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転生ドラゴンは生き残りたい  作者: プレ子
第一章
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22.擬態の達人

コカトリスがいた場所から移動を続けて約40分、漸く次の魔物を見つける事が出来た。

 見つけた魔物の名前はグリーンベアー、名前の通り体毛が緑色をした1メートル程の熊だ。

 周囲に擬態していた事以外は特徴が分からない。

 コカトリスのような突出した能力があると厄介なのだが、グリーンベアーについてよく知らないのでそこがよく分からない。

 むやみに手を出すのは危険だろう。


 けれど、個人的には今ここでこいつと戦ってもいいと思っている。

 危険かもしれないとゆうだけで手を引くのは正直勿体無い。

 見えている地雷を踏むのは馬鹿だけど、見えていない地雷を警戒し過ぎるのも余り良くないだろう。

 そもそも僕のお母さんがグリーンベアーについて外見的特徴しか教えてくれなかったのだ。

 ならば、それ以上の特徴がないか、生息域が違うから言う必要が無かったのかの二択になるだろう。

 分の悪い懸けじゃないと思う。


 ああだこうだ思考を続けていたがつまり何が言いたいかというと、今すぐに戦いたいのだ。

 代り映えしない森の中を獲物を探して移動を続けるのにも少し飽きてきていたのだ。

 それに、今回の狩りでは明日の分のご飯も取って帰る予定なのだ。

 つまり、特攻あるのみだ。



 グリーンベアーは、僕の前方約10メートルの場所で葉っぱに擬態してじっとしている。

 動く様子はないので、回り込んで後ろから特攻しよう。

 後ろに回って、気づかれない様に出来るだけグリーンベアーに近付いていく。


 グリーンベアーまで後5メートル、4メートルと、近付いていき後3メートルの所で違和感を覚え、次の瞬間にほぼ無意識的にバックステップで緊急回避をした。

 何を回避する必要があったのか自分でも分からなかった攻撃はしかし直ぐに理解する事が出来た。

 さっきまで僕がいた場所がクレーターのようにへこんでいる。

 グリーンベアーからの攻撃だ。

 一瞬、水の玉の様な物が見えたので、魔術での攻撃だろう。

 『ウォーターボール』? いや、今の威力からして上級魔術の『バブルボブ』だろう。


 上級魔術の発動に気付けなかったのには正直へこむが、それだけ相手が戦い慣れているのだろう。

 相手に気付かれている以上ゆっくりしていられない。

 このままでは、距離が離れていて、一方的に狙い撃ちにされてしまうので、全速力でグリーンベアーに突進する。


 グリーンベアーとの距離はすぐに詰まり、横なぎに尻尾を振るう。

 突進した速度もプラスされた一撃はしかし、紙一重の所で躱されてしまう。

 そして、お返しとばかりにグリーンベアーの両腕が振り下ろされる。

 それをギリギリの所で何とか回避する。

 どうにか体勢を整えようとするが、グリーンベアーが突進して来るのが目に入った。

 速い。これまで戦てきた相手の中で一番に速く、そして強いだろう。


 これを回避する手段は一度目の回避で体勢を崩してしまっている僕には無い。

 なので、覚悟を決めて歯を食いしばる。

 直後、意識が飛びそうな程の衝撃が襲ってきて、一瞬中を舞う浮遊感を感じた後、木に激突した。

 

 激突した木は太い幹にも拘わらず圧し折れていた。

 それ程の衝撃を受け、辛うじて意識を失わずに済んだ僕は真っ先に『ライトヒール』を使って自分に回復を掛ける。

 直ぐに怪我が治る訳ではないが、相手の速度が上回っている以上長期戦は免れないだろうから少しでも体力は回復させて置きたいのだ。


 更に『パワーブースト』を使い少しでも相手との速度の差を無くしていく。

 以前パワーブーストを使った時よりも魔力量も増え、余裕も有るので、長期戦にも対応出来るだろう。


 しかし、パワーブーストを発動させるには少し時間がいる。

 その間にまたグリーンベアーに特攻していく。

 今度は、フェイントを入れての噛みつき。

 工夫を凝らしてなお当たらない攻撃に反し、僕の気分は高揚していた。


 感覚が研ぎ澄まされ、ついさっきまでだったら避けるので精一杯だっただろう攻撃を寸でで避け、更に尻尾を振るい反撃を仕掛ける。

 相変わらずグリーンベアーには当たらないが、もうすぐ『パワーブースト』が発動する。

 そうすれば、状況は良い方に転がるだろう。



 数度の攻撃の応酬の後『パワーブースト』が発動した。

 速度がぐんと上がり、漸くグリーンベアーに一撃を食らわせる事が出来た。

 グリーンベアーにとって大した傷では無いだろうが、更に続けざまに攻撃を重ねていく。


 もとよりリーチは僕の方が圧倒的に長い。

 速度が上がった事によってその優位性が前面に出てきたのだ。

 しかし、まだ相手との差が埋まった訳では無い。

 それだけグリーンベアーの持つ戦闘技術が高いのだ。

 その差を埋めるには戦って慣れるしかないだろう。



 グリーンベアーとの戦闘が始まって30分程が立っただろうか。

 最初に吹っ飛ばされた時のダメージもほぼ回復し、両者共に致命傷となる傷はく、小さな傷が目立つようになってきた。

 そしてそろそろ魔力量が尽き『パワーブースト』での身体能力の補正が無くなる。

 そうなれば僕の勝ち目は無くなるだろう。

 ここで決める。


 繰り出される攻撃を避け、そのままの勢いで尻尾を振るいグリーンベアーの足を狙い体勢を崩させる。

 続けざまに鉤爪でお腹を裂く。

 初めてグリーンベアーに大きなダメージを与える事が出来た。


 その一瞬の達成感はしかし、致命的な隙を生んでしまった。

 そして視界唐突に生まれた水の玉。

 それは、この戦闘が始まった時に一度見た物と同じ物だった。

 バブルボムッ!? まっまずっ


 一切回避の余裕は無く、バブルボムの爆発をもろに食らってしまった。

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