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転生ドラゴンは生き残りたい  作者: プレ子
第一章
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20.もふもふ採取

 サンダーバードの羽毛はとてももふもふだ。

 出来れば寝床の床に敷くために取っておきたい。

 とはいえ、上手な羽毛の取り方を知ってる訳じゃ無いし……

 まあ、どの道食べる為に羽毛は取らなければいけないのだから取り敢えず、やるだけやってみよう。


 出来るだけ丁寧に羽毛を採取したいので、人化して作業しようと思う。

 僕が人化出来る時間は5分前後と、相当に短い。

 全ての羽毛を取り切るには時間が足りないだろう。

 初めてやる事だし、今後、サンダーバードを狩る事もあるだろうし、今回失敗しても次に活かせれば問題は無い。



 長い術式を構築し終えて人化が完了する。

 すると、さっきまで感じていた痛みがなくなっていた。

 木にぶつかった程度の軽い傷ではあったが、それでも全身のいたる所にあった傷が、人化した事ですっかり無くなっていた。

 色々検証してみたいが、今の僕には時間が足りないし、サンダーバードの羽毛取りの方が重要なのだ。


 取り敢えずサンダーバードのお腹辺りの羽毛を剥ぎ取って見る。

 少し力を入れると羽毛は簡単に剥がれ、そして、剥ぎ取った羽毛の方も特に問題は無さそうだ。

 相当雑なやり方ではあると思うが、今日のご飯でもあるので最低限食べられる位には羽毛を剥がしておきたいので、どんどん羽毛を取っていく。



 人化が維持出来なくなって、ドラゴンの姿に戻った頃には翼と尻尾?の部分を除き、ほぼ全ての羽毛を取り切る事が出来た。

 まだ羽が残っている場所は切り落として後でまた取ろうと思う。

 剥ぎ取った羽毛達は、風で飛ばされない様に洞窟の一番奥に置いておいた。



 魔力が少し回復して、漸くご飯タイムだ。

 ある程度の大きさに魔術を使って切り分けてから、生のままにかぶりつく。

 鶏皮の部分が固くけて、生だと少し食べ辛い。

 なので、表面がカリッカリになるまで火を通してから食べてみる。

 すると、食べにくさが無くなり、焼いた事によってジューシーさが増した。

 しかし、もともとサッパリとしていたお肉は味が薄くて、少し物足りない。

 お塩をかければきっと頬が落ちるだろう。

 贅沢は言わないからお塩がほしい。


 お塩はいつか手に入れるとして、サンダーバードはすっかり食べきってしまった。

 お腹いっぱいになって眠くなっきた。

 お昼寝したい気分ではあるが、ぐっとこらえて洞窟内の整地を始める。


 まだ、具体的な方法は考えていないけど、出来る事が無い訳ではないのだ。

 洞窟の中は広くて、それだけに大きな岩や外から入ってきたであろう大小様々な石が沢山ある。

 それを一個一個拾って洞窟の外に出していくのだ。


 僕にとってこの作業は相当面倒くさい。

 何故ならドラゴンである僕は二足歩行が出来ないからだ。

 頑張れば二足歩行で歩く事が出来るかも知れないが少なくともその状態で石を運ぶ事は出来ないだろう。

 そのせいで、一個一個口で咥えて持っていくしか無いのだ。

 ここの地面が平らだったらブルドーザーみたいに一気に外に掻き出せるんだけど残念ながらそれは出来なかった。


 なので、ある程度小さい物は後回しにして、大きな岩をどかして行こうと思う。

 驚いた事に、1メートルを超える大きな岩もあり、これはこれで苦戦しそうなのだ。

 まあ、気長にやっていこう。



 目に付いた大きな岩を全て外に出し終える事が出来た。

 結局、3時間も掛かってしまったが、これでも相当速く出来たと思う。

 まだ、洞窟内に沢山石が残っているが今は休憩タイムだ。


 岩を掻き出している内に気づいた事が一つある。

 咥えて持ち運べる程度の大きさの石は、その殆どが角が無く丸みを帯びていたのだ。

 その形状は、洞窟の目の前を流れる小川底にある物とそっくりだった。


 つまり、大雨とかで小川の水位が上がってしまえば、この洞窟は水没してしまう可能性があるという事だ。

 住処として丁度いいと思えるこの洞窟が、魔物の巣になる事無く放置されていたのはこれが原因だろう。

 これは急いで対策を立てなくてはいけないだろう。


 最近はやりたい事が多すぎて手が回らなくなって来た。

 大変ではあるけど、こういう生き方も悪く無いと思うのだ。

 前世では何でもかんでも簡略化され、大変な事なんて殆ど無かった。

 それが幸せな事なのは間違いないが、今思えば前世での生活は少しばかり退屈だったのだと思う。

 今は、全てを自分でやらなければならないのだ。

 その事がたまらなく楽しいのだ。



 そうして僕は休憩を終えた後、日暮れまで洞窟から石を出し続けるのだった。

 まるで拷問じゃ無いか。

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