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全身鎧を着た魔法使い  作者: 大和 改
二大国家戦争
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第二機甲師団

 アレクシア帝国第二機甲師団と、師団長ハービル・オレイン大佐はイースタル要塞から一路北へ向かった。


 意味は知らされていない、命令書には詳細は記されてはいない。

 北へ向かい、指定ポイントまで来ると、今度は西に進路を変更する。


「一体、何がなんやら……」


 ハービルは戦車の中で、大きなため息を吐く。

 かれこれ三日も只々移動していれば、ため息が出るのは無理もない。


「師団長! 後方より、魔導車が来ます!」


 見張りとして、戦車から顔を出していた兵士が大きな声を上げる。

 ハービルは「どれ」と自身も戦車から半身を突き出した。

 ものすごい土煙を上げて第二機甲師団を目指す魔導車は、舗装路ではなく悪路専用の言わば『バギー』である。

 前照灯を不規則に光らせている。


「発光信号? ……ゴー……ス……ト……!? 全隊停止! 停止!!」


 全ての戦車と、歩兵に停止命令が伝達される。

 程なくして、全体の動きが止まった。

 少し時間を置いてから、ようやく後方より迫るバギーが追いついた。


「中々止まって貰えなかったので、下手すると撃たれるのかと、ヒヤヒヤしました」


 バギーに乗っていたガタイの良い男が、ホッと一息吐く。


「取り敢えず、所属と階級を聞こうか?」


 戦車から降りたハービルは、男の前に仁王立ちとなる。


「ゴースト・スリー。少尉だ……」


 ゴースト部隊の話は聞いている。彼等はコードネームしか言えない事も、ハービルは承知の上で質問したのだ。

 答えを聞いたハービルは、顎髭をさすってニヤリと笑った。


「幽霊部隊がなんのようだ?」

「ゴースト・ワンからの伝言と、進捗状況を伝えに来ました」

「話せ」


 ゴースト・スリーは始めに進捗状況を語る。

 第一機甲師団がラジラの町を制圧し、駐留部隊と合流した事、そして二個小隊と合流し、揺動の為に動き出した事だ。


「ちょっと待て、第一機甲師団が陽動だと? では、我々は?」

「そこからが、我等の隊長、ゴースト・ワンからの伝言です。第二機甲師団はウンディエネを目指して貰います。ウンディエネ近郊で陣を張り、待機していただきます。その後、ゴースト・ワンの合図でウンディエネへ進行して下さい」

「ウンディエネ!? 王都だろ!」

「はい、本作戦の目標は、敵の本拠地に対して電撃作戦を決行するためです」

「電撃……、ねぇ……。強襲作戦ではないのか?」


 ハービルの言葉に、ゴースト・スリーは肩をすくめる。


「まぁ、どう捉えるかは聞き手次第ですね……」

「ううん……、まぁ、皇帝の命令なのだろう? 異議は唱えないさ……」


 ゴースト・スリーはニコリと笑ってみせた。


「で? ここで、作戦の全容が開示されるのか?」

「いえ、待機ポイントにて命令書をお渡しします。そこまでは、自分が随伴させていただきます」

「何故に?」

「私は、周辺地形の確認と、モンスターの分布確認が主な任務ですので……」


 ゴースト・スリーの言葉の真意を知ろうと頑張るハービル。

 だが、結果は『お手上げ』である。


「……了解した」


 そう告げると、戦車へ戻ろうとする。


「案内は私が務めます」


 ハービルの背に、ゴースト・スリーの言葉が投げかけられる。

 それにハービルは片手を上げて、返答にしたのだった。



 タクローが倒れた事で、エルフの集落は大騒ぎになる。


「どいて!」


 ヒカルが大声を上げて、タクローに抱きつくイツキ達少女を押しのける。


「兜を外すから!」


 ヒカルは、兜の解除スイッチを操作し、兜を脱がせる。


「息は……、大丈夫。また、マナ切れ?」


 周囲の者達が心配そうに見守るなか、ヒカルはタクローの口元に耳を近づける。

 すると、『ズズズ……』と奇怪な音がタクローから聞こえる。


「ん!? 寝てる?」

「我々より、相当激しく動き回っていたからなぁ……」


 セルヴィナが、タクローに顔を近づける。


「電池切れの寝落ち、かな……?」


 ヒカルの言葉にセルヴィナは首を傾げる。

 ヒカルの言う言葉は、この世界には存在しない表現であったからだ。


「ああ、要は体力切れでしょう……」

「なるほど、確かにお疲れだな……」


 タクローは、力自慢のトリスに抱えられ、エルフの集落奥にある、一軒の家へと連れていかれる。

 案内するのは、ミセリルアだ。

 その家は、ミセリルアの家でもあった。

 ミセリルアは、自分のベッドを明け渡し、タクローをソコヘ横たわらせる。

 安堵の息を吐くと、ヒカルやアリーシャ、八人の少女達とトリス、セルヴィナにミセリルアの体も動かなくなる。

 口数が少なくなり、いつしか床やソファーに身を預けると、それぞれが眠りに落ちていったのだった。


 それから、タクロー達は丸一日近い時間眠りにつく事になる。


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