3-1 長塀通りララバイ
二の丸公園から下っていく行幸坂は、もう薄暮を迎えているというのに、まだそこかしこに割れんばかりの蝉の声が響き渡っている。
あんなふうに、『プライドが高い』なんて言われたのに、ぜんぜん腹立たしくないなんて。きっと、普通の相手なら激しく罵倒しているはず。
普通? そうね。彼女は普通じゃないかもしれない。
そして、私はもっと普通じゃない。
それどころか、自分は特別な人間だと思い込んでいる。
『私たち、友だちになれるかな』
私が? この私が、この高校の同級生にそんなことを言うなんて。
私は特別。
だから、誰にも受け入れられなくて当然。
そんなふうに、自分と周囲を差別する事こそ自己を固持する唯一の方法だと思っていたのに、彼女はそんなことを一瞬で叩き壊して、私の中へなんのわだかまりもなく飛び込んできた。
「奏はバス?」
「ううん、歩き。ちょっとあるけどバスに乗るほどでもない距離なの。ここからなら歩いて十五分くらい」
「へぇ、こんな街中に住んでるの? マンション?」
「そうね。今度遊びに来たらいいわ。栞の家は遠いの? ここへは自転車?」
「うん。家は駅よりまだずーっと南のほう。ここからだと自転車で二十分くらいかなー」
生まれて初めて言った、『今度遊びに来たらいいわ』という言葉。
なぜだろう。
こんなにも自分をさらけ出してしまうなんて、私はどうかしている。
不思議なことに、彼女に対してはとても気を許せた。
こんな気持ちになったのは初めて。
それにしても、その相手が、よりによってこの……、藤田栞さんだなんて。
私は……、私はずっとこの子を妬んできた。
彼女はいつも歩くんのそばに居る。
いつも、どんなときも、彼と一緒。
だからずっと、彼女は歩くんと付き合っているものだとばかり思っていた。
『単なるご近所さん。ちょっと腐れ縁ってだけ』
そう言って彼女は、私がずっと抱えていた心の暗雲を取り払った。
そして、彼女も私と同じように、胸に秘めた彼への想いを温めていることを知り、なぜか一層、彼女への親近感が湧いた。
「おお、ちょうど良かった。奏、そこの橋の手前の公衆電話、ちょっと家に電話していい? 少し遅くなったから」
「うん。ねぇ……、あとで栞の家の電話番号、教えて?」
「うん。奏のもね? ごめん、電話する間、ちょっと待ってて」
この私が……、『電話番号教えて』だなんて。
信じられない。
正直に言って、私は絶対にこの高校の生徒と馴れ合うのはイヤだった。
なぜなら、この高校はまったく来るつもりがなかった、私のプライドが絶対に許さない高校だったから。
仕方なく、ふたつもランクを落として嫌々ながら入学した、この高校。
周りの生徒が、男子も女子もみんな愚鈍に見えた。
その不幸の始まりは、私がまだイギリスで暮らしていた、中等教育課程の十四歳のとき。
私の父は、大手の海運会社の海外駐在社員だった。
東京の外語大学を卒業し、ネイティブにも劣らない堪能な英語を武器にして、海運の仕事でイギリスじゅうを飛び回っていた。
父、母、そして私の三人が暮らす、ロンドンから東へ行った田舎町。
父は、その田舎町の社宅と、フェリックストーという港町との間を行ったり来たりする生活。
あまりゆっくりと時間が取れる父ではなかったけれど、それでも父は私の誕生日や復活祭のときには必ず休みを取って、ひとり娘である私にこれ以上ないくらいの愛情を注いでくれていた。
