表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全身鎧を着た魔法使い  作者: 大和 改
第一章 異世界(ゲーム世界)転移
17/713

起動

 タクローがスクロールを使用し始めた時、目の間に転がってきた黒い球体状の物。

 ソレが何かは直ぐには判断できなかった。ミーナの上げた声に反応しようもない。

 ソレが光を放ちだした時、マジックシールドが全員に展開されたのを確認した。すると次の瞬間にはマジックシールドが砕け散る。

 それは魔法が使用できなかったという話ではない。マジックシールドがその機能を果たした結果だ。

 しかし、熱で膨張した空気とそこから起きる衝撃波が目の前のタクローを吹き飛ばす。

 タクローは武器屋の奥に飛ばされ、そして、壁にしこたま叩きつけられ大穴を開けて奥の部屋まで飛ばされる。その衝撃で、タクローはほんの少しの間意識が飛んでいた。


 気がつけば、薄暗い部屋に古びた剣や槍、盾に鎧と様々な武器防具が散乱していた。


 壁に開いた穴から光が差し込む。

 その向こうからは、様々な音が聞こえてきた。発砲音がすることから、戦闘に入ったと考える。自分の状態を確認すると、酷い怪我は無いものの打撲による痛みが酷い。

 試しにと、回復用のポーションを取り出して口に含んでみた。

 ソレは苦いお茶に酸味を足して、なおかつ後から甘みが来るという到底美味しいとは言えない物だった。一気に飲み込むと、鼻から抜ける薬品のような臭いもまた強烈だ。

「ぐえぇ」と、吐き気を感じたが体の方はスッと痛みが消えていった。

 自身が倒れている場所を確認すると、そこはちょうど古い木箱があり、それがクッションになってくれたようにも見えた。近くには剣を立て掛けるようになっていたらしい場所があり、そこに飛ばされなくて良かったと安堵する。


 仲間の元に戻るために立ち上がろうとした際、腰の辺りに硬い物を感じる。体をどけてみると、そこにはガントレットがあった。

 よく見れば、破壊してしまった木箱の中身は鎧が入っている。それも、全身を守るタイプの全身鎧フルプレートアーマーだ。

 しかし、それは中世由来の鎧とは言い難くどこかスペースファンタジー(SF)に出て来そうな様相を呈している。関節部分にまで金属板が張り巡らせていて、どこかパワードスーツのようでもあった。一方で、肩や胸といった部分には分厚い金属が付いていることからは『鎧』と言っても良いのだろうと考える。


 そこで、ふと思う。


 これならば、敵の銃に対して対抗手段になるのではないか、と。

 また、これを着て前に出て敵の注意を引き付けられれば、シンジが後方から弓で攻撃ができるのではないかとも思った。しかし、自分がこれを装備できるのか疑問に思う。


 魔法使い職では、装備できるものは決まってローブと杖だ。鎧、ましてや全身を覆うタイプはゲームでは絶対に装備できない。

 しかし、この時は何故か頭が冴えていた。

 この世界に来た当初、自分の渡したローブに身を包んだ戦士職のミーナの姿を思い出す。

 本来、戦士職こそ鎧しか装備できないはずなのだが、ミーナはローブを着ることができた。世界が変わりゲームの常識が皆無となっているならばと、目の前にある鎧を木の破片を掻き分け取り出してみた。それは意外に軽く、これなら装着できそうだと考えて体に装着し始める。


 レッグアーマーから始めると、鎧と鎧を繋ぐためなのだろうか、多色のコードにソケットが付いている。

 よく見ると、そのソケットと接合する場所は鎧の部品部品に見られ、全身を何らかの形で繋ぐ仕様となっている。

 訳が解らないまま、とりあえずでコードを繋ぎながら鎧を着ていく。足、腰、上半身、肩、腕の順番で装着し、最後に頭となった。

 兜は、横にスリットの入った変わったバイザーの付いた物で、口元までしっかりとガードをしている。バイザーを上げると、その下のちょうど目の部分となる所には緑色の水晶のような物が二つ横長に着けられている。それはまるで、ロボットアニメに出てきそうな面構えだ。

 首をかしげながらも兜を被り、コレにも付いているコードを胴体の鎧に繋いだ。


 兜の中は、真っ暗で何も見えない。

 何か問題有るのかと、兜を脱ぐために顎の辺りに手を付けた時だった、急に全身の力が抜ける感覚が襲い、その場に崩れ落ちそうになる。次いで兜の中で光が見え始め、視界が開ける。

 ヘッドアップディスプレイ(HUD)になっているのだろうか、様々な情報が視界に表示される。

 そして、急に襲い掛かってきた頭痛に身じろぎすると、次の瞬間にはこの鎧の扱い方が頭の中に入ってくる。


 魔法世界だ、コレもなにかの魔法なのだろうとは思ったが、どんなモノなのか全く想像できない。

 頭痛が消えると、HUDに表示されている情報が何なのかも解ってくる。


 自分のMPの現在量、常時発動されている魔法、はたまた現在の鎧の状態までが見られる。驚いたことにこの鎧は、防御魔法である『プロテクション』と『マジックシールド』が常時発動されている。また、身体能力向上魔法の上位といえる、STRブースト・INTブースト・VITブースト・AGIブーストという各ステータスを上げる魔法も常時発動していた。

 それにより頭は冴え渡り、鎧を着ているのにもかかわらず体が異常に軽く感じられる。正に、魔法版パワードスーツだ。

 しかも、誂えたように自分の体にピッタリとフィットしているおまけ付き。

 だが、問題も有る。

 これは大きな問題だ。何故なら、自分のMPがガンガン減っているのだ。本来、補助系の魔法は発動後一定時間その効果を持続させる。しかし、この鎧は常時魔法を発動させっぱなしにしているようだった。


 HUDに表示されている自身のMPゲージが見て解る程に、減っていっている。

 短期決戦型と言えばよいのだろうかと、変なことを考えてしまう。だが、実際に猶予は無い。壁の向こうでは、今正に友人達が窮地に陥っているのだ。


 アレコレ考えるのは止めて、今直ぐ救出に向かうべく行動を開始する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