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竜と信仰の奇譚  作者: 長月十九
第三章 サンクチュアリ・オブ・ウードン
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第九話 開戦


 視線の先、堅牢な石造りの城壁がそびえている。

 その威容は初見の時から変化がなく、ウードン帝国は拠点の強化・拡張に資金を割いていないことが分かる。そうは言っても最初に大金を注ぎ込んだことは疑いようもなく、現状、プレイヤー個人の実力で城壁そのものを破壊するのは困難だろう。

 となれば、攻め込むには城門を破るしかない。帝国は籠城するという手もあった筈だが、ある程度は打って出る必要があると判断したらしく、城門は閉ざされていない。だがその前に布陣した敵軍こそが擬似的な城門であり、奥からは例のバリスタがこちらを狙っている筈だ。


「さて」


 俺はレジスタンスの先頭集団に立ち、背後を振り返ってやや距離を置いた全軍を見る。

 勢いに任せて出発したレジスタンスだが、大雑把な役割分担だけは伝えられている。およそ百人単位で全軍を三つに分け、その内の二つは突撃部隊となっている。まず第一陣が突撃し、敵を消耗させる。第一陣が半壊したら第二陣が突撃し、敵を蹴散らしながら城内に突入するという分担だ。

 残るもう一つの部隊は、魔道士と猟師を中心とした遠距離戦力で、城壁の上に配置された敵戦力――特にバリスタを地上から破壊する役割が与えられている。

 それぞれの部隊は内部で複数のPT単位になっているが、所詮は寄せ集め。連携なんて求めていないし、チャンスだと思ったらスタンドプレーに走れとまで言ってある。

 ゲームである以上、現実の戦争と同じ理屈は通用しない。状況次第では一人のプレイヤーが無双するだけの可能性があるし、変に行動を強制してやる気を落とされても困るのだ。

 そして最後に――個々の戦力で言えば文句なしのトップクラス、オズワルド率いる教会騎士団の聖騎士だ。総勢は三十人ほどと少ないが、オズワルドの権限で動かせる上限がそのぐらいなのだろう。彼らの外見はオズワルドと同じく、例のズタ袋を被ったような不気味なものだったが、教会騎士団はそれでいいのか。

 彼らは左手にタワーシールドを、右手にラージクラブを装備しており、ぶっちゃけ神聖さの欠片もない。つーかラージクラブって言わば丸太のような巨大な棍棒で、まったく騎士のイメージじゃないんだが。これ、教会の暗部が白昼堂々、出歩いているだけでは?

 どうにもそんな気がしてならないが、貴重な戦力を手放すわけにもいかない。彼らには遊撃を頼んでいるが、実際には第二陣に合わせて突っ込み、庭を占拠してもらうことになるだろう。


「ホント、よくこんなに集まったよなぁ」


 他人事のように言って、俺は彼らに向けて笑みを浮かべた。

 レジスタンスと言っても中身はバラバラで、正義感に駆られた奴もいれば、ノリで参加した奴もいる。戦争後の同盟が目当てだって奴もいるし、信頼する誰かが参加するから自分も参加したって奴もいるだろう。

 それでいい。それがいいと思う。今回はたまたま、俺が目立つポジションにいるだけだ。俺が主役だってんなら、こいつらだって主役だ。まとまりなんて、最初からない方がいい。


「何だかんだでこれ、君の力だと思うけどねぇ」


 隣に立つニャドスさんが軽い調子で口を開いた。

 彼は俺ではなく、集まったレジスタンスを見て目を細め、


「こういうゲームだと大切だよ? 気持ちよく戦える場を用意することって。

 金が戦力に直結すると分かっていても、普段は皆、どうしたって出し惜しむからね。それでも心のどこかで、派手に散財して戦える場が欲しいと思っているのさ。

 そして今回、君は後でクラン作って同盟組みたい人達の人気投票を考えたでしょ。あれでお祭りムードになったのが大きかった。ほとんどの人は採算度外視で、活躍することしか考えてないよ」


 流れを作り、場を整えたのが功績だと彼は言う。

 いや、そこまで持ち上げられるようなことじゃないと思うし、俺自身は人気投票に参加してないから微妙に後ろめたいので、本当にやめて欲しい。俺が気持ちよく戦えないでしょ!

