表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/9

序章 1,我が愛しのプロレス

書き溜めている8話まで一気に投稿します。


世界3大迷宮都市のひとつ《エルドラール》。数多の冒険者達を飲み込む魔窟を中心に造られた城塞都市。

その混沌と栄光の象徴である冒険者ギルドのギルドマスターを務めるのは、かつて『最強』と称えられた男。「世界の財宝の半分を個人所有している」という都市伝説すらも過小評価とされる規格外の存在。


それがマキシー・マッケンジーだ。


そんなマキシーが前世の記憶を持っていることは知られていない。


マキシーはいわば転生者である。であるのだが、前世の記憶は断片的なものだ。

地球人かつ日本人であったことは明確にわかっているが、性別も、生き様も、死に様も覚えていない。


今世のマキシー・マッケンジーという名前から、前世の名前は巻島賢治(漢字は適当)だったかもしれないとは思うが、、、それすらただの憶測の域を出ない。


唯一鮮明に残っているのは「プロレスが好きだ」という異常なまでに強烈な想い。


数々の伝説的名勝負。脳髄を揺さぶるマイクパフォーマンス。天を震わす咆哮と共に放たれる華麗にして激烈な必殺技。言葉の魔法で神話を叫ぶ実況。そして、リングに生き様を刻みこむ歴戦のレスラー達。

それはオーディエンスの魂すら焦がす熱狂と激情の総合芸術。


前世の自分が選手だったのか、裏方だったのか、いちファンだったのか、記者だったのか、そんなことはわからないし、どうでもよかった。

大事なのは前世と変わらず『プロレス』がマキシーの魂に"在る“という事実だった。


マキシーの生きる世界ガイアースは当然ながら地球とは文明体系が違う。

ガイアースは、剣と魔法の世界でありながら、各地に点在する迷宮や魔境から発掘される超古代文明の遺産によって、魔力を動力源とする機械文明も一定の発展を遂げていた。


だが、そこにプロレスに類するものは存在しなかった。


絶望。


"在るべきものがない“という魂の欠損。

その喪失は容赦なくマキシーの心を蝕んだ。


しかし、マキシーがギルドに所属する凄腕の冒険者たちを初めて見た時、天啓という名の稲妻がマキシーを貫いた。


武を極め、魔導の深淵を知り、死線を越えてなお笑う冒険者達。


「こいつらが本気でプロレスしたら、一体どんな凄まじいレッスルエンターテイメントが出来上がるのだろう?」


やるしかない! 


マキシーは決意した。


これは、プロレスを知っている俺にしかできないことだ。


マキシーは前世の記憶を持って転生した意味を確信した。プロレスの神が自分をこの世界に遣わせたのだ、と。


ならば、使徒としての天命を果たすのみ。


遺された記憶を剣として、魂の渇きを旗印に、プロレス未開のフロンティアを切り開く。

目的はただ一つ!!!


《S級冒険者によるプロレス団体》の設立。


世界の命運など知ったことか。

勇者?魔王?竜王?

その称号に本当に相応しい実力があるのならスカウトしてやる。いや、むしろその称号に相応しい男たちを自前で育ててリングにあげてやる!


マキシーは世界中を駆けまわり、財宝をかき集めた。S級冒険者を動かすのは、伝説の武具のような財宝だからだ。全てはプロレス団体にS級冒険者を雇うため。


当然のようにマキシー自身もその過程でS級冒険者に成長した。だが、マキシーはランクがどうあろうと変わらず財宝を求めて世界を駆けた。数多の迷宮を攻略し、前人未踏の魔境を踏破した。


資金は潤沢。

各地で弟子を育て、協力者たちのネットワークも作り上げた。

各地の財閥達とも交流を密にし、話を持ち掛ければすぐにでもスポンサー契約が手に入る状況を作り上げた。伝説的な傭兵団とも懇意になり、レフェリーを含む裏方も確保できた。


残るはマキシーが育成に関わっていない天然物のS級冒険者、もとい野生のレスラーのスカウト、そして本拠地となる都市の選定だった。


マキシーが本拠地に選んだのは迷宮都市エルドラール。S級冒険者が最も多く、好奇心旺盛で、お祭り上等の陽気な風土。


その地でマキシーは引退してギルドマスターに就任した。全てのS級冒険者と繋がりが持てる立場だからだ。


ギルドマスターとして、マキシーは新人育成に特に力を入れ、冒険者一人一人を大切にした。

全ては「万全の状態でいつかリングに立たせてやる」という私的な欲望からの行動だが、そうとは知らない冒険者達からのマキシーの支持率は天元突破状態だった。

その裏では、プロレス団体の立ち上げの時には、S級冒険者こと野生のレスラーを釣る“とっておき”の仕掛けも完了した。


そして、時は来た。


続きを読んでやってもいいぞ、という方は、

ブックマーク、☆☆☆☆☆ボタン

お願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