーびきーりげーんまーんうーそつーいたーらはーりせーんぼーんのーます ゆーびきったっ ―


「めいちゃん、僕等だけのやくそくだよ!」

「うん!やくそくっ」

茗はその時、初めて満面の笑みを浮かべた。

「めいちゃん、もいっこだけやくそくいい?」

「なぁに?」

「めいちゃんはね、わらったほうがかわいいから、ぼくと、もいっかい会うまで泣かないでほしいなっ」

「うん!わかった!めい、うきくんと、もいっかい会うまでぜったいに泣かないっ」

『やくそくっ!』

「あ、そうだ!」

茗はいきなりそう叫ぶと、幼稚園の鞄から何かをもってきた。

「ハイッ!これうきくんにあげる!」

茗が差し出したのは、おもちゃの指輪だった。

「いいの?」

「やくそくの日まで大事にもっててね!」

「うん!わかったっ」

―思えばこれが羽稀にとっての初恋だったんだ



「やくそく…」

夢から覚めると、羽稀は無意識のうちにそう呟いた。目からは自然と涙が零れおちていた。

「思い出した…!何で俺はあいつとの約束を忘れてたんだ…っ」

ふと時計を見ると、時計のはりは十時をさしていた。

「約束の指輪…確かどこかにしまって…!」

羽稀は部屋中を捜して指輪を探した。

(確か、ピンク色のガラスの石がついてた…)

「あったー!!」

かろうじて指輪は見つかったが、茗がどこにいるかもわからなかったし、もしかしたらもう引越してしまったのかもしれなかった。でも羽稀は、迷わず幼稚園に向かって自転車を走らせた。


「…羽稀ともお別れか…。あんな約束間に受けてた私がいけなかったのよね。バイバイ、羽稀…」

「茗!!」

茗が振り向くと、そこには汗をかいて息を切らしている羽稀がいた。

「羽稀!どうしてここに…っ」

「やっぱりここにいた…」

「どうしてわかったの?私がここに居るって」

「思い出したから…。全部、思い出したから…っ!」

羽稀はゆっくりと茗に歩み寄った。

「この幼稚園で…約束したんだ。ごめん、忘れてて…」

「…嘘…、本当に思い出したの…?」

「だから茗は笑顔を絶やさなかったんだ…」

「そうだよ…っ!羽稀が言ったから…私どんなつらい事があっても泣かなかったのに…!羽稀が泣かせるなんて反則だよぉ…っ」

「ごめん」

「羽稀といると、また泣き虫の茗に戻っちゃうよ…〜っ」

「泣いてもいいから、泣く時は俺の前でだけ泣いてよ」

「…それも約束?」

「うん」

「わかった、約束する」

茗は笑顔で答えた。

「ねぇ。も、いっこの約束はもう時効?それともまだ有効?」

「え…?」

羽稀はポケットからおもちゃの指輪を取り出して茗の左手の薬指にはめた。

「これ…!」

「とりあえずこれが婚約指輪ってことでいい?」

「羽稀…っ!」

「結婚したらずっと一緒に居られるんだろ?」

「…本当に私でいいの?」

「そんな事聞くなよな」

「昔の約束があるから仕方なくとかそういうのじゃない…?」

「なんだよそれっ、茗は茗だろ。昔も今もスキだよ。俺、茗しか女の子好きになったことないよ?」

「羽稀…〜っ」

「茗は俺になんか約束ない?」

「う〜ん…。毎日学校行く…とか?」

羽稀は一瞬固まったが、すぐに笑顔で返した。

「いいよ、約束する」

「いいの?」

茗は自分が言ったくせに、予想外の答えに少し申し訳なく感じた。

「や、俺も行こうかなぁって思ってたし。思ってたっていうか茗を見てると俺も頑張らなきゃなーって思って」

「そっか。…なんか羽稀キャラ変わったね」

「っるせーっ。茗のせいじゃねーの?」

「もっとクールだったのになぁ」

「クールのほうがいいの?」

「…そうでもないかも」

「なんだよ!じゃ、いいじゃんっ」

「…私、絶対に早くに帰ってくるから…っ。浮気とかしないで待っててよね」

「うん。…あーなんか最初っから俺が覚えてればもっと沢山一緒に居られたのになぁ…」

「そうかもね」

茗は今まで見たこともないぐらい弱気な羽稀をなんだか可愛く感じて、自然と笑みが零れた。

「ね、羽稀。人はどうして誰かを好きになるんだと思う?」

「いきなり哲学的な話だな…。茗はどう思ってんの?」

「人はね、一人じゃ生きられないから、誰かを好きになるんだよ」

(…あぁ…そうか。だから図書館で一人だった俺に構ってくれた茗に惹かれてたんだ…)

「もう、行かなきゃ…。お母さんが待ってるから」

「わかった」

二人はどちらからとも無く、小指を絡めた。

『約束だよ』

茗はあの時と同じで満面の笑みだった。



俺は茗と別れた次の日から学校に行くようになった。最初はクラスのみんなは何を怖がっているのかしらないけど、話し掛けたりしてこなかった。昔のままのクールな性格だったら友達も出来ずじまいだったかもしれなかったけど、茗のお陰で少しは柔らかい性格になったらしく、あれからしばらくたった今では、男子も女子も気軽に話し掛けてくれるようになった。



羽稀は青く澄んだ空に向かって小指を立てた。




『―めいちゃん、僕等だけの約束だよ!―』



「約束だよ」


 

 










       ― また会う日までの約束 ―



どーもすももです!

完結ですね〜。この終わり方にいちゃもんがある人は、もうドンドン言ってください!って感じですね。私もいっぱい、いっぱいだったんです…っ(泣)なんだよいきなりラブラブかーい?!って自分で書いてて思ったし(笑)なんか羽稀とか、かなりキャラ変わってるし…。

この話は続編作るつもりなんで、その時はまたよろしく

お願いしますネ♪

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