第二二話 トーマ
長らくお待たせしました。
数度の戦闘があった。
敵は砦内を防衛していたトーマ派のプレイヤー。
分かっていたことだが、彼らの中には脅威となるほどの実力者はいない。ましてや夕陽が自重せずに暴れるもんだから、いくらか同情したって仕方ないだろう。なにあの人の形をした暴力。
しかし実際には、同情よりも薄ら寒さが先に立つ。
立ち塞がった彼らは、誰もがプレイヤーとしてではなく、人間として敵対した。
口々に俺達を女神の狗と罵り、悪魔の崇高さを訴えようとする。
悪魔崇拝者という言葉が頭に浮かんだが、まさか彼ら全員が元からそうであったとは思えない。であるならば、記憶なり精神なりに干渉を受け、操られていると見ていい。
俺達が狗だとしたら、彼らはただの駒だ。
本来の意思とは関係なく、望まれた通りに振る舞うことしか許されない。
俺が気に食わないのはそこだ。
極論を言えば――世界は別にどうなってもいいが、手段がムカつく。
理想を説いて賛同させてもいいし、単に力で屈服させてもいい。何かしらの衝突があっての結果ならば、不満はあっても受け入れることだってできた筈だ。
抗うことも、諦めることも許されない。その傲慢さが、どうにも度し難い。
……いやまあ、俺が言うなって話でもあるんだけど。
大部分――いや全てがノノカの仕業であったとはいえ、俺も似たようなことをした事実は変わらない。変わらないが反省はしているので、人徳面においては俺が一歩リード。もしも生まれ変わったら、六道輪廻でマウントを取れるに違いない。幸い、ノノカの魔術の影響下にある奴は少ないし、まだ土下座で済む段階だ。そう信じたい。
「――でよぉ、お二人さん。なんかもう、分かってんだろ?」
歩調を緩めず、振り返りもせずに夕陽が問いを投げかけた。
分かり切ったことを確認するだけのような、軽い口調。どう答えたものかと僅かに迷っていると、先に口を開いたのはクラレットだった。
「敵はトーマさん、だと思う」
そうだよね? と視線で確認してくるが、俺も根拠があるわけではないので、曖昧に頷く。
だって面倒事を嫌がって、自分はモブだの何だの言ってるのがトーマだ。今回の状況も周囲の動きに押し付けられたようなもので、あいつ自身の意思で選んだものだとは、とてもじゃないが言えやしないのだ。
つまり俺の知っているトーマなら、敵じゃない。
それでもトーマが敵だと思う理由――というか違和感があって、
「中途半端なんだよな。形振り構ってねぇ感じなのに、本気で俺らを追い出そうとしてないっつーか。この煮え切らない感じはトーマっぽい」
「そんな理由で決め付けんのもどうなんだよ」
「トーマさんらしい感じはするよね。――でも、私は消去法」
同意した上で俺の意見を無視して、クラレットは根拠を語る。
「運営側の人がいないとこんなことはできない。
だからヨーゼフさんは違うし、ダフニさん達も違う。今ここにいて、トーマ派の人に影響を与えられるのはトーマさんしかないから……あんまり信じたくないけど、あの人だと思う」
実際にはイエローブラッドの連中や、それこそトーマ派の中に運営側の奴が潜伏してたって可能性もあるが、まあ薄いか。ここまで頭角を現していないようなモブじゃ、大勢の意識に干渉するってのも無理がある。
皮肉なことに、自分をモブだと言い続けた根無し草は、とっくに大勢の心に根を下ろしてたってわけだ。
そうしてクラレットは、俺を一瞥した。
「ガウスはトーマさんのこと、どう思う?」
「……面白い奴だよな。結構ノリいいし、俺は遊び仲間だと思ってるぜ」
その言葉に嘘はない。
初めて会った日から、ゲームの中だけの付き合いだとはいえ、間違いなくあいつは俺の友達だった。
だからこれからの言葉にも嘘はない。
「だけど見逃すわけにゃいかねぇよ。
気乗りしねぇのは確かだが、俺が引導を渡さねぇでどうすんだ」
ほんの少し、あの日から内で燻る怒りの火が勢いを失くしたのは事実だ。
だが俺のやるべきことに変わりはない。
あいつに引導を渡したのは俺なんだから、トーマにもそうするべきだ。そうでなければ筋が通らないし、自己満足だとしても、あいつが浮かばれない。