 だからというわけでもないが、俺は話を変える。


「ってか、そっちは第一陣でよかったんですか?

 死に戻りできると言っても、使い潰し前提の損な役割ですよ」


「あー、うちのリーダーが帝国側だしねー。

 せめて俺らが先頭で体張らないと、他のプレイヤーに言い訳もできないでしょ」


 苦笑して語る姿に哀愁が漂っていたので、追求はしないでおこう。

 そうして無言がしばし続き、ニャドスさんはレジスタンス全体を見て口を開いた。


「そろそろ準備できたんじゃない?」


「うっす。そんじゃあ始めますか」


 内側でのPT編成なども終わった頃合いで、俺達は別れた。

 ニャドスさんは自らのクランの指揮を執るために離れ、俺は前に向き直って再びウードン帝国の拠点――と言うより、一番槍を務める馬鹿どもを見た。

 俺を含めて総勢十二名。武器を持っただけの全裸マン達を。

 …………最低な絵面だよな。でも、ニャドスさんが提言したんだよ。先頭集団が全裸で突っ込んだら、相手の動揺を誘えるんじゃないか。バリスタも集中するんじゃないか、って。

 合理性の権化は俺の全裸まで策にしやがったのだ……!

 でもマジ最低の絵面。強制するのは駄目だよね、と志願者を募ったらこんなにいたっていう事実も最低。何より筋骨たくましい野郎どもの全裸に囲まれてる状況が最低過ぎる。

 俺は露骨にため息を吐いて、


「じゃ、お前らもう突っ込んでいいよ。死んで来い」


「ンだとテメェ!?」「言い方ってもんがあるだろ流星!」「ちょっと引き締まったケツしてるからって偉そうにしてんなよ!」「俺らの大将が先陣切らねぇでどうするんスか兄貴!」「そうだぜ兄貴! 一緒に行こうぜ!」


「お前ら途中からなんか怖ぇんだけど!?」


 ニャドスさんは俺の魅力が二%に通用するとか言ってたけど、その二%がここに混じってない?

 だが思想はバラバラでも、先陣を切るのは俺だということで一致しているらしい。無駄な団結力に吐き気がする。つーか先陣切るのはいいけど、二%どもに尻を見せたくない。

 だが悲しいかな、尻込みしているとPTチャットから外道どもの声がする。


『何やってんのガウス君。もう準備できてるんでしょ?』


『覚悟決めて行っちゃいましょうよ。あ、私は他人のフリしてますけど』


『兄ちゃんのこと今だけ名前で呼ぶけど、行きなよ全裸』


「全裸は名前じゃねぇ――!!」


 吠えて、俺は諦観をヤケクソ気味にやる気へ変換していく。こんなことになってるのは、何もかも帝国が悪い。特にウードンさんが悪い。正気に戻るまで、何度でも撲殺OKだと思う。

 よぉーしやる気湧いてきたー! 気が済むまで八つ当たりしてやる!

 俺はインベントリから取り出した斧を水平に振り、


「――っし。行くぞテメェら」


 歩み出しながら全裸マンどもに告げて、


「尊厳なんて余計なもん、もう捨てたよな」


 ちょっと躊躇うような気配を無視して、


「裸の付き合い、しに行こうぜ」


 息を吸い、レジスタンス全体に告げる。


「突撃ィ――――!!」


     ○


 おお、と応える声が最初に響いた。

 わあ、と動じる声は次に響いたものだ。

 前者はレジスタンス、後者は帝国のもので、


「来た! 本当に全裸が来たぞ!!」


 そりゃ目を疑うよなぁ。

 敵ながら同情するぜ、と鼻で笑って、俺は全裸マンどもを率いて走る。

 何せこちとら純粋なスペックで言えばまったく意味のない、ノーガード戦法だ。大切なところだけは表現規制の謎発光でガードされているが、ただのエフェクトに防御力はない。今なら雑兵が並んで矢を射つだけでばたばたと倒れること間違いなしの、逆ボーナスゲームだ。

