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転生ドラゴンは生き残りたい  作者: プレ子
第二章
72/114

70.果たして三度寝は許されるのだろうか……

 ああ、眠い。

 確かに昨日はいつもより早く寝た。

 だからと言ってこんなに早く起こす事も無いじゃないか。

 だってまだ太陽すら上っていないのだ。こんな早起きしたところで作業は始められない。

 一体どれだけ温泉が楽しみなのだ……フェネックさんよ。


 寄ってたかられて、たたき起こされたのはいいがまだ日の出の日の字も無い。

 もはや夜と言っても過言じゃないのだ。

 いつも僕より起きてくるのが遅いフェネックさんも今日だけは早起きの様だった。


 起こされたという事は作業をしろと言う事だろう。

 昨日作業を断念したのは暗かったからで、要は明るければ作業は出来るのだ。

 粘土を良い感じに焼き固めるにはそれなりの時間が必要なはずで、夜が始まったばかりの時間ではあ狩りを照らしておくには魔力が足りなかったのだ。


 しかし、日の出が近いであろう今ならフェネックたちがかわりがわり魔術を使えば魔力は足りるだろう。

 だからこんな朝早くに叩き起こされたわけだ。

 理不尽だ。二度寝したい…………まあやるけどさ。



 僕が出来る一番簡単な土の焼き固め方は一度融解させて後は自然に熱を冷ましていく方法だ。

 しかし、今回は焼く部分は石の間に詰めた粘土だけで、今まで通りのやり方で溶かしたりでもしたら、石にもろとも溶かしてしまう事になって仕舞うので使えない。


 溶かすだけだったら強い魔術を使えば良いだけなので簡単なのだが温度を操作するとなれば使うのは竜言語魔法しかないだろう。

 使っている土が粘土質なものなので完成予想としてはレンガに近いものが出来ると思われる。

 レンガの事を詳しく知らないが作るのに時間が掛かったはずで、魔力が多くなった今ですら竜言語魔法を長時間使えるとは思えない。

 つまり正攻法じゃ無理なのだ。



 恐らく粘土質の土と大きな石の融点は違うだろう。

 本番で試す前に別の場所で両者の融点を調べて可能そうだったら適切な温度で粘土質な土を溶かす。

 今直ぐ思いつくのはこれくらいだ。


 本番で失敗するのは許されないし、まあ試すだけやってみよう。

 暗い中、おじいに頼んで中くらいの石と、粘土質な土を盛ってきてもらう。

 そしてそれを取り囲むようにフェネックたちがいて、みんな一様に『ファイアーボール』を生み出してそれを掲げている。


 本来は射出してしまうファイアーボールでも魔力をうまく扱えていればその場に留めて置く事が出来るのだ。

 でも暴発が怖いし何より、竜言語魔法をフェネックたちの近くで使う事が怖い。

 いろんな意味で緊張するが、集中して、竜言語魔法を起動する。


 望むの徐々に熱く成る炎。

 そしてその温度が分かるようなイメージを込めて魔法が発動する。


 決して小さくない炎が生まれた瞬間、周囲の気温が上がる。

 この炎の塊が願った性質をしっかり持っている事がざっくりとした温度が伝わってくることで理解できた。

 そして今の温度が大体500度、この時点でだいぶ熱いようだが、石も粘土も赤くすらなっていない。

 発動させただけで無茶苦茶魔力を消費しているのだ……両方が解けるまで実験をしたかったのだが、それまで魔力が持つだろうか。


 少し時間が経って現在の温度は1200度、すでに両方共に赤くなっており、感じられる熱気も相当なものになってきた。


『もう炎のひかりがだいぶ明るくなってきたから、危ないしみんな離れててね』


 やっぱり暑かったのだろう。みんな素直に離れて行った。


 炎の温度はどんどん上昇していき、もうすぐ2000度に届くだろう。

 すると粘土の方がようやく少し溶け始めた。

 石の方は元の色合いが分からない程赤くはなっているが全く溶ける様子はない。

 これで粘土の方だけを溶かせることが分かったのだ。



 幸いにもまだ魔力は半分以上残っていたので、石が解けるまでさらに温度を上昇させ続けた。

 その結果石が解け始めたのは3000度を超えたあたりだった。

 これならうまく粘土だけ溶かすのも簡単だろう。


 ここまで温度を上げるのに約30分程掛かってしまった。

 おかげで魔力は底をつきかけている。

 本番の温泉作りの時には広範囲を一気に熱さなくてはいけないが、ただ熱するだけなら少し安めば魔力が足りなくて出来ないという事も無いだろう。


 とは言え今すぐは魔力が足りないので……寝る。

 家の中に入ると、フェネックたちのお迎えだ。

 魔力を使い果たしちゃったから寝るとだけ伝えて寝室まで向かう。

 おやすみ………………


 …………


 ……


 3時間は寝ていただろうか、魔力は全回復とまではいかないものの6割くらいは回復している。

 今は朝日も登ってからかなり時間が経っているようだ。

 いつもよりだいぶ早いが、今からご飯を食べれば温泉づくりに取り掛かれる程度には魔力が回復するだろう。



 食事はお肉を解凍するのが面倒だったので炎で炙って食べた。

 ご飯を食べたのは僕だけだったので、調理の時間は無く一瞬で平らげてしまったのだ。


 ご飯を食べ終わった後は予定通り温泉の作成に取り掛かる。

 と言っても炎で焼き上げるだけで、それ以外の仕事は本当にない。

 粘土質な土を溶かしさえしてしまえばあとは自然に冷やしていくだけの簡単な作業だ。

 竜言語魔法を使えばその程度簡単に終えられる。


 予想通り、作業はあっさりと終わり目の前には赤く染まった地獄のような光景が広がっている。

 夜になればある程度冷えるだろう。

 もしかしたら夜に水を掛ければ余熱でいい感じの温度のお風呂になるかもしれない。

 ちょっと楽しみだ。

 果報は寝て待てとも言うし、3度寝でもして来よう。

 朝から魔力を使いまくったせいで眠いのだ。おやすみ。

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