マドンナのメール
何か変な思いつきで書いてしまいました。
読んで、変なカンジになりますが、どうかよろしくお願いします。
「見てくれよ、太田!!
昨日オレ金矢とメールしてさ!!
しかも、オレのこと同じテニス部として尊敬するってさ!!」
オレの幼なじみの友達、濱田はクラスのマドンナ的存在の金矢とメールしたらしく、朝からテンションが高かった。
「……ハァ??」
わざとオレはうざそうな顔をする。
まぁ、実際ウザいっちゃあウザいんだが、羨ましいと思う部分もあった。
あのマドンナ。
金矢とメール……。
奥手なオレは、彼女に話しかけるコトすら出来ないってのに。
この学年の始めに、
彼女にメアド教えてくれ、って言ってる集団に紛れ、メアドは知っているが……。
送ることなんてチキンなオレにはムリだ、そう悟った。
『暇だからメールしてみた。』
…なんてこの12文字がうてないこのオレより、友達の濱田の方がよっぽど立派である。
「オレこれで3回目だよ、メールするの。」
濱田の目は輝いていた。
「…よかったじゃん。」
濱田に比べ、死んだ魚のような目をしたオレは静かに言う。
「んだよ~…。
友達だろ、親友だろ??
それなら自分のコトのように喜べよ!!」
…確かにそうかもしれない。
すまない、濱田。
「そういや、太田は金矢にメールしたのか??」
……痛いとこ突いてきやがる。
「…まだ…だけど。」
そう言ったら濱田はきょとーんとしていた。
なんだよ、と尋ねてみると、濱田は思い切り吹いた。
「メアド聞いて何ヶ月経ってんだよ!!
アハハハハハハ!!」
…ムカつく野郎だ。
「…今日送るんだよ!!今日!!」
そう叫んだアト、すぐに学校のチャイムがなった。
授業中、後ろの席から金矢をチラッと見た。
やはり金矢は可愛い。
そりゃみんなメアドも聞きたくなるだろし、メールの1件1件を見せびらかしたりもしたくなる。
今日からオレもその中の1人。
……になりたい。
気がつけば夜になり、大体の人はそろそろ暇であろう時間になった。
…そろそろ送ってみるか。
…『暇だからメールしてみた。』…こんなのでいいのかな。
でもこれ金矢からしたら失礼に値するかな。
…分かんねぇよ、女心…。
まぁ、いいや。
適当に送るっきゃねぇ。
変な想いと格闘し、やっとの思いで携帯の送信ボタンを押す。
すぐに『送信完了』の字が出てホッとした。
純情な心は更にヒートアップし、いつも携帯はマナーモードにしているが今回はマナーモードを解除する。
…何やってんだろ、オレ。
バカだなぁと思い、前髪をくしゃくしゃにする。
少し待っておこうかな。
漫画を手に取り、お気に入りの漫画を読む。
……~♪
メールの着信音がなり、慌ててメールを見た。
早い、まだ5分ぐらいしか経っていないのに!!
……………。
…………………。
…サイトからだった。
しかも、どうでもいいような、何で入ったんだろうっていう感じのサイト…。
「…オレのばか~!!」
……ペラ…。
漫画のページをめくるたび、ケータイをチラ見する。
そろそろ来てもいいんじゃないの、ってか来いよ。
イライラしはじめた時だった。
……~♪
また携帯の着信音がなり、金矢からのメールだった。
『返事遅くなってゴメンネ
塾だったの
佐山くんとメールなんてはじめてだネ』
……くはぁ~…。
オレもう死んでもいいや。
天にものぼる気持ちだった。
最後のヒヨコの絵文字が何とも言えん。
ドツボにハマったわ。
とか思いつつ、気がつけば『じゃあね、また明日。』なんて言う時間になっていた。
……幸せだ…。
次の朝、オレは濱田にそのメールを見せた。
「…お前も金矢とメールしたのか…ご丁寧に保護までしてあらぁ。」
濱田は軽く呆れているようだが、オレにとってはそんなコトなど全く気にはしなかった。
お前だってしてたじゃいか。
そんなカンジ。
「でもよぉ、オレの方がかわいいカンジの絵文字おおいぜ。」
…何!?
オレは賺さず金矢からの受信メールを見た。
「…キラキラしか…ない…!!」
オレはドシャっと地面に倒れ込んだ。
「フッフッフッ…キラキラだけだと…??
バカめ…オレにはなぁ…オンプまであるんだよーー!!」
そう言った濱田はオレの目の前にそのメールを見せ付けてきやがった。
「くっ…。」
何とも言えない。
「じゃっ、じゃあ今日金矢にメール送ってどちらがいい絵文字がくるか勝負だ!!!」
…というコトで。
現在9:48。
そろそろ…か…??
オレは昨日のように同じ内容のメールを送った。
受信完了の文字が出る。
「コレで大丈夫だ。」
オレは安堵の溜息をついた。
…~♪
少ししてからメールが返って来る。
「…ヤベっ、ネタ用意してなかった…。」
メールでは、ネタが肝心だ。
その日その時に合った話のネタが出せるかが勝負の勝ち目となる。
…とオレは勝手に思っている。
そうだ、何だかんだ言って、金矢って濱田のコトどう思ってるのかな。
聞いてみよう…。
『金矢って濱田のことどう思ってんの?』
…送信。
「おい太田!
勝負の結果、どうよ??」
2人は朝からその話で盛り上がっていた。
少し早めに登校して、2人きりの教室で話そう、というぐらいである。
「フッ…かんぺ…ハッ!!」
朝早くの教室前を影が通る。
「でさぁ~」という声は間違いなく金矢だった。
「濱田く…太田…さぁ~」
飛び飛びであまり聞こえないが、オレらの名前が出ている。
「おぉ、女神がオレらの名前を…!!」
「聞いとこうぜ。」
今になって思う。
オレら…おかしいわ。
「…同じ質問してきてキモイんだよね~。
濱田のことどう思ってんのとか、太田のコトどう思ってるの~??とか。」
「キャハハ、キモ~い。」
そんなキャピキャピした言い方で…。
「太田、オレ…。」
「分かってる。」
2人はその場に寝転がり、眠りに付いた。
「…おやすみ、濱田。」
「…太田、起きたら夢…覚めてるよな??」
「…当たり前だ。」
変な終わり方でしたよね、分かります。
しょうがないですよ。
自分、バカですから。