しかし、学年が上がって新学期が始まったばかりのとある秋の日、その穏やかで豊かな暮らしは突然終わりを告げた。
『日本へ帰ることになった』
あまりに突然のことで、最初は意味が分からなかった。
世界的な大手であった、父の海運会社。
その足元盤石と疑わなかった会社が、オイルショック以来積み重ねた負債で満身創痍となり、ついに限界を超えて破綻したのだと聞かされた。
会社更生法の適用を受け、海外事業部は大幅に縮小されることとなり、ずっと海外勤務だった父も日本に戻ることになったというのだ。
ショックだった。
三歳から過ごした、イギリス。
物心が付く前からイギリスで生活していた私は、両親から聞かされる話や書物でしか日本のことを知らなかった。
父と母にとっては、『帰る』かも知れない。
しかし、私にとっては違う。
知らない国。知らない文化。
黒髪と黒い瞳、そして流暢に日本語を操る私には、たしかに日本人の血が流れている。
しかし、私の心はすでにイギリス人だった。
『奏、本当に心から謝るよ。でも、いつかは帰らないといけなかったのだから、分かってほしい』
父の優しい瞳。
充分に理解しているというのに、その瞳を何度見つめても私の心は癒えなかった。
そして私は、その大いなる失望と不安を胸に、日本へと『帰国』した。
先進国、日本。
最も恐れていた民族性と文化の違いは、やはりその想像のとおり私を悩ませた。
イギリスでは、古いものほど尊ばれる。古いものを自分の手で修理して、大事に大事に愛着を持って使う。
家も同じで、木が茂った古い庭があり、築百年を超えるような鄙びた家ほど好まれ、そして高値で取引される。
しかし、日本は逆。
古い家は安く、手を加えて長持ちさせるよりいっそ新しいものに建て替えたほうがいいと言われ、そして躊躇なく取り壊される。
何でも自分の手で修理して、綺麗にして、色を塗って、長く長く大事に使うイギリス。
何でも新しいものをぞんざいに使って、汚れたり壊れたりしたらすぐに捨てて、また新しいものを買い求める日本。
私は、そんな日本をすぐに疎んだ。
聞けば、戦前はずいぶんいまと違ったそうだ。
人や物を大切に、古き価値に敬意を払い、貧しくとも心は豊かであることを美徳としていたと。
しかし、いまの日本は違う。
私は、そんな無味で無感動な現代の日本人の心がすぐに嫌いになった。
そして私には、ある想いが芽生えた。
言葉を、文章を綴って、血の通った心を、人や物を大切にする温かみのある真心を、日本の人々に届けたいと。
しかし、その想いはすぐに砕かれた。
どんなに心を込めた本であっても、読者にそれを読み取ろうとする能動性がなければ、その命を懸けた想いを読者に届けられない。
書き手の創作力も、書き綴られた文章の洗練性も関係ない。
ペンは無力。
新しいものに目を奪われ、面白いものばかりを視聴してはすぐに飽きて忘れ去る……、そんな、古い物を敬遠する文化と同じ価値観に立脚する低俗な読者が、この国には蔓延している。
もちろん、一定の知性を持った者たちは、そのことに気がつき、そしてそれをこの国の由々しき問題と位置付けて、地道にその改善に取り組んでいる。
そして私はいつしか、そのような正す側の人々の中に身を置きたい、そしてそんな彼らと同調して、この忌まわしき現代日本の価値観を正す取組みに参加したい……、そう思うようになった。
しかし、私にはそのコミュニティーに身を置く権利を与えられなかった。
家庭の経済的事情。
