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第6話(2)罠師の最期

 ダンジョンの中には時々トラップがある。

 ダンジョンが勝手に作り出すらしい。

 トラップは普通は注意深く観察しないと見えないけど、俺のゴーグルにはトラップを見分ける機能がついているから、ちゃんと見える。


 でも、俺はトラップはあまり気にしない。

 トラップは踏んでから起動するまでちょっとかかるから、起動する前に移動すりゃいい。

 俊敏を上げている俺は、30階層以下じゃ、走っている時はトラップにかかることがない。


 だけど、ある日、11階層を通り抜けようとして、俺は異常に気が付いた。

 地面をおおいつくすように大量のトラップが出現していた。

 どうやってもトラップを踏まなきゃ通れない。

 こんなのは、はじめてだ。


 でも、ま、駆け抜ければいい。

 走り出そうとしたところで、俺は気がついた。

 トラップの上にクモの巣みたいに糸がはりめぐらされている。

 あれも、一種のトラップだ。

 スパイダー系のモンスターがつくるやつ。


 あれはやっかいだ。かけこめば、糸にからめとられちまう。

 壁を走っても、クモの糸があるから、途中で失速して落ちてしまう。

 そして、スピードが落ちれば、トラップが起動する。

 この闇ダンジョンのトラップは、ものによっちゃ、けっこうえぐい威力だ。

 即死もあり得る。


 おまけに、トラップの向こう、クモの糸の中に、何かいるのが見える。……はっきりとは見えないけど、俺のゴーグルにはそこに何かいることが表示されている。

 たぶん、姿を消すタイプのモンスターだろう。そういう能力をもつモンスターもたまにいる。11階層ではこれまで見たことないけど。

 とにかくアレは、獲物がトラップにかかったところを襲う気だな。

 

 めんどくせぇ。どうすっかな。

 俺はトラップの前に立ち止まって思案した。

 トラップとクモの糸だけでも面倒だけど、正体不明のモンスターも待ちかまえている。

 それに、それ以上に不気味なのが、これはいままで遭遇したことのない状況だってことだ。

 慎重な俺の頭の中では警報が鳴っている。


(シンが来るのを待つか? ひとりで進むのは危険な気がする)


 そう考えていたところへ、アイツがやってきた。


「ヤッホー。何やってんの? って、あ、トラップじゃん。何この数」


 ジャンヌだ。今日は青い髪でカジュアルなパーカー姿。

 ダンジョンって無駄に装備のバリエーションが多い。俺は面倒だからいつも同じ格好だけど。

 俺はジャンヌに言った。


「地面のトラップは別にいいんだけどさ、あの蜘蛛の糸が邪魔なんだよ」


「あんなの簡単じゃん。ほら、ファイヤー、ファイヤー」


 ジャンヌが片手をあげ、でかい炎のボールをいくつかはなった。

 炎が蜘蛛の糸を焼き消していく。


「へぇ。魔法って、こういうのにつかえんのか」


 ジャンヌの腕輪みたいに魔法を使える装備はたまにダンジョンで出る。俺はいまいち魅力を感じたことがなかったけど、意外と便利そうだ。


 ジャンヌは俺をこばかにしたように言った。


「魔法は精神依存だから、あんたみたいな脳筋パラメータじゃろくにつかえないけどねー。ちっちゃーな火の玉しかでないでしょ」


「脳筋ってのは、シンみてーなのを言うんだよ。俺は敏捷派だ」


「近接特化はいっしょじゃん。ファイヤー、ファイヤー」


「敏捷をなめるな……」


 言いかけたところで、俺は気がついた。

 ファイヤーボールがたまたまぶつかって、蜘蛛の糸といっしょに、奥に隠れていた目に見えない何かがふっとんだ。

 そして、それが落ちた先で、トラップが作動し、爆発が起こった。


「あれ? なんかトラップ作動した?」


 ジャンヌがそうつぶやいた瞬間、俺はトラップの上を全速で走りぬけていた。

 トラップの向こう側に見えていたアレの正体に気がついたからだ。

 アレはモンスターじゃない。人間だ。


 だって、トラップが爆発した瞬間、俺の目には装備がいくつも落ちるのが見えた。

 ジャンヌは何も狙っていなかったけど、正体不明のアレは運悪くファイヤーボールが当たって落とされて、で、さらに運悪く落ちたところに爆発トラップがあったんだろう。結果、爆死。

 このダンジョンの爆発トラップの威力はえぐいからな。


 起動済みの爆発トラップの周辺には人体の残骸が散乱していた。

 俺は周囲に散らばる肉片を無視して、落ちていた装備アイテムを大急ぎで拾った。

 ちょっと気色悪いけど、どうせ死体はじきにダンジョンに吸収されてきれいに消える。装備についた肉片もきれいに消える。


 ふたつ拾ったところで、ファイヤーボールがとんできた。

 ジャンヌのやつも、出現したアイテムに気づいたらしい。


「それ、あたしの!」


「行き倒れのアイテムは早い者勝ちだ! 敏捷特化の力を見たか!」


 敏捷をあげまくっている俺と違って、ジャンヌはトラップを破壊してからじゃないと移動できない。

 ただ、あいつはすぐにトラップなんて破壊しちゃうだろうし、ファイヤーボールがとんできて邪魔だったので、俺はめぼしいアイテムだけとって、すぐに逃げた。


 俺はそのまま11階層の終点までかけぬけ、ジャンヌに捕まらないようにさらに数階層かけぬけてから、アイテムボックスの中を確認した。


 拾った装備の中にふたつ、かなりレアっぽいアイテムがあった。

 「トラップ製造機」と「透明マント」。

 透明マントは、装備すると姿を消せるっぽい。索敵機能がついた装備や鼻のいいモンスター相手にはきかないだろうけど、なんかおもしろそうな装備だ。

 トラップ製造機は……たぶん、トラップを作れるんだろうな。

 どうやって使うのかわかんねーけど、かなりレアだ。ラッキー。



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