 だから俺達に必要なのは勢いだ。動揺を誘って初動を遅らせ、バリスタの的になるのが目的。それを果たすために、敵に立ち直る時間を与えるわけにはいかない。

 つまり最大の勢いで全裸を叩きつける。


「ほっ……! はっ……!」


 足ブレイクを連続発動し、一歩ごとに加速を得て突っ走る。続く全裸マンどもも同様に、何かしらのスキルで加速していく。加速手段がない奴は根性で走れ。

 猛烈な勢いで迫る全裸の集団に対し、待ち受ける帝国軍、特に最前面の連中が半ば恐慌状態に陥る。彼らは指揮役の号令も待たずに、遠距離攻撃手段を持つ者は攻撃を開始した。

 矢と魔法が放たれるが、斉射でなければ避けられる。俺は蹴り足に角度を持たせて、雷光めいたジグザグのステップで狙いを逸らし、避け切れないものは斧を盾にしてぶち破って行く。


「あ、兄貴……!」


 全裸マンの一人が流れ矢に倒れる。すげぇ、まったく心が痛まない。

 戦死者を思い出に変えて、他の連中も俺のようにジグザグ走行をする。絶対に敵の視点から見たくない光景だ。だってこれ、全裸集団がカクカクと高速ステップしながら迫ってるんだぜ。あ、後ろからも見たくねぇわ。


「っ、撃て! とにかく撃て!」


 指揮役らしいプレイヤーが今更のように指示を飛ばす。崩されたことを受け入れ、とにかく数で対処するのが狙いか。

 斉射こそ封じたものの、射撃の圧力が跳ね上がる。全裸マンは一人、また一人と倒れていき、反比例するように敵が立ち直っていく。やはり戦争は数だ。全裸も数なのだ。

 全裸圧力の減少により、敵陣に新たな動きが起こる。射撃を行う者の隊列を大雑把に整理して、白兵戦を主体とする前衛職が前に出て来たのだ。

 彼らは一様に悲壮な決意を固めた顔をして、


「来いよ全裸! 抱き締めてやる……!」


 その宣言に、俺は舌打ちを一つ入れて全裸マンどもに叫ぶ。


「侮るなよ! 奴ら着衣だが尊厳捨ててやがる!」


「そんなら流星、あんたが行くべきだ!」


 答える声は横手から俺を追い抜く男のもので、


「道は俺達が開く! 一番熱いのぶつけに行ってやれ!」


 瞬間、轟音が戦場を貫いた。

 バリスタだ。

 ついに放たれた兵器は音圧と風圧をぶち撒け、続く衝撃が大地を揺らした。

 城壁の上から俺達を狙ったらしい一撃は、しかしやや後方に落ちて地面を抉るのみ。突き立つ極太のボルトは半ば以上が埋まっており、その威力の凄まじさを物語っていた。

 やはり、という思いがある。いくら攻城兵器だとはいえ、ただのバリスタにしては威力と速度がおかしい。故にこの射撃の正体は、猟師の弓スキルを用いたものに違いない。

 ハ、なんて反則だ。確かにこんなもの、並のプレイヤーなら跡形もなく消し飛んじまう。

 ――だが頼れる全裸マンどもは、恐れることなく加速した。


「行けよ、流れ星……!」


 轟、とバリスタが撃たれ、一人が消し飛び。


「俺らは兄貴を信じたんだ!」


 乱射される矢と魔法の弾幕に、一人がその身を盾として捧げて。


「――輝け、僕らの一番星!」


 跳躍し、あえて股間でバリスタを受け止めた馬鹿が散る。

 半数を切った全裸マンどもに、ああ、と応じて。

 意志に背中を押されて、俺は何もかもを曝け出して走った。


「俺が流星なら、お前らも流星だ……!

