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学校の屋上。なんでもない日々。

作者: 不皿雨鮮

 赤い空の下、学校の屋上に少年と少女がいた。下の音楽室からは様々な楽器の音色が響き、それに負けじと運動部達のランニングの掛け声が聞こえてくる。

 目立った特徴はないものの、それなりに整った容姿の二人は、時々、屋上を借りて、特に何をするでもなくぼぅっと雑談をするのだった。

「運動部と文化部、どっちの方が偉いと思う?」

 問うたのは壁に背中を預けて雲を眺めていた少女だ。今日は少し風があるらしく、少女の長髪や背中に乗せているだけのカーディガンの裾がふわふわとなびいている。

「そういうこと言ってる奴が一番、頭悪いと思うぜ」

 少年は地面に寝転び、片腕で頭を支え、もう片方の手で携帯を弄っている。少し長い前髪が、少女と同じように揺れていた。

「質問にちゃんと答えて」

 ガツッ、と少女は少年の頭を支えていた腕の方を軽く蹴る。支えを失ったせいで、少年は頭を地面にぶつけた。「痛ぇ!」としばらくのたうち回った後、少年は起き上がって少女の方を見る。

 少女は少し呆れ顔で少年を見ていた。一体誰のせいでこうなったのだ、という不満は頭の隅においやり、少年は少女の横に同じように座って「で?」と問い返す。

「急にどうしたんだ?」

「別に。ふと疑問に思っただけ。運動部と文化部って、同じ部活動なのに使うところが違うじゃん? 運動部は体、文化部は頭。どっちも優秀な人って凄いなぁと思うけど、じゃあ、運動部で凄い人と文化部で凄い人って果たしてどっちが凄いんだろうなぁって思ったの」

「そりゃ、比較するモノによって変わるだろ。将棋のプロは野球のプロにはなれないし、逆も然り。まぁ、だけど、あえて言うなら……」

「言うなら?」

「帰宅部が一番、コスパが良い。バイトしたり、それ以外の時間で好きなとこに行ったり、好きなことしたり」

「好きな人と一緒にいたり?」

 少年は少し面食らったような表情をし、それを見て少女はにんまりと、どこか勝ち誇った表情で笑う。

「そういうことだ」

 こいつには勝てないな、と少年は小さく溜息を吐く。

 二人の顔がうっすらと赤いのは、きっと多分、夕日のせいだろう。

学校で書いた奴。大体一時間くらいの作品。「らしくねぇ」作品です。

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