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第7話(2)ダンジョン料理人(敵視点)

 坂田健一。49才。港区のタワーマンションに住むその男は、至高の美食と快楽を追い求めて生きてきた。

 金。金。金。金はいくらでもあった。

 金さえあれば、女も美食もいくらでも手に入る。

 だが、どんなにおいしい物でも官能的なものでも、人は簡単に刺激になれていく。

 ただの美食は食い尽くし、ただの女にあきた坂田は、セックスと食事のマリアージュを追求した。


 坂田はどんどんと強い刺激を求めるようになっていった。

 いまや坂田にとっては、女体盛などスーパーのパック寿司と同等の平凡さ。

 警察に知られれば逮捕されるようなパーティーも開いてきたが、まったく物足りない。

 そして坂田はついにエロスと美食の究極の形を求めて、ダンジョンへと進出した。


 ダンジョンは、金さえあればどうとでもなる。

 最初からダンジョン外で50階層レベルの装備を買って入った坂田は、ダンジョン内で危険な目にあわなかった。

 ダンジョン内で食材を入手するために必要な「食材入手」特性がついた武器は、新宿ダンジョンを牛耳る半グレ集団から金で買った。

 億単位の金が必要だったが、それくらい、代々大金持ちの家に生まれ、さほど働かなくても経営者として成功してきた坂田にとって、大した金ではなかった。


 モンスターからとれる肉はうまかった。

 ダンジョン外では味わったことのない恍惚とした味が味わえた。

 一方、ダンジョンでは、食事とあわせるエロスも簡単に手に入る。

 ダンジョン内で、女はいくらでも手に入るのだ。


 新宿ダンジョンではダンジョン内派遣デリヘルが盛んだ。ダンジョン内では避妊をしなくても感染症や妊娠の危険性はない。危険なプレイでも、死にさえしなければ、外に出れば傷は残らない。

 だから、口車に乗せられダンジョン派遣風俗嬢になる女は多かった。だが、実はそのまま帰ってこない女が多いことは、あまり知られていない。

 デリヘル嬢以外の探索者の女も、新宿ダンジョンではアイテム交換で簡単に体を売った。

 もちろん、そうじゃない女もいるが、力さえあればどうとでもできる。


 そして、数々のモンスターの肉と女を堪能している内に、ある日、坂田は気が付いてしまった。

 食材が取れるのは、モンスターからだけではない。

 人間からもとれるのだ。

 

 それからは、モンスターと美女からとれる肉で至高の肉料理を作ることが、坂田の趣味になった。

 犠牲になった女の数はわからない。数多くいるダンジョン行方不明者のごく一部にすぎないから。

 やがて新宿ダンジョンのモンスターの肉を食いつくした坂田は、まだ知らぬ究極の美食を求めて、100階層のボスの間のその先へと進むことにした。

 通称、裏ダンジョンと呼ばれる高難易度のダンジョンへ。


 鍛えに鍛えた愛用のマグナム銃に麻痺弾をこめ、坂田は新しいダンジョンに足を踏み入れた。

 新しいダンジョンに入ってすぐ、坂田は巨大な牙をもつ気色の悪いモンスターに遭遇した。

 見たことのないモンスターだ。

 坂田は銃弾を何発も何発も撃ちこんだ。攻撃はしっかりと効いた。

 倒れたモンスターが消える前に、坂田はその腹に包丁を突きつけた。

 モンスターの死体から転がり落ちる肉塊。

 坂田は腹から笑い声をあげた。


「ふはは。新しい食材だ。これをどう調理しようか。ああ、今日はあいびき肉のハンバーグが食べたい気分だな。別の肉とあわせよう。女の肉がほしい……」


 坂田は、そこで、ダンジョン内をゆっくりと歩いている女の姿を発見した。

 若く美しい女だ。


「ふふふふふ。そうだ。今日は、あの肉とあわせようか」


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