 誇れ、名乗れ! 胸を張れ! 俺とお前らで流星群だ――――!!」


 俺達は喚声を上げて突き進む。

 この勢い、もう誰にも止められる気がしない。最高速に達した全裸流星群は、その全身全霊を叩きつけろと帝国軍に迫り――あ、と。誰かが気付きの音を洩らした。

 意識が伝播する。抱き締めてやるとか言っておきながら、いつの間にか帝国軍の前衛が割れており、道のように空けられたことで見える先、城門の奥にはバリスタがあった。

 射手の姿は見間違えようがない。よく知る銀髪の女は、口の動きで「残念」と嘲笑い、ボルトを放つ。

 スキルの効果を受けて放たれたそれは、しかし城壁の上からのものとは段違いだった。

 何故ならあの女は――緑葉さんは筋力極振りの大砲型。

 ステータスの暴力が上乗せされた時、その一撃は音を置き去りにして大気を貫いた。

 音速超過の衝撃波が吹き荒れる。

 ボルトの直撃を受けた者も、そうでない者も、一切の区別なく消し飛ばされる。

 第一の門番の射撃――否、砲撃によって全裸流星群は壊滅した。


     ○


「兄貴~! こっちこっちー!」


 死んで霊体になった俺は、先に死んでいた連中に手招きされて合流する。

 お、視界の右上の方に表示フレーム発見。死に戻りまでの待機時間は三分ちょっとか。この感じだと基礎戦力で三分、活躍を評価して十数秒追加ってところだな。

 実際、俺達は全裸で走って死んだだけなので、活躍らしい活躍なんて何もない。それでも加算されているのは、システム側で囮か何かだと判断してくれたからか。

 俺はそんな推測をしながら戦場を見て、


「あのバリスタ、完全に裏目ってね?」


 目の前の惨状に対して素直な感想を述べた。

 まさかソニックブーム発生させるとは思わなかったが、あれ完全に物理現象だもんなぁ。城門前に布陣していた帝国軍の連中も、根こそぎ吹っ飛ばされて壊滅状態だ。


「自分、霊体で見てましたけど、パねぇ威力でしたもんね。

 生身だったら完全にちびってたと思うっていうか、ログアウトします!」


「へっ、素人が。――俺はいつでもオムツだぜ」


 霊体全裸達は玄人さんから距離を取った。

 さて、第一陣の生き残りは城門を突破して庭へ突入。城内からの増援と激突したようで、激しい戦闘が繰り広げられている。やや押され気味のようだが、第二陣と教会騎士団が乗り込めば形勢は逆転するだろう。

 乱戦になったからか、それともフレンドリーファイアでの大量虐殺を反省したからか、緑葉さんはバリスタを放棄したらしい。正直、ただの弓でも酷い火力を叩き出すので、城内へ逃げ込まれたら面倒な相手なのだが……タイミング的に、居座ってなけりゃ倒すのは無理か。


「お? 見ろよ大将、教会のが突っ込むぜ」


 言われた先、オズワルド率いる教会騎士団が城門を抜けて、庭へ突入するのが見えた。

 彼らは声を揃えて聖歌を歌い、その身に燐光を纏っている。あれはたしか、聖騎士スキルのゴスペルだ。歌唱中、MPを常時消費することを代償に、防御力と魔法防御力を高め、HPを自動回復させるというものだ。

