表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔眼の勇者の帰還 ──現実世界でも最強です。  作者: 猫撫子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/14

加賀レイジ、弟子入りす。


「おい天城! ちょっと待てコラァ!!」


放課後。

校門を出た途端、背後から怒鳴り声。

振り向けば昨日ボコられた──いや、“手品で転ばされた”加賀レイジがいた。


「なんだよ。もう授業終わったぞ。」


「昨日のアレ、どうやった!? 俺、拳止まんなくてビビったんだぞ!」


「あー……手品だって言っただろ。」


「手品で止まるかよ! 俺の拳、バイクより速ぇんだぞ!!」


うるさい。

だが、真剣そのものの顔をしているあたり、本気で気になってるようだ。


「……あのさ、もし俺が本気で強くなりたいって言ったら、教えてくれるか?」


「え?」


レイジが頭を下げた。

金髪が風で揺れる。

周囲の通行人がギョッとして足を止めた。


「お、お前が……俺に?」


「そうだ。お前、昨日一瞬で俺の動き止めただろ。あれは反則だ。だが──強ぇ。本気で強ぇ。」


リクは苦笑した。

たしかに彼の言う通り、俺は強い。

でも、それは魔眼のおかげであって、努力したわけじゃない。


「いや、俺が教えても、お前に向いてねぇと思うぞ。才能とかセンスとか──」


「構わねぇ!」


レイジは顔を上げた。

目に宿るのは本気の光。


「俺は、弱ぇままの自分がムカつく。だから、あんたから何か学びてぇんだ!」


……そこまで言われたら、断りづらい。


「はぁ……分かったよ。ただし、能力とかそういうのは教えられねぇ。普通に戦う方法だけだ。」


「マジで!? ありがとう師匠!!」


「誰が師匠だよ。」



◇ ◇ ◇


それから数日。

リクとレイジは放課後、人気のない公園で“特訓”を始めた。


「まずは、殴るな。」


「え? でも俺、喧嘩は殴るもんだろ?」


「違ぇよ。殴る前に“間”を取れ。相手の呼吸、体の動き、全部見ろ。」


リクはゆっくりと足を動かす。

まるで剣士のような構え。

素人目には何もしていないようだが──レイジには“気迫”が伝わる。


「……圧がすげぇ。何だよその構え……!」


「これ、じいちゃん直伝の古武術。異世界でもけっこう使えた。」


「異世界って……まだ言うか!」


「本当なんだけどなぁ。」


軽く間合いを詰めるリク。

その一歩で、レイジの首筋に冷たい汗が走る。


「お、おい……なんか見えねぇ。てか、俺、もう負けた気するんだけど。」


「そう感じたら、それが“殺気”だ。慣れろ。」


その後、レイジは地面に十回転がり、二十回吹っ飛んだ。

だが、不思議と楽しそうに笑っていた。


「っはは! マジでつえぇ! 天城、あんたヤバいな!」


「やめろって。見られたら恥ずかしい。」


「いやいや! 今日から正式に“師匠”だ!」


リクは肩をすくめ、苦笑する。


「まぁ、好きに呼べ。」


その時、公園の入口からひょこっと顔を出した人物がいた。


「……あんたたち、何やってんの?」


ミサキだった。

制服姿のまま、冷たい視線を向けてくる。


「あ、ミサキ。ちょっと運動。」


「運動……ねぇ。片方、鼻血出してるけど?」


「気合の証拠ッス!」


「……はぁ。」


呆れたようにため息をつくミサキ。

でも、その視線はどこか心配そうでもあった。


「天城。あんた、最近ほんと変よ。」


「え?」


「強くなったっていうか……何かを背負ってる感じ。」


リクは少しだけ視線を逸らした。

──ああ、そうか。

異世界での“戦い”の気配って、まだ抜けてなかったのかもしれない。


「心配すんな。ただの運動不足解消だよ。」


「……ふーん。」


ミサキはしばらく無言でリクを見つめていたが、すぐに視線を外した。

夕陽が彼女の髪を照らし、どこか寂しげに見える。


「ま、無理しないようにね。」


それだけ言って、彼女は歩き去った。


レイジが口を開く。


「なぁ師匠、あの委員長……お前のこと、気になってんじゃねぇ?」


「ねぇよ。俺、平和が好きなんだ。」


「平和(物理)だな。マジで強すぎて喧嘩になんねぇ。」


リクは小さく笑い、空を見上げた。


──平和が続くなら、それでいい。

でも、どうしてだろう。

胸の奥に、妙な“ざわめき”が残っていた。


それが、やがて新しい戦いの前触れになることを、

この時のリクはまだ知らなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