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序章 8,決着 魔王vs魔王

書き溜めている8話まで一気に投稿します。

「だ、第六天魔王……とは、一体……?」


その問いに対し、「知らん!」と即答しそうになったドラゴンは、寸前でその言葉を飲み込み――脳みそをフル回転させた。


(……たぶん、これは前世の記憶だ)


断片的に浮かんだ“第六天魔王ノブナガ”という名前。

そして“天下布武”というキーワード。


(俺の前世の記憶の全てプロレスに関することだった。そう考えると――これはレスラーの名前と、その必殺技名に違いない)


だが、“第六天魔王ノブナガ”という名前と、“天下布武”という言葉以外は、試合も、タイトルも、実況も、何一つ思い出せない。


(映像資料の残っていない、プロレス黎明期のレスラーが理想とした伝説的存在……おそらくそういう類の人物なんだろう。インタビュー記事の中にだけ名前出てくるような……。


前世のプロレスの記憶はハッキリしているものばかりだったので、若干気持ち悪いと思いつつも、ドラゴンは一つの結論を出した。


(違ったとしても前世の記憶など確認しようもない。昔の伝説のレスラーと必殺技、そういうことにしよう)


ドラゴンは喉を軽く鳴らし、な〜んとなく浮かぶイメージを、それっぽく言語化した。


「その昔、猛者たちが群雄割拠した時代……『天下布武』という超必殺技を武器に、世界の半分を支配した伝説の狂戦士がいた。

……それが、『第六天魔王ノブナガ』だ」


「……ドラゴンさんが適当に名付けたわけではない、と?」

「ち、違う! ハッキリとした記録のない存在ではあるが、確実に存在した最強の存在だ!!!」

「ほほう。ワシもその名は初めて聞いたのう」

「セシルローザさんでも……?」


ナーグが驚きの声を漏らし、ドラゴンはグゥっと喉を詰まらせた。

“500年を生きたハイエルフの元女帝”すら知らない名――流石にあまりにも怪しすぎた。

ドラゴンはうっすらと冷や汗をかきながらも、心の中で自らに言い聞かせる。


(……これは話の捏造ではなく、俺の前世の世界に関する記憶の断片。証明はできんが、俺の魂は間違いないと叫んでいる)


ドラゴンはとりあえず“何でも聞いて来い”という顔だけはしておくことにした。もちろん虚勢だ。


だが、セシルローザが口を開いた内容はドラゴンの発言の真偽を問うものではなかった。


「……だが、あの爆発的に高まった闘気――あれについては、ワシも少し知っておる」

「なんと!? 本当ですか?」

「あれは言わば、“ダムの決壊”のような状態じゃ。いつまでも保つものではない。あやつが力尽きるのも3分後くらいじゃろ」

「つまり、試合時間は残り3分。。。つまり、勇者ノブナガ、いや第六天魔王ノブナガは、この3分に全てを賭ける、と?」

「そういうことじゃろうな」


そ、そうだったのかと思いつつもドラゴンは平静を装う。


「流石だな、知っていたのか」

「ハイエルフの中にごく稀に存在するのじゃよ。アレは典型的な『光の力が強ければ強いほど、闇の力もまた深まる体質』の症状じゃ」

「なんとも、説明くさい長い名前の体質ですね。。。」

「名付けられた時代の流行じゃよ。何にでも説明文みたいな長ったらしい名前をつけるブームがあったんじゃ」


そして、戦場に響く黒い雷鳴が轟くの中で――

“絶対魔王”ゼオンは、じっとノブナガの変貌を見つめていた。

その眼に宿るのは、怒りでも困惑でもない。

――歓喜。

魔王ゼオンは、自らの“絶対性”を脅かす存在を、待ち望んでいたのだ。

そして今、それがついに現れた。


「待たせたな、ゼオン」


ノブナガにもう光の勇者と呼ばれた神聖さは微塵もない。リング上に立つのは二人の魔王。


「ロックオン」


弾けたようにノブナガが飛び出す。

黒い雷光の翔び膝蹴りがゼオンに直撃し、脳天を揺らす。

だが、ゼオンは倒れながらもノブナガの伸び切った後ろ足を掴み、思い切り地面へ叩きつける。

そのまま体を跳ね上げるように蹴り上げ、全身を叩きつけるように上からの鉄槌のようなエルボーで再度地面に叩きつける!

そしてフォール!


――ワン!


……だが、カウント「1」でノブナガが弾き返す!


返す勢いで立跳ね起きたノブナガは即座にゼオンのボディに強烈な一撃を叩き込む。

そのまま腕を掴むと高速回転しながら上昇。

そして、黒い雷と共に地面に叩きつける!


回転式落雷一本背負い!!!


続けてフォール!


――ワン!


またしても、カウント「1」で返される!


そして、二人は距離を取った。



「一撃一撃が、すでに必殺級……! だが、それでも勝負は決まりません! そして、この距離――大技が来るッ!!」

「互いに本気の最大の大技がくるじゃろうな」

「これぞプロレスの醍醐味よ」


ゼオンが両腕を広げる。

その背に、無数の紅蓮の竜が、咆哮とともに姿を現す。


一方、ノブナガは静かに正拳突きの構えを取り――その拳に、漆黒の雷を一点集中させていく



「絶対魔王ゼオンは、ナイトメア・クリムゾン・ドラゴニック・エクスプロージョン・バスターの構え。たが、形成される竜の数があまりに多い!?」

「ナイトメア・クリムゾン・ドラゴニック・エクスプロージョン・サウザンドバスター。理論上は存在していた技ではあるが、この目で見ることになるとはな……」

「勇者、いや第六天魔王の方も『白雷』四大秘奥義、最強の技を『黒雷』で放つようじゃぞ」

「全ての力を拳に一点集中させて放つ廻天雷迅拳か。。。」

「捨身の技じゃが、どうせ『黒雷』は維持できん。妥当な判断じゃな」

「……これが本当の最後の衝突になりそうですね」


ナーグが息を呑む。

そして、二人の魔王が同時に動く。




ナイトメア・クリムゾン・ドラゴニック・エクスプロージョン・サウザンドバスター!!!


『黒雷』廻天雷迅拳!!!



放たれた二つの超必殺技

その威力はーーー全くの互角!!!


だが、それは想定内だった。


どちらにとって?


リング上の両者にとってだ!


ノブナガは左拳にもう一撃を。

ゼオンは時間差で襲いかかる竜を。


それぞれが準備していた。



二撃目の衝突!!!!!


ノブナガの拳が紅蓮の竜共を喰い破り、砕け散った紅蓮の残滓が宙を舞う。


「見事だ」


ゼオンが満足げに笑う。

ノブナガの拳が、ゼオンに届く。


ーーその刹那、『黒雷』が霧散した。


3分。

ノブナガは文字通り全ての力を完全に使い果たした。


「……ちきしょう」


拳は届いた。だが、ノブナガの拳は魔王を撃ち倒すには至らず。


そして、試合終了のゴングがなった。


続きを読んでやってもいいぞ、という方は、

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