希望する私立に行く余裕はなく、さらに、公立は絶対に落ちる事を許されない。
そして出した答えは、ランクを落として絶対に安全に合格できる高校を受験することだった。
市の西のはずれ、見渡す限りの水田地帯にぽつんとある県立高校。
あれから二年と少し。
私はいまこの高校で、訴えたいメッセージを綴る夢も潰え、屍のような生活を送っている。
ただ、ひとつだけ希望と呼べるものがあった。
屍のような私が、唯一、希望だと感じた出来事。
そう、それが彼、宮本歩くんとの出会い。
彼はおそらく、私と同じようにこの無味乾燥な世間を疎んでいる。
そして誰よりも優しく、本当の真心を知っている。
生徒会室に文芸部の展示申請を出しに行ったとき、ひとりでそこに居た彼が私と同じ一年生であることはすぐに分かった。
私と同じ、青色の上履き。
可愛らしい、優しい笑顔。
その彼の笑顔に対して、私はここぞとばかりに居丈高に振る舞った。
『他の部と相部屋はイヤ』
『音を立てるうるさい部活の隣もイヤ』
どれだけ高飛車で利己的なのだと、自分でも思う。
私が逆にこれを言われたのなら、そんなのは通らないと即座に突っぱねただろう。
しかし、彼は違った。
『うん、分かった。できる限り希望に沿うようにするからね』
柔らかな笑みを投げて、彼はそう言ってくれた。
他の男子生徒と違って不必要に男らしさを誇示せず、柔和な物言いで私を気遣ってくれる姿が、とても心根の優しい男の子なのだろうと感じさせた。
そして数日後、文化祭展示の部屋割り一覧を見たとき、その思いは確信に変わった。
文芸部の展示場所は三年一組。三年棟の三階の一番奥。
たくさんの来訪を期待する展示であれば、この場所は最悪だ。きっと彼は、ここに私を割り当てることをずいぶん悩んだだろう。
隣を見れば、三年二組は新聞部、その向こうの三組は書道部、そして四組は華道部。
階下を見れば、直下の三年五組は写真部、その隣の六組は英文タイプ同好会……。
隣も下も、驚くほどに音を立てない部活や同好会ばかりが並んでいた。
そしてその一覧の一番下の注意書きには、こう記されていた。
『三年棟三階は、廊下での客引き、ラジカセなどによるBGM再生、大音量を伴う展示の解説や余興、その他、隣接他部活の展示閲覧に支障を及ぼす一切の行為を禁止します』
驚きだった。
その行間にあった彼の本心がどうだったのかは分からないが、私には、『隣接他部活の――』ではなく、『文芸部の――』と言っているように思えた。
展示の解説ですら大きな音を出してはいけないという規制は、きっと各方面からそれなりの反発を受けたことだろうと思う。
嬉しかった。
こんなにも、私を気遣ってくれた。
たったひとりの文芸部……、もっとぞんざいに扱われてもおかしくなかった。
そして、文化祭の当日。
彼は、さらなる喜びを私に与えてくれた。
『お邪魔します』
その優しい声に目を向けると、教室の入口に彼が立っていた。
窓際にふたつだけ机を置いた、文芸部の展示スペース。
机の上には、重ねて置いた私の詩集冊子。
本当に、たったそれだけ。
何もない、たったそれだけの文芸部展示。
二日間の文化祭。
きっと誰も訪れることはないだろうと思い、私はまるで飾り物の人形のようにそこに腰掛けて、ただただ文庫本の文字列を追っていた。
そんなとき、突然聞こえた、その声。
見覚えのある、その優しい笑顔。
生徒会執行部でたったひとりの一年生、文化委員長の彼。
