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自分達の始まり  作者: i/o
第三編 衝撃の過去

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第十三話 先生の教え〜「僕」

 そして僕は魔法の訓練を始めることになった。僕についてきたのは……1人の魔術師だった。見るからに震えている。


 当たり前か、僕の特訓で下手したら巻き込まれて命を落とすかもしれないというのに平然といられる方がおかしい。


「あの……」


「ひゃい!」


 だめだ。完全に怯えられている。見る限り、僕と同い年のように感じる。自分で言うのもあれだけど彼女が可哀想におもえてきた……


「取り敢えず自己紹介をしよう。僕の名前は竹原隆介。今は15歳で、何故か異世界に召喚されたよ」


「わ、私の名前はリーセといいます。どうか宜しくお願い致します……」


「別に敬語は使わなくて良いよ」


「そんなこと言わないでください!貴方は勇者なのです。魔王を倒すために命をかけてくれる方にタメ口なんてできません!」


「だったら全ての軍人に敬語を使うべきだ。彼らは僕以上に命をかけて戦っているはずだ」


 そうだ。僕は召喚されてたまたま強い力を手に入れただけであって、国を守るために死ぬ気で毎日を過ごしている彼らと裕福な暮らしをしている自分を比較するのが恥ずかしい。それに……


「僕は魔王を倒したいから訓練しているのではなくて、魔法を誤爆させないために訓練しているんだ。この力を抑止力として使う気も全く無い」


「……そうなのですか?」


「戦争を起こせば必ず復讐される。そしたらこっちも復讐して、無限の連鎖でどっちかが滅びるまで永遠に続く。それは一番避けたいんだ」


 これは、僕がこの特訓をする上で決して忘れてはならないことだ。胸に刻んでおかなければいつか絶対に暴走する……


 人ってのは強大な力を得ると横柄になる。それは歴史が証明している。その歴史も知っておかないと後悔したって覆水盆に返らずだ。


 それに……


「盗人にも三分の理ありという言葉が僕の住んでいた世界にある。攻めるのには大抵理由がある。その原因を平和に根本的に解決してしまったほうが無駄な戦費に金を割かずに済んで増税せずに済む」


「確かに……」


「まあ、今から覚える魔法は全て覚えるつもりだけどね!」


「え……」


 何故か彼女は絶句していた。何か変なことでも言っただろうか?


「おーい、どうしたんだ?」


「……は!」


 まさか気絶していた。いくら驚いたからって気絶するってそんなことあり得るのか!?


「全部の魔法って本気なんですか!」


「そこを先生、お願い致します!」


「なんでそこだけ敬語なのかな!魔法には何千種類も存在するのですよ!」


「だって魔法にはロマンがあるじゃん!好きなことはいくらでも覚えることが出来るからそこは安心して!」


「いくら才能があったってそれは無理……」


「無理って思ったら終わりだよ!魔導書でもいいので沢山僕に魔法の事を教えて下さい!」


「分かりました……」


 遂に根負けしたのか、その後僕に沢山魔法について教えてもらった。




 まずは基本中の基本の詠唱について教えてくれた。

 詠唱は魔法を打つ際に話す文字に魔力をこめるような感覚でやるのだとか。


「大半はここで躓いてしまう。この感覚は才能の部類に入るね」


「努力じゃなんともならないのか?」


「なるよ。でも数十年かかる。それに短期間で習得出来ると覚えることの出来る魔法の数が増える。年を取ると物忘れが増えるからね」


「国王様は全然話してくれなかった気がするな……」


「忙しいからに決まっているって……」


「そう思うとありがたい」


「話がそれたね、ここで問題です。君は才能の塊だ。その理由とは?」


「魔力が多いこと?」


「それもそうなんだけど、もっと凄いのは君は無詠唱で魔法を使えるということだよ」


「……魔法なんて使った覚えがないんだけど」


「それが凄いの。今も君は魔法を使っているよ。私は今大量の魔力を出しているんだけど、それから身を守るために光系統の魔法を君は使っているよ」


「……殺す気だったの?」


「この程度だったら君にとっては無害だよ。無詠唱で魔法が使えるのは、才能だね。こればっかりは努力じゃなんともならない。まあ、詠唱を早口で言えたら同じようなものだけどね。でも無詠唱の方が若干速い」


「そんなに凄いことだったのか……」


「光系統の魔法を使えている時点で才能を自覚するべきだと思う……」


「僕は光系統の魔法より油系統の魔法があることに驚いたよ」


「私もそれを聞いた時、マジで驚いたよ。聞いたことがなかったから」


「油系統の魔法の詠唱する為の呪文はなんなの?」


「それは全く知らないね。そもそも魔法の呪文は大半が口伝なの。だからあまり魔法が使える人が少ないの」


「……ということは全部の魔法を覚えるのは不可能に近いってこと?」


「チッチッチ。私を舐めてもらっては困りますよ。こう見えて私は全ての魔法の呪文を知っている数少ない人なの!」


 扱えるわけではないんだ……。そう思ったがそれよりも、


「口伝ということはそれらはとても大切なものだよね?簡単に教えてしまってもいいの?」


「世界が滅びるかもしれないというのにそれらを秘密にする馬鹿はいないさ」


「本当にありがとうございます!」


 こうして魔法の詠唱と呪文の種類について教えてもらうことができたのだ。




「そういえば、もう僕にほとんど怯えていないね」


「君の性格だよ。私となんとなく気が合うからね。後は……君には教え甲斐があるから」


「そう言ってもらえると嬉しいね!」


 君のその笑顔を見ると更に嬉しくなる……というのは恥ずかしくて言えなかった。











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