 服の下にどんな防具を装備しているのかは知らないが、あれに攻撃を通せるプレイヤーが何人いるか。

 歌唱中は他のスキルを使えないこともあって、攻撃面では他のプレイヤーに見劣りするものの、振り回されるラージクラブは決して侮れるものではない。

 つーか、えげつねぇわ。防御をガチガチに固めて、敵を徹底的に磨り潰す戦術だ。どんなに時間をかけてもいいから、異端者を絶対に殺すのだという執念を感じさせる。

 あの調子なら庭の占拠はできそうだが、懸念は城壁の上に設置されたバリスタだ。いかに防御を固めた聖騎士であっても、バリスタだけは直撃すれば命に届きかねない。

 こちらの遠距離部隊も懸命に火を放っているが、帝国も狙われることは想定していたようで、各バリスタには射手だけでなく護衛が配置されている。それがある程度は攻撃を防ぐせいで、あまり順調とは言えない状況だ。

 実際、過半数のバリスタは問題なく稼働しており、遠距離攻撃部隊よりも第二陣を優先して攻撃している。そちらの方が脅威だと認識されているのだ。

 こうなると庭の占拠に成功しても話が変わってくる。今は乱戦だからこそバリスタは外を狙うしかないが、庭にレジスタンスしかいないとなれば、当然、庭にも撃ち込んで来るだろう。

 そうした戦況を頭に入れ、死に戻りまでの待機時間が一分を切ったところで、また戦場に動きがあった。

 聖騎士の一人が倒されたのだ。

 バリスタではない。プレイヤーが持てる力だけで、上級職を倒してみせた。

 それを成し遂げたのは――――


「のーみん……!」


 俺としたことが、あの女を忘れていた!

 知力極振りのインテリ戦士だからと馬鹿にはできない。確かに火力も耐久力も、他の戦士には大きく劣る。ジョブ補正があると言っても、それだけで前衛が務まるほどではない。

 だが他の戦士にはない強力な武器――潤沢なMPというリソースを持つ。

 のーみんは再現とばかりに別の聖騎士へ襲いかかり、武器ではなく盾で殴りつけた。

 シールドバッシュだ。

 攻撃スキルとしては低威力だが、ダメージの有無に関係なく、対象をスタン状態にする効果を持つ。スタンは一秒にも満たない、数瞬の行動不能を強いるバッドステータスで、本来なら相手が動けない内に態勢を立て直すのに利用するようなものだ。

 だがのーみんだけは例外となる。

 MPに物を言わせたシールドバッシュの連打で、スタンにスタンを重ね続けて行く。

 そうなれば聖騎士もゴスペルを維持できず、防御力が落ちたところへ仲間が攻撃を集中させれば、どれほどのHPがあっても長くは耐えられない。

 そうして聖騎士は倒れ、のーみんは次なる獲物へと襲いかかる。

 ……最悪の相性だ。のーみんは意図してああなったわけではないが、結果としてその性能はタンク殺しとでも呼ぶべきものになっている。

 攻撃を耐えることが前提の聖騎士では、あの女を止められない……!


「な、なあ、兄貴。なんか雲行きが怪しくなってないか?」


 霊体全裸マンの問いかけに、俺は苦々しい顔で頷くことしかできない。

 仲間を引き連れて行動するのーみんは、一発当てれば即死コンボのハメ技使い。聖騎士ではなく、避けることを主眼に据えた前衛であっても、分の悪い相手だ。

 だからこそ魔法など、遠距離からの集中砲火で仕留めるべきだ。紙装甲だから二、三発当てれば死ぬ。しかしそのぐらいのことは、戦っている連中にも分かることだ。

 それができない理由は単純で、手が足りない。

 遠距離攻撃持ちの大部分がバリスタを優先しているために、のーみんは野放しでこちらの強い駒を食い荒らせるのだ。

 どうにかしなければならない。

 だから俺は、待機時間がゼロになる前に告げた。


「全裸流星群、戻ったらあいつ最優先で叩くぞ」


「なあ流星、防具は着ていいんだよな」


「うん」


 あんなんでも女だしさぁ。

 全裸の集団が殺到するのは、流石に絵面がよろしくないと思うよ。

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