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全身鎧を着た魔法使い  作者: 大和 改
第一章 異世界(ゲーム世界)転移
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開戦

 ミーティアラ王国の極東要塞、イースタルは今日も今日とて平和だった。


 イースタル要塞は、アレクシア帝国側に大きな壁が数十キロに渡り続く、そしてそれを監視する為の場所だった。

 アレクシア帝国が宣戦布告してから、幾多の小競り合いはあったものの、モンスターのおかげで『小競り合い』程度で済んでいた為、要塞はいつしか町に変貌していた。要塞勤務の人間と家族が住む為の家ができ、そしてその家族が生活する為の店ができ、気が付けば一つの町を形成していたのだった。


 要塞内を一人の男が、軽い足取りである場所に向かっていた。

 父親の代からこの要塞に勤務する、レスポー・クラグ少尉。彼は数週間前に出した長期休暇願いの件で、呼び出しを受けていた。

 軍と言うのは厄介なモノで、短期休暇であれば部隊長から連隊長まで届け出を出せばすむが、長期休暇ともなれば一番上となる将軍まで届け出を出さなければならない。

 将軍が認め印を押して、初めて受理されるのだ。

 そして、レスポーは『休暇の件で』という事で呼び出されていた。

 ここ数日、モンスターの動きが活発で休みをもらうどころでは無かったが、ようやくと言ったように、遂にお呼び出しが掛かったのだ。


 レスポーは、とある部屋の扉の前に立つ。軍服の襟を整え、髪をなでつける。

 姿勢を正して、扉をノックした。

「どうぞ」と野太い声が返ってくる。

 レスポーは扉を開けて、部屋に入ると丁寧に扉を閉める。そして、部屋の主に敬礼する。


「レスポー・クラグ少尉、只今参上しました!」

 部屋の主は、この要塞の総指揮官である、ウラジネス・スネクラ将軍だ。齢六十近いが、体はがっしりとしていて、立派な髭を生やしている。しかし頭部は貧相で、髭に全てを持っていかれたのではと思うほどだ。

 彼はタバコを咥えて、書類を見ていた。


「楽にしたまえ……」

「ハッ!」


 レスポーは直ぐ様、腕を後ろにまわし足を開く。


「ああ、コレか……。ええと、レスポー少尉は長期休暇だな。期間は?」

「明後日から一ヶ月です!」

「ふむ、申請書通りだな」


 申請を出すという事は、何らかの事情があっての事だ。しかし、中には偽りの申請を出す者もいる。そういった者は、時として申請期間や申請日時を間違えたりする。

 無論、嘘が上手い者はこの手には引っかからないが、引っ掛かってしまう者もまたいたのだ。


「申請理由は?」

「妻の実家への帰還であります!」

「何故?」

「出産であります!」

「よし、了承だ」


 ニヤリと笑って、ウラジネスは認め印を押す。

「ほれ」と言って、一枚の紙をレスポーに差し出す。

 レスポーは両手で受け取ると、そのまま頭を下げた。


「さて、形式的な事はコレで終わりとして……、レスポー、初めての子供なのだろう?」

「はい!」

「ハハハッ、ちゃんと奥方を労ってやれよ」

「ありがとうございます!」


 レスポーは嬉しそうな顔で答える。それを見たウラジネスも、ニヤニヤと笑った。


「若いとは素晴らしい。わしも昔はそうだったな……。まぁ、今は戦時中だが、帝国はちょっかいを出すくらいで、戦闘と呼べるのはモンスター退治くらいだ。まぁ、のんびりしてこい。期間内だけだがな」

「はい、お気遣い、ありがとうございます!」


 レスポーは再度敬礼する。


「後は、その紙を事務方に出して終わりだ。行っていいぞ」

「はい、失礼します!」


 頭を下げて、レスポーは部屋を後にする。

 レスポーが出ていくと、タバコを咥え、窓から外の景色を眺めるウラジネス。

 空はレスポーの笑顔とは裏腹に、淀んだ雲が立ち込めていた。


「明日は、雨……か? レスポー少尉は、大丈夫だろうか……」



 レスポーは将軍室へ行く前よりも、更に軽い足取りで事務室を目指す。気を抜けば思わずスキップしてしまいそうだった。

 事務室に入ると、十数名の事務員が書類整理や書類作成に追われている。

 平和なこのご時世に、何をそんなにやる事があるのだろうと事務員達を横目に、事務長の机を目指す。


「事務長、休暇申請書だ。将軍から受領印を、貰ったぜ」


 痩せこけた事務員達の長である男が、「はいはい、どれどれ」とレスポーが差し出した紙を見る。


「ええと、明後日から一ヶ月ですね。理由は奥さんの出産の為の帰省の付き添い……と。はいはい、受領印も今日の日付。はい、確認しました。問題ないですね、良い休暇を……」


 こうして、全ての手続が終わり、レスポーは晴れて明後日から一ヶ月間だけは自由の身だ。だが、殆どは愛しい妻と、生まれてくるであろう我が子に時間を持って行かれるであろうが、休みである事には変わりない。

 ニコニコと笑顔で事務長にお辞儀をすると、体を反転させ、事務室を後にしようと歩き出した。その時だった――。


 ドォォォン


 大きな爆発音の様な音がなる。地震が起きたかのように、事務室が揺れる。最初は誰もが驚いて、天井を見上げた。

 しかし、爆発の様な音は更に起きる。何度も、何度も――。

 やがて、アチコチから悲鳴と驚きの声が上がる。

 レスポーは直ぐ様、要塞内にある軍本部へと駆け出した。


 アルセリア歴2017年6月8日。

 この日、アレクシア帝国はこれまでに例を見ない戦い方で、ミーティアラ王国へ進行を開始するのだった。


皆様、はじめまして。

大和ヤマト アラタと申します。

初めての小説で、右も左も解らずにただひたすら、毎日投稿しています。(日付をまたいでしまった日がありましたが…(汗))

取り敢えず、自分の中で第一段階終了したので、あとがきを書かきました。

投稿を始めた時は、取り敢えず夢中でしたが、流石に毎日は大変ですね…。

でも、まぁ、頑張って行きたいと思っています。

これからも、どうぞよろしくおねがいします!

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