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転生ドラゴンは生き残りたい  作者: プレ子
第一章
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21.増水対策

 永遠と石を咥えて運び続ける拷問から一夜明けた朝、いつもより遅い時間に目が覚めた。

 昨日、石を咥えてまくったせいで顎が痛い。

 半日以上も石を洞窟から外に運び出していたにも拘らず、洞窟内に残った石はまだまだ多い。


 なので今日は石運びをお休みして別の事をやろうと思っているのだ。

 それは、洞窟の目の前を流れる川の整備だ。

 昨日も考えていた事だが、何らかの要因で川の水が増水したらほぼ確実にこの洞窟は水没するだろう。


 洞窟が水没しても僕が死ぬ事は無いだろうが、これから色々と家具を増やしていきたいので、水没されると面倒くさいのだ。

 だから川の整備は早急に何とかしなくては行けないだろう。


 増水対策としてまず思い浮かぶのはやっぱり堤防だろう。

 作成もただ土を盛るだけと簡単で、得られる効果も高い。

 だけど、川は洞窟の目の前を流れているのだ。

 仮に堤防を作ったら洞窟内に入り辛くなってしまう。

 堤防を作るとしたら相当時間も掛かるだろうし、あまり現実的では無い。


 なら、洞窟を囲む様に土を盛って塀を作ってはどうだろうか。

 悪くは無いと思う。

 ある程度の広さを確保して洞窟の周りを囲めば、ある程度なら外敵から身を守る事が出来るだろう。


 でもそれにはいくつか欠点がある。

 まず、雨が降って来た時、塀の中に水が溜まってしまう事だ。

 そんな事になれば本末転倒なのだ。


 そして、川の流れを変える必要がある事だ。

 洞窟の周りを囲むなら当然、目の前を流れる川が邪魔になる。

 ならば、塀を迂回するように穴を掘って川の流れを変えるしか無い。

 それをするのであれば、わざわざ塀を作る必要は無いだろう。


 とはいえ、どれだけ増水するか分かっていないので、ただ川が流れる場所を変えただけでは不安が残る。

 どうしよう。



 散々悩んだ結果、洞窟の周りを塀で囲む事に決めた。

 理由としては、外敵から身を守れる安全性の高さと、もし洞窟内が水没しても羽毛の様な軽い素材が流れ出て行かないからだ。


 行動方針が決まったので、早速、作業を始める。

 まず初めに、新しく作る川の予定地を大まかに決めて、薄く掘って行く。

 かなり大きく迂回させるつもりなので、迂回先にある木々を切り倒さなければいけないだろう。

 取り敢えず、木を切り倒すのは後でやるとしよう。


 数時間ほど掛けて川の予定地を10センチ程掘る事が出来た。

 これから今掘った場所を水が流れるまで掘り下げていくのだが、もうすぐお昼になるし一時、穴掘り作業を中断してご飯を探しに行こう。


 毎日狩りに出掛けるのは大変だし、ちょっと多めに狩っても良いかも知れない。

 そうなると、鮮度の問題も出てくるし、そもそもここまで持って帰ってこれるかも分からない。

 まあ、取り敢えず今日は試しに明日の分のご飯も持って帰ってこれるか試しにやってみよう。



 30分くらい歩いただろうか。

 一匹目の魔物を見つける事が出来た。

 白い羽毛と頭に生えた赤いとさかは一見するとただの大きなニワトリに見えるが、良く観察しているとそれは間違いだと気づく。

 あのニワトリには、尻尾として二本の蛇の頭が生えているのだ。

 あの容姿から考えて間違い無くコカトリスだろう。


 観察を続けていると、あの尻尾の蛇は周囲を警戒するように辺りを見回しているようだ。

 しかし、僕とコカトリスとの距離は離れているのでまだ見つかった様子は無い。

 コカトリスの最大の特徴はやっぱり、視認した生き物を石化させる事だろう。

 石化は保有する魔力量に大きな差があればレジストする事が出来るのだが、目の前の個体と僕とではそれ程大きな差は無い。


 つまり、倒した時の見返りも大きい訳だが、現状打つ手が無い。

 奇襲しようにも周囲を警戒している尻尾の蛇に発見されて終わりだろう。


 コカトリスの石化の能力が対象を一瞬で石化させる物なのか、それとも、徐々に石化していく物なのか。

 後者ならまだやりようはあるけど、どちらか分からない以上ここは、引いた方がいいだろう。

 博打に出るほど重要な案件じゃ無いのだ。


 戦わないと決めた以上ここにいても意味は無いので、見つからないように静かにこの場所を離れて行く。

 折角獲物を見つけたのに倒せないのは少しだけ残念ではあるが、気を取り直して次の獲物を探そう。


 近くに別の魔物がいると良いな。

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