11.拠点を作ろう
今日は周辺の探索と、良さそうな場所があったら拠点を作りたい。
ここら辺の魔物は弱いし、美味しいご飯もいる。
ずっとここら辺で住む訳ではないが、とりあえず住む場所が欲しいのだ。
早速空に飛び上がる。
出来たらオークの集落も見つけておきたい。
辺りを見渡しても、何も無い平原が広がっている。
拠点を作るならせめて、大きな石とか、木が一本生えているとか、何か目印になる物が無いと絶対に迷子になる。
この感じだと拠点の目印は自作するしか無いだろう。
1時間程飛び回ってようやくオークの集落を見つける事が出来た。
オークの集落は木造の壁に藁の屋根を乗せた簡素な作りをした家が沢山あり、大きな囲いの中で、角が生えた小型の魔物ホーンラビットを飼育している。
ウサギのような見た目をしているが、ホーンラビットは肉食で、この前のオークは、野生動物を狩るために少数で行動していたのだろう。
直接オークの集落を襲ったりはしないが、この場所が見つけられたのは良かった。
オークの集落から飛んで30分程の場合に着地し、ここに拠点を作る事に決めた。
あれから翼が疲れるまで探索したが、分かりやすく目印になる物が無かったので、後で目印を作らなければいけない。
魔術を使って生い茂った雑草を焼き払い、前足で浅く穴を掘っていく。
30分程で、直径5メートル、深さ70センチ程のクレーターが出来上がった。
そのなかに、そこらじゅうに生えている雑草を敷いて、拠点の完成だ。
うん。その、なんと言うか・・・
せめて屋根が欲しい。
いや、だってオークが作っていた家には木材が使われていたのだ。
だから近くに森林のような場所があると思っていた。
それなのに森林どころか木一本生えていない。
あいつら一体何処から木材を調達したんだろうか。
言い訳は止めよう。
どのみち木材が在ろうと、僕には加工出来ない。
悲しい。
今のままだと、雨が降った時に、僕のお家がおっきな水溜まりになってしまうだろう。
なら何で穴を掘ったかと言うと、僕が空に飛び立つとき、下に敷いている雑草が吹き飛ば無いようにするためだ。
・・・よく考えたら隣にスペースを作って置けばよくね?
ああ。
ご飯食べに行こう。
オークを四匹も食べて拠点に帰ってきた時にはもう既に暗くなっていた。
「おやすみなさい」
久しぶりにガウーして眠りに付いた。
目が覚める。
いつもなら、起きて直ぐに活動し始めるが、今日は特にする事も無いし、だらだらと寝転がっている。
本当は、魔力量の強化とか、魔術の練習とか、やることは多いのだが、休みたい日だってある。
二度寝しよう。おやすみ。
本日二度目の目覚めだ。
さすがに起き上がる。
だらだらと生きたい願望はあるが、それを叶えるには強さが必要で、今の僕は相当に弱い。
「はあ。今日は魔力量を上げる特訓をしよう。」
目立ちにくい風魔法を使って効率良く魔力を消費していく。
魔力を使えば使うほど魔力上限は上がって行く。
魔物を倒した方が楽に魔力上限を増やせるのだが、食べきれない量を倒す事はしたく無い。
自分の命がかかっている状況で、くだらない思想かもしれないけど、僕にだって誇りがあるのだ。
だから、魔力を消費していく。
魔力の殆どは呼吸する事で回復している為、深呼吸をする。
最近分かった事だか、魔力を使いきった後に深呼吸をすると、普段の魔力回復速度が少し増えるのだ。
僕が産まれたばかりの頃に比べるともう既に三倍近く早く魔力が回復しているのだ。
ぶっちゃけ魔力上限を増やす事よりも、この魔力回復スピードを上げる方が事の方が重要で、持続型魔術の筋力増加や結界魔術、人化魔術などの発動している間継続的に魔力を消費する物より魔力の回復速度が上回れば、常に持続型魔術を使用できる。
僕が今目指しているのは、人化魔術の常時発動だ。
今の魔力量だと発動すら出来ないけど、いつかは出来るようになるだろう。
少しも休憩を挟み、今度は体を動かす。
基本的に尻尾の素振をメインでやっている。
ドラゴンの尻尾は恐ろしく強い。
手足を地面に着けての尻尾の一撃は例えるなら、正面が尖った3トントラックが時速40キロで突っ込む程の衝撃だ。
正面が尖ったトラックの衝突実験なんて見たこと無いが、そこは置いておこう。
僕の尻尾はむちゃくちゃ強いのだ。
今の尻尾の長さはかなり長くなっており、稼働範囲も広くなっている。
僕の体長は1.8メートル位になっており、尻尾だけで体と同じ位の長さがあり、体重の四割程度を占める尻尾の使い勝手が悪い訳が無いだろう。
だから強い。
長所は伸ばした方が良い。
1時間程度素振りをして、休憩を挟む。
そして、お腹が減ったらまたご飯を食べにいこう。