『ずいぶん寂しいところにしてくれたわね』
訪れた彼にそう口走って、「しまった」と思った。
しかし、彼はほんの少し目を伏せて、その優しい声音で私を気遣った。
『ごめん』
彼が謝る必要はまったくない。
本当にまったくないのに、しかも、本来ならこちらが無理を言ったことを謝らなければならないのに、彼は本当に申し訳なさそうにその謝罪の言葉を口にした。
なんて人だろう。
私は驚き、自らの言葉を恥じた。
そして、次の瞬間、なんとも表現し難い、熱い塊のようなものが胸の内部で膨張して急に息苦しくなり、私はその苦しさを彼に気取られまいと、ぐいと胸を張って静かに息を吐いた。
『でもまぁ、私が願っている人だけ来てくれればいいから』
そうして、平静を装いつつそう言って、私は机の上に重ねていた冊子を彼に手渡した。
私が願っている人。
残念だが、それは彼ではなかった。
私が訪れてくれることを願っていたのは、ただひとり。
どうしても、私の詩集を読んで欲しかった、ある人。
それは……、遠く離れて暮らす、父。
日本に帰国して約一年が過ぎた中学三年の秋、ついに両親が離婚した。
いま、私が名乗っている姓は母親のもの。
元々、あまり良くなかった夫婦仲。『それぞれの人生を見つめ直す』、そんな陳腐な理由付けをしてふたりは他人になった。
母は証券会社で働いていたときに、異業種交流の立食パーティーの場で父と出会ったと言っていた。
本当かどうかは分からないが、お互いひと目惚れだったらしい。
母は、何をするにも隙がない完璧主義者。
それが災いし、柔らかい物腰で小さなことにあまりこだわらない父とは、年を追うごとに価値観の相違が顕著になっていったようだ。
父は、『まずはお互いの違うところを「違うものだ」と認め合い、そしてそれからどうするか建設的な意見を交換してより良い関係を作っていくことが大切だ』と、いつも教えてくれていた。
しかし、母は違った。
母は、根本的な考えが自分と違う人間は敵であり、絶対に相容れることのない相手であって、どんなに議論を尽くしてもそれは無駄なことだと切り捨てる。
正直、そんな母に引き取られることを知らされたとき、私は幻滅した。
私は母とは合わない。
おそらく、私は母にとても似ているのだと思う。
いまの私は、母によく似た、相容れないものを『切り捨てる』人間……。
どうしてそうなってしまったのか。
その答えは分かっている。
父が居なくなったから。
父の笑顔を見られなくなったから。
だから私は、どうしても父に文化祭に来て欲しかった。
招待状を出し、たったひとりの文芸部の展示を準備して、文化祭の二日間、私はずっと父が来てくれるのを待っていた。
日本の高校生たちの中で、元気に高校生活を送っている私の姿を見て欲しかった。
そして、もう一度、あの父の笑顔を見て、『切り捨てない自分』を取り戻したかった。
でも結局、その夢は叶わず終い。
父のためだけに展示した詩集だったから、私は彼に『私が願っている人だけ来てくれればいいから』と、心無いことを言った。
しかし……、歩くんが来てくれたことは、本当に嬉しかった。
だから、私は純粋な気持ちで彼に謝辞を述べて、私の詩集を手渡した。
『ありがとう』
すると彼はどうしたことか、私が手渡した詩集をなんの躊躇もなくその場で読み始め、さらにずいぶん深く読み入ってくれた。
そして、最後に彼が口にした言葉に、私は打ちのめされた。
『本当はすごく優しいんだね』
私が? 優しい?