「ああ、だから間違えに行くってワケか」
納得したように夕陽が呟く。
その声には呆れの色があり、
「面倒臭ぇな。嫌なら嫌でもいいんじゃねぇのか?」
「いいんだよ。吐くほど後悔するってだけだ」
他の誰がやってもいいことなら、それこそ譲ってやる必要がない。
俺は俺のわがままで、すると分かっている後悔をしに行くだけだ。
「……ガウスのそういうところ、私は好きだよ」
「吐くところが……?」
「そっちじゃないけど!?」
言ってて思ったけど、そうであって欲しい。嫌過ぎる。
まあクラレットも背中を押してくれたし、吐きそうになったら痩せ我慢でもすっか。
そんなことを思いながら進んで行くと、夕陽が廊下の途中で足を止めた。
「っと、この先はまたダメだな。おらよっと!」
言いながら、借り物の大戦斧を振り回して、横手の壁をぶち破る。
何に使うのはか知らないが、壁の先は広い部屋で――
「――お、見つけたみてぇだな」
肉食獣が舌舐めずりをするように、彼女は笑みを浮かべて斧を投げ捨てる。
その視線の先には人影があった。
目を丸くしているトーマと、もう一人。見覚えのない男がいた。
歳は六十過ぎだろうか。不健康な痩せ方をしているせいで、実際よりも老けて見えているかもしれない。
そういう見た目のアバターなのかもしれないが、服装に違和感がある。彼はどこにでも売っていそうな、ごく普通のポロシャツにスラックスという姿。ゲーム内での服装としては、逆に浮いていた。
「……顔剥ぎセーラーか。ノノカも勝手をしてくれたな」
彼は疲れたようにぼやき、気怠そうに俺へ目を向けた。
顔剥ぎセーラーとノノカ。その二つの名前を口にしたからには、無関係な第三者ではない。運営側の人間――いや、この場にいるのなら、この男こそが。
「ガウス君だったね。何の因果か、これまで君を巻き込んで来たことを、まずは謝罪したい」
「……あ?」
予想もしていなかった男の態度に、思わず思考が止まる。
そんな俺の様子を気にもせず、俺を見ていながら、俺を見もせずに彼は言う。
「誰かを巻き込むのは覚悟の上だった。でも、それは巻き込まれた方は納得がいかないだろう? 君は自分から首を突っ込んでもいたけど……それでも悪いのは私だ。済まなかったね」
そう言って男は頭を下げる。
まるでこれまでの全てを、それだけで片付けてしまうかのように。
「テ、メェ――ッ!」
男に掴みかかろうと駆け出した瞬間、その間へトーマが割って入る。
「待ってくれガウス! 黙ってたのは悪かったけど、こっちの話を聞いてくれ!
お前にだって悪い話じゃないんだよ!」
「…………っ」
トーマが必死な顔をして言うものだから、足を止めてしまう。
頭では話なんて聞かずに、このままこいつらをぶっ殺せば解決だと分かっている。しかし話を聞かなければ――こいつらが何を考えているのか知らなければ、しこりが残りそうな気もした。
どうせ殺すのは決まっている。それならせめて、少しでも納得して殺したいと思う気持ちがあった。
だからどうにか踏み止まった俺に、トーマは安堵したように笑みを浮かべた。
「よかった……父さん、説明を頼むよ」
トーマの言葉に、父と呼ばれた男が頷く。
こいつら……親子なのか? それにしては歳が離れ過ぎている気もするが……。
「何から話そうか……ああ、まずは自己紹介かな。私は今野満彦。ゲオルギウス・オンラインのプロデューサー兼ディレクターで、ノノカに手ほどきを受けた魔術師だ。君に……いや、君達には悪いことをしたと思っているのは本当だよ。でも、私にはどうしてもこの、ゲオルギウス・オンラインという儀式が必要だったことも分かって欲しい」
そう語る彼――今野の言葉には熱がなかった。
理解を求める真剣さも、許しを請う誠実さもない。ただ義務を果たすかのように、淡々と今野は言う。
「最初はこんな大事にするつもりもなかった。だけどこうでもしなければ、目的を達成できなかったんだ。
始まりは息子の斗真が、事故で亡くなったことなんだ」
「は……?」
いや、待て。だってトーマは、そこに。
「悲しかったよ。だけど私は、それ以上に怖くなったんだ。
ガウス君。君は人が生きる理由について考えたことはあるかな?
