第2話(2)筑地礼奈(レナ視点)
あたし筑地礼奈は高校で陰キャ☆デビューした。
あたし、中学までは都会で派手なギャルとかちょっとヤンチャな子たちとつるんで遊んでた。
でも、そんな生活にうんざりしちゃってさ。
未来の闇が見えちゃったんだよねー。パパ活とか薬とかみんなやってるし。
楽しく遊んで結婚して幸せそうな人もいるっちゃいるけど、薬で堕ちていく子もいれば、闇バイトで豚箱にぶちこまる子も。
だんだん、このままじゃ、あたしの未来もああなるかもって思えてきて。
実は好きなことして地味にマイペースに生きてる陰キャが一番幸せなんじゃない?
そう気がついて、ちょうど中学卒業する時期に田舎に引っ越すことになったから、あたしは高校から陰キャデビューすることにした。
あたしの演技はバッチリ。
みんなすっかり騙されて、あたしのことを生粋の陰キャ女子だと思ってる。
思った通り、陰キャ女子って楽。出ない杭は打たれないから。
でも、ちょっと、この生活、スリルが足りなくてさ。
それで、あたし、闇ダンジョンに潜ることにしたの。
ダンジョンでは適当にジャンヌってなのってる。
でね、あたしの入り浸ってる闇ダンジョンって、ちょっと特殊なダンジョンなんだけど、そこで四天王って呼ばれてるのがいて。
そのうちのふたりが、「神槍のパラディン」と「神速の忍者マスター」とかいうふざけたあだ名で呼ばれてる二人組パーティー。
ちな、いつの間にか、あたしも四天王の一人「劫炎の魔女」とか呼ばれるようになってんだけど。マジうける。
でさ、なにが気になるって、その忍者マスターのやつ。
あいつ、うちの学校にいる気がするんだよね。
ダンジョンではいつもスモークの入った戦闘用ゴーグルと黒いマスクで顔を隠してるから、はっきりわからないんだけど。
学校では、いくらダンジョンの話題ふっても全然しゃべらなくって尻尾つかめないんだけど。
でも、名前ほぼ同じだし、あたしのカン的にまちがいない。
でさ、いつか落としてやろうと思ってんの。
だって、あいつ、マジかわいいの!
だから、ダンジョンでは色んなファッションやシチュ試してるんだけど。
どれも反応ないんだよねー。