私の詩は、慈愛を込めたものじゃない。
私の個人的な願望、独善的な訴えを散文にして放言しただけのもの。
それなのに、これを読んで彼はそう感じてくれた。
『あゆむくん』
彼が部屋を出て行ったあと、そっと小声でそう彼の名を呼んだ。
実はそのときはまだ、彼のその名を知ったばかりだった。
文化祭開催一週間前に全校生徒に配布された、『創立記念祭のしおり』にあった、彼の名前。
『文化委員長 宮本歩』
優しい名前だと思った。
そして、『あゆみ』だと思っていたその彼の名の正しい読みが、『あゆむ』であると知ったのは開催の二日前。
文化部代表と各クラスの文化委員が集められて行われた、開催前最後の実行委員会の席上。
『ガンバレっ、あゆみちゃん!』
壇上に立った彼に、彼の知り合いと思われる先輩男子がふざけてそう声をかけた。
少しだけ身を傾けて前席の男子越しに見ると、彼は思い切り苦笑いしながら、
『ありがとうございます。でも僕は、「あゆみ」じゃなくて「あゆむ」です。あんまり可愛くなくてすみません』
と、冗談を交えて答えた。
そうか、『あゆむ』というのかと、不意に意識した。
『あゆむ』
ちょっと可愛い。
なかなか彼に似合っている。
誠実で、素直で、透き通った響きの名前。
本当に、本当に不思議。
彼は、あっという間に、私の心をいっぱいにしてしまった。
来年、二年生になったときにもし彼が生徒会長になるのなら、私も生徒会執行部に入れてもらおうか、そんなことまで考えたくらい。
それから、三年生となった今日まで、私はずっと彼を密かに追っている。
いまの私は、彼の姿を追うためだけに、失望しかなかったこの高校へと通っている。
選択コースも、彼と同じ理系Aに変えた。
まさか、同じクラスになれるとは思っていなかったから、三年生のクラス替えの掲示で同じクラスに彼の名前を見つけたときは、本当に、本当に嬉しかった。
「……なで? 奏? どうしたの?」
ハッと我に返ると、電話ボックスから出て来た栞が、不思議そうに私の顔を覗き見上げていた。
「え? ああ。ごめんなさい。ちょっと考えごとしてた」
「あはは。もしかして、あっくんのこと?」
「あー、えっと……、ふふっ、そうね」
「そっかー。あ、そうだ! 今度あたしの家においで! あっくんが小学生のときの写真見せてあげる!」
「ほんと? 嬉しい!」
行幸坂を下りきった、市民プール前の公衆電話。
そこから橋を渡って、お堀の横の長塀通りを市役所のほうへ歩き出す。
綺麗な石畳の遊歩道から目をやると、石垣の上の長塀が見下ろすお堀の水面に、夕日を受けてキラキラしている並木の影がゆらりとしていた。
その並木を背景に、並んで歩く栞がハッと気がついたようにして私に目を向けた。
「奏、遠回りじゃない? あたしの自転車、市役所の駐輪場だよ? もうここで別れよか?」
申し訳なさそうに言う栞。
「え? あ……」
なぜだろう。
言葉が出ない。
いままで感じたことのない感覚が、突然、ぐっと胸を突き上げた。
栞が家に帰ってしまう。
次に会えるのはいつだろう。
お互いに家へ帰るのは当然のことなのに、今日出会ったときから、それは分かり切っていたことなのに。
石畳のずっと向こう。
市役所のビルにたくさんの灯りが点いているのが見えた。
思わず無言で掴んだ、栞の手。
「え? 何?」
栞がびっくりしている。
分からない。
本当に分からない。
それから私は何も言わずに両手を広げて、当惑している栞を引き寄せてぎゅっと抱きしめた。
「ど、どうしたの?」
栞がちょっとのけ反って、私の顔を覗き込もうとしている。
「分からない」
率直な気持ち。
「えっと……、奏、どうかした?」
「どうもしない。もうちょっと……、もうちょっとだけ、このままでいい?」
さらに腕に力を込めた。
ゆっくりと栞が息を吸う。
「うん……、いいよ?」
その言葉のあと、柔らかく栞の手が背中に回って、ゆっくりと、そして優しく私を抱きしめた。
通り過ぎてゆく、石畳を歩く人々。
その向こうでは、道行く車の音がビル群に響き渡っている。
しばらくして、すぐ横の街路灯にふわりと灯がともった。
私が、こんなにも弱かったなんて。
みっともなく自分をさらけ出したのに、こんなにも優しい気持ちになれるなんて。
栞と別れるのが寂しかった……、そう言えば簡単だ。
でも、本当はそんな安易なものじゃない。
私が感じていたのは、もっともっと、説明のしようがない喪失感。
弱い姿を人に見せることは敗北だ。
でも、この敗北はきっと許してもらえる。
なぜなら、こんなにも私が弱い人間だと思い知らされた、今日はその記念日だから。