私はよく考えていたよ。そして斗真が生まれた日、私の生きる理由に斗真が加わったんだ」
今野は微笑む。
俺にも、トーマにも、誰にも目を向けず、一人で完結して笑う。
「人はいつか死ぬ。それは避けられないことだ。
だから生きる理由が必要になる。死を受け入れるための理由がいる。
私はそれを欠点のない、満ち足りた人生だと定めたんだ」
言っていること自体は、分からないでもない。
少し大袈裟だが、悔いなく生きたいと言っているだけだったからだ。
「――しかし、斗真の死でそれは不可能になってしまったんだよ。
だってねぇ。一人息子に先立たれた父親なんて、可哀想じゃないか。
そんな目で見られるのは嫌だった。私の人生は哀れなものだったと、息子が死んだだけで台無しにされてしまうのが、本当に本当に怖かったんだよ」
いつからだろう。今野の言葉に、理解を求める熱が宿っていたのは。
途中までは理解できていた。死んだ息子のために何かしたいとでも言えば、多少狂っていたとしても、理解の範疇だっただろう。
だが、俺にはもうこの男を理解できない。
まったく理解できない、不気味な価値観でこの男は生きている。
「でもね、私は希望があることを知ったんだよ。
君達も聞いたことがあるかな? 有名な電脳怪談なんだけどさ。
ほら、死んだ筈のフレンドがゲーム内にいたとか、そういうやつだよ」
「知ってるけど……それがどうした」
「それが起きたんだよ。息子のフレンドがね、最後に遊んだ日の思い出を話してくれたんだけど……それは息子が死んだ日だった。しかも、時間は死んだ後だよ?
何かの間違いだと思ったよ。でも息子が遊んでいたのは、ヴェーダ・オンラインというゲームで……私はそのディレクターだったからね。念のためにアクセスログを確認したんだ。
するとどうだ! 死んだ筈の息子がログインした形跡があった! 徹底的に調べても、死人であるということ以外に不審な点はない。あのヴェーダ・オンラインの中で、息子は死後も生きていた!」
今野は生き生きと希望を語る。
どんな偶然か、その身に起こった都市伝説こそが、彼の希望になってしまった。
「残念ながら息子は、それから現れることはなかったけどね。
それでも私は必死になって調べたよ。同じような事例は他にないか。本物だと断定できるような事例に、何か共通点はないか。ああ、魔術に辿り着いたのもこの頃だったかな?
とにかくね、それから私は考えたんだ。この現象をどう活用すれば息子を――私の人生を取り戻せるのか」
「……その答えが、トーマさんなの?」
今野ではなく、トーマを憐れむようにクラレットが問いかける。
しかし今野はそんな空気を読まずに、明るく、力強く頷いた。
「ああ! 正確にはまだ作ってる途中なんだけどね。
――トーマは息子を模したAIだ。息子が、今野斗真がそうであったように振る舞ってもらった。とにかく大勢のプレイヤーに接触させて、トーマという生きた人間がいると信じさせたんだ」
死んだ筈の人間がここにいることの、それが答え。
初めからトーマなんていうプレイヤーは、存在しなかった。
「まあ、完成まではそう遠くないよ。多くのプレイヤーが……量産された魔術師が、トーマをプレイヤーだと信じ続けた結果として、トーマはAIから人間になる。
これについては顔剥ぎセーラーで実験したからね、ちゃんと魂を持てる筈だ」
「ハ――ってことは、トーマはあたしのお兄ちゃんってワケか」
「いやいや、そうはならない。トーマは人間で、君は怪物だろう?
私の子供はトーマだけでいいんだ」
心外そうに今野は言うが、夕陽はその言葉に殺気立った。
別に今野を親だとも、トーマを兄だとも思っているわけではないだろう。だが身勝手に生み出しておきながら、不要だと言われて穏やかでいられるわけがない。それでも夕陽が衝動的に襲いかからなかったのは、今野の隣に立つトーマのせいだ。
こんな話をされているのに、トーマは悲しそうな、申し訳なさそうな顔をしていた。
「そう、私に必要なのはトーマだけなんだけど……」
夕陽から殺気を叩きつけられながら、今野は暢気に言う。
「ほら、また死なれても困るだろう? だから世界を入れ替えるんだ。
死んでも死に戻りできる、死が死にならない世界にしないと、ちょっと安心できない。
でもこれなら、君達と私が敵対する必要はないって、分かってくれるんじゃないかな」
「……どういう意味だよ」
問えば、今野は本当にあっさりと、
「別に誰も損しないし、――なんて名前だっけ? 君が殺した後輩も造ってあげるよ」
あまりにも的確に、俺の地雷を踏み抜いた。
――ああ、もういいや。もう一分一秒でも、こいつを生かしておく理由がない。
地を駆ける。どんな対策があろうと知ったことか。
ありったけの殺意を乗せた剣を振るえば、咄嗟に動いたトーマが盾で受け止めていた。
「待て、待ってくれガウス! 確かに父さんが悪いけど、それでいいのか!?
お前が我慢してくれたら、全部元通りにできるんだよ!」
「どうせ偽物だろうが!!」
「そうだけど!! ――俺だって生きたいと思っちゃ駄目か!?」
「――――っ」
クソが。ああそうか、そうだよな。
元がAIだからってどうした。そもそも出来のいいAIは、人間を完全に再現できる。
人とAIを分けるのが魂の有無なのだとしたら、魂を獲得したこいつは人間と何が違う。
ただ生きたいという願いを、否定する権利が誰にある。
迷ってしまった俺を、トーマは弾き飛ばす。
これまで見たこともないほど必死の形相で、ただ訴える。
「最初は何も思わなかったんだ! でも俺、どんどん人間になっていくんだよ……!
気が狂いそうだった。死ぬのが怖くなった。消えるのが怖くなった。
父さんの作る世界でしか、俺は生きられないんだよ!!」
だから我慢してくれ、殺さないでくれと、トーマは命乞いする。
でも。でもさ、トーマ。
「だったら答えろ今野! どうしてあいつを巻き込んだ!?
どうして何の関係もない俺の後輩を、河瀬君を辻斬りなんぞに仕立て上げやがった!!」
トーマのことなんて極論、どうでもいい。好きに生きて好きに死ね。
顔剥ぎセーラーのことは、朝陽がどう思うか次第だろう。
世界を入れ替えるってのは気に食わないが、ぶん殴って止まるならそれでもいい。
でも。今野が触れなかったあの一件だけは、我慢する道理がない。
そして今野は――――
「あれは死に戻りの実験と、君を殺したかったからさ」
悪びれることもなく、平然とのたまった。
「顔剥ぎセーラーの件をね、まさか解決されるとは思ってなかったんだ。
それは別にいいんだけど……その後も嗅ぎ回ってたじゃないか。万が一とはいえ、邪魔をされても嫌だろう?
調べてみたら使えそうな子がいたし、じゃあやってみよう。それだけだよ」
そう言って今野は、恥ずかしそうにはにかんだ。
「まあ失敗だったけどね。うん、あれで小細工はやめようと思えたのはよかったな。
さっさと必要な実験をして、計画を進めた方がいいと判断できた」
「……それだけか」
「それだけだよ」
「そんな理由でお前は……!!」
だったら結論は変わらない。こんな奴には、殺す理由しかない。
死に戻りなんてさせるものか。一度でも殺したのなら、そのまま地獄に叩き落としてやる。
「っ、ガウス……!」
踏み込んだ俺を、再びトーマが阻む。
和解は有り得ないと示されながら、縋るように抵抗する。
「諦めてくれよ! どうせもう、間に合わないんだ!!」
悲痛ですらある叫びを引き継ぐように、今野が言う。
「その通りだ。……ノノカが動き始めたからね。あの人も何がしたいのやら――気まぐれで台無しにされたら困るんだよ。
だから私はここにいる。ゲオルギウス・オンラインを完遂するために」
「――おい、下がれ!」
夕陽が焦りの強い声を上げ、俺はそれに従って後ろに跳ぶ。
どういうことかと視線で問えば、彼女は酷く困惑した様子でトーマを見ていた。
「……ダメだ。あいつの周り、世界がグチャグチャになってる。
あんなのに巻き込まれたら、どうなるか分かんねぇぞ」
その言葉が意味するところを示すかのように、今野が不敵に笑う。
「トーマが私の魔道書だ。儀式魔術ゲオルギウス・オンラインの核は彼なんだよ。
まだ半端だけど、完成度は後から高めればいい。大枠は既に不足ない」
どうせもう間に合わないとは、そういうこと。
俺がここで何をしようとも、ゲオルギウス・オンラインは果たされる。
「ああ、このゲームのストーリーは覚えてるかい?
世界を創った神に反旗を翻し、悪魔と呼ばれるようになった天使達。彼らの中でも強い力を持つ者は、その姿を竜に変えて神へ挑むが敗れ、地上に落とされた。
しかし竜達は敗れながらも、地上へ神の力が届かぬように結界を敷いた――そういう設定の世界が、私には必要だったんだ」
今野が語るのは、目的を果たすための条件。
ただ己が理想郷を実現するだけではなく、それを継続させるために必要なもの。
「神はノノカ、竜の一人はトーマだと見立てて、この設定は作られた。
そしてゲームが現実になろうとしている今、あの小さな神がどんな気まぐれを起こしても、この世界に干渉することはできない!」
言葉と共に、俺の目にも見えるほどの勢いで、トーマを中心として何かが渦巻く。
それは実体のない黒い靄。世界を侵す猛毒にして、プレイヤーから掻き集められた信仰。
溶けていく。崩れていく。
確かにまだ半端で、その猛毒は世界を侵し切れない。
現実を完全にゲームで塗り潰すには、まだ足りていない。
それでも、大枠は成立してしまう。
ゲオルギウス・オンラインの成就は、もう止められない。
「……ごめんな、ガウス」
黒渦の中心で、泣きそうな顔をしてトーマは言った。
「本当はもっと早く、こうできた。
だけど人間になっていくことも、竜になることも怖くて、俺が先延ばしにしてたんだ。
でも――意味もなく逃げ回って、どうしようもない後悔をするのは嫌だって思えたから」
それは少し前に、姐御がトーマに言ったことだった。
ああ、確かにあの時、お前は心を動かされた様子だったけど。
それで決心して、巡り巡ってこの状況になったのか。
「――ガウス。俺は俺が生きるために、お前達の敵になるよ」
黒渦がトーマを呑み込む。
直後、爆発的に勢いを増した渦が広がり、瞬く間に俺達を――世界を呑み込む。
足掻くことさえできない闇の中、俺の耳は確かに最後、今野の言葉を拾っていた。
「さあ、本当のゲオルギウス・オンラインを始めよう」
酷いヘルニアで強いお薬飲んでたんですが、副作用でちょっとアホになっていました。
まだ抜け切っていないというか、怪しいところもあるんですが、ぼちぼちやっていこうかと